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営業の他流試合は要注意

2017年02月05日 | コンサルティング

他流試合とは、複数の流儀がある武術などで他の流儀の人と試合をすることです。他流試合の醍醐味は流儀と流儀のぶつかり合いにあります。ちょっと古いですが、私はアリ対猪木のような異種格闘技を思い出してしまいます(まあ、あれはちょっと期待外れだった感がありますが・・・)。

ビジネスの場においても、個人の力量が他の職場でも発揮できるのかどうかは、とても興味深いところです。果たして優秀なビジネスパーソンも、異種格闘技のような他流試合をしてみたいと思うのでしょうか。

私は、ある会社で優秀だった人は、転職先でもほぼ間違いなく優秀であると思っています。できる人は、流儀の違いを乗り越えてその力を発揮するはずです。

しかし、営業という仕事においては、必ずしもそうは言い切れないようようです。

かなり前のことですが、ある自動車ディーラーに非常に優秀なセールスマンがいました。彼はある日、有名な外資系のコンピュータメーカーにスカウトされました。もちろん待遇はかなり良くなります。

「自動車でも家でもコンピューターでもなんでも売る自信がある!」彼はそう言って、そのコンピューターメーカーに転職しました。

最初は戸惑っていましたが、持ち前の行動力と勉強量で半年もしないうちにトップクラスの営業成績を上げるようになりました。

しかし、2年目あたりから急速に成績が落ちてきました。やがてCランク営業(最低ランク)という烙印を押されてしまい、メンタル面にも影響が出てきました。

どうしてそうなってしまったのか、心配になって聞いてみたところ、意外な答えが返ってきました。

「売っている製品に一貫性がないんだ・・・」

外資系だからというわけではないのでしょうが、新しい製品が出るたびにそれを最優先で売らなければならないそうです。問題は、それまでに売っていた製品をある意味否定するような内容になっていることが、彼の悩みの種でした。

「コンピューターは進歩が早いから、割り切って新しいものを売ればいいのだろうけれど、どうも自分にはそれが上手くできなくて・・・」

彼の営業の流儀は、お客さんと時間をかけて信頼関係を築き、長い付き合いをすることだったのです。コンピューターのように、製品ラインナップがある日突然一新してしまうような製品を扱うのは苦手だったようです。

その後、彼はビルの空調設備を作るメーカーに転職し、営業マンとしても完全に復活しました。建築設備は、何十年もかけてじっくりとお客さんと向き合う業界だそうです。

さて、営業にも様々な流儀があるのかもしれませんが、それを意識している人は少ないようです。単に「売るのが得意」と思っている人は、一度自分の流儀を確かめてみてはいかがでしょうか。

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