「128万人」
これは、2017年10月末現在の日本で働く外国人労働者の数です。ここ5年間で倍増したとの記事が、先日の日経新聞(2018年8月20日)に掲載されていました。
確かに、近年、弊社が担当させていただく研修でも以前と比べて外国人の受講者が増えたように実感しています。
今までに研修でお会いした受講者は、様々な国の方がいました。具体的には中国、韓国が最も多く、次いでアメリカ、そして、インド、インドネシア、マレーシアの方々です。
研修を担当させていただく者の印象として、外国人受講者は国籍を問わず皆さんとても前向きかつ積極的です。たとえば、研修中に受講者に対して「質問はありますか?」と尋ねると、多くの日本人の場合はなかなか手が上がりません。しかし、休憩時間や研修終了後には個人的に質問に来る場合が多いのです。
つまり、質問があっても大勢の受講者の前では手を上げることは少ないのです。
それに対して、外国人の受講者は「質問はありますか?」とこちらから声をかけた場合はもちろんのこと、そうでないときであっても、主体的に質問をします。
質問内容は研修テーマに関してのみならず、演習の意味や日本語の言い回しなど、実に様々です。つまり、研修時間を漫然と過ごすのではなく、「この時間を大切にしよう」という姿勢を強く感じます。
また、「仕事の生産性」の研修の際には、毎回研修の冒頭に「仕事が予定通りに進むことが多いか」または、「予定通りに進まないことが多いか」について質問しています。そうすると日本人の受講者の場合は9割方が「予定通りに進むことは少ない」と答えますが、反対に外国人受講者の9割は「予定通りに進む」と答えます。
実はこれまでに何度か、「仕事が予定通りに進んでいる」と答えた外国人の受講者にその理由を尋ねたことがあります。
すると、「細かく1日の計画や仕事の計画を立てているから」や「予定通りに仕事が進むように、タイマーを使ったりするなどして納期を決めて仕事をしています」というような答えが返ってきました。
では、なぜ多くの日本人受講者は外国人受講者のように仕事が予定通りに進むように綿密に計画を立てたり、仕事の進め方を工夫したりすることができないのでしょうか?
先の日経新聞の記事によると、「そもそも外国人労働者の受け入れは、高度な専門知識を持つ高度人材に対して限定しており、いわゆる単純労働については原則として認めていません。行動人材は年収や学歴、職務経験、日本語能力などをポイント化し・・・」とのことでした。
実体は必ずしもこの通りではなく、単純労働についても認めているようですが、研修の受講者に限って考えると、外国人労働者は非常に優秀であるという印象を持ちます。
一方で、弊社が毎年担当させていただいている企業の研修では、受講者から外国人労働者に対してのマイナスの感想を耳にしたこともあります。
具体的に話を伺ってみると、外国人労働者の積極的な行動が日本人には時として特異なものとして捉えられてしまっているようなのです。
今後、日本では人口減少にともない労働力不足も進むことから、外国人労働者に頼らざるを得ないわけです。
こうした中、異なる価値観や文化を持つ外国人労働者といかに共存していくのか、新たな課題が顕在化しつつあります。これを解決しないとその企業や、大きく言えば日本という国が外国人労働者から選ばれなくなることもありえるのではないかと思います。
さて、あなたの会社では外国人労働者が既に働いていますか。または、受け入れについて具体的に取り組みを進めていますか。