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企業文化と人事部門

2014年11月02日 | コンサルティング

企業文化(corporate culture)とは、企業が持っている価値基準や行動規範のことを言います。よく社風などと言いますが、社風は企業文化から流れ出る雰囲気のようなものでしょう。

近年、経営学の分野では企業文化に関する研究が盛んにおこなわれています。世界トップクラスのビジネスエリートを輩出するハーバード・ビジネススクールのジェームズ・L・ヘスケット教授によれば、優れた文化を持つ企業は概ね業績が良く、企業文化によって「凡庸な企業との業績の差の20~30%を説明しうる」と述べています。

また同教授によれば、優れた企業文化には少なくとも6つの構成要素があるそうです。それは、ビジョン(Vision)、価値観(Values)、慣行(Practices)、人材(People)、ストーリー(Narrative)、場所(Place)とのことです。

私は人材(People)こそが全てで、後はその付属品程度に思っていましたので「さすが、ハーバード・ビジネススクール!」と感心してしまいました。

ただし、「人材(People)こそが全て」という私の考えが変わったわけではありません。「さすがハーバード・ビジネススクールは商売が上手い!」と感心したのです。相変わらず経営学というのは「よく分からないものをさも分かった風に説明することで成り立つ学問」だと改め納得した次第です。

さて、企業文化に話を戻しましょう。以下、ちょっと経済学臭が強くなってしまいますのでご了承ください。

まず、企業の価値基準や行動規範を生み出しているのは従業員です。優れた従業員が集まった結果、優れた業績が生まれます。優れた業績が実現できれば、優れた人材を雇用しやすくなります。そうしたことが繰り返される過程で、いわば「後付け」で企業文化という「よく分からないもの」が定義されていきます。

私は、その過程では価値基準や行動規範は意外にも「多数決」で決まっていくのではないかと考えています。

仕事の中で行われる日常的な意識決定が、一種の投票で行われているような状態、と考えていただいてよいと思います。もちろん「票」とはメタファですが、1人1票ではなく、役職や権限に応じて持っている票数が異なっていると考えます。

たとえばワンマン社長がいて、全社の票の半分以上を持っていれば、その社長の価値観や行動規範が企業文化になります。そこまで行かないときは、いわば多数決で文化が作られていくのだと思います。

こう書いてしまうと、企業文化というロマンチックな存在が何か味気ないもののように思えてしまうかもしれません。

その点はお詫びするとして、こうした「企業文化成立のプロセス」を理解しておけば、企業文化を変えることもできるのではないでしょうか。

企業の中で優秀な人材を発見し、その人の「持ち票」を多くするような役職を与えたり、仕事はできるけれども周囲に迷惑をかけがちな人の票を減らしたりすることで「優れた企業文化」を創っていくことができると思います。

そして、そのために存在している部署こそ人事部門です。言い換えれば、人事の仕事は企業文化を創り出すことです。

「人材(People)こそが全て」としか言いようがないのは、そういう理由だからです。

(人材育成社)

優れた企業文化を構成する6つの要素 | HBR理想の会社ブログ|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー


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