以前このブログで書いていますが、(http://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/e/b2f0d3420487e5975b78187039d26951) 再び「班猫」にふれます。
東京国立近代美術館で開催されている「竹内栖鳳展」に行ってきました。「班猫」と再会し、しばし向き合いましたが、青い目に全てを見透かされるような感覚がし、あらためてあの目にやられ(魅了)ました。
竹内栖鳳は幸野楳嶺に師事したそうですが、その育成方法は運筆⇒着色⇒写生⇒作図⇒古画模写 というステップだったそうです。
筆遣いの技術を高めるだけでなく、流派の垣根を自在に超え、やがてはどの流派でもない新しい表現を切り開いたということです。
竹内栖鳳は多くの動物を描いていますが、毛並の描写は写真で撮影したものを見ている感じがするくらいに繊細で、毛の一本一本まで確認できます。いずれの作品も時間をかけて丁寧に実物を観察したことが伺えます。
さらに、一部の作品は下絵も鑑賞することができましたが、熟考を重ね、緻密な構想によって絵が完成したことがわかりました。
晩年は、対象の動きや量感をスピードのある線で大つかみにとらえた作品が多くなったようですが、一貫して常に新しい目で対象をとらえたようです。
一つの表現に固執することを拒んで、変化に富んだ表現を切りひらき続ける原動力を持ち続けたことで、生み出された作品に圧倒されました。
全ての展示を見終え、あらためて感じたのは「温故知新」という言葉。徹底的に模写をして基礎を学び、その後は流派にとらわれず自分の画風を確立する。しかし、それにこだわらず、さらに新しいものを確立していくその継続力には頭が下がります。自分のやり方を確立するためには、先人の知恵や知識に学ぶことが必要だということなのだと思います。
人材育成も同様に、これまでの様々な知識や手法に学び、それぞれの良いところを生かしながら「今」に一番合うやり方を見出していくことが求められているのだと思います。これは簡単なことではないですが、チャレンジしがいのある課題だと思っています。
「人材育成もこうありたい」と竹内栖鳳の絵から感じた秋の一夜でした。
(写真は、東京国立近代美術館HPより)
(人材育成社)