中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

怪しい営業心理学:ザイアンスの法則

2016年09月04日 | コンサルティング

(1)人は知らない相手には攻撃的、冷淡になる、(2)人は相手に会えば会うほど好意を持つ、(3)人は相手の人間的側面を知った時に好意を持つ。・・・まるで当たり前の言葉が並んでいますが、これが「ザイアンスの法則」と呼ばれているものです。ある営業コンサルタントのホームページには次のように書かれていました。

「単純接触効果とは、人は対象物と繰り返し接することで、警戒心が薄れ、好意度が増していくという法則のことです。ザイアンスという方が、この法則を編み出したため、別名ザイアンスの法則とも呼ばれています。」

真っ先に「法則を編み出す」という部分にツッコミを入れたいところですが、そこはぐっと堪えて、この心理学の「使い方」について書かれた次の部分を読んでみましょう(結構長い文章なので適当に端折ってあります)。

「人は何回か会ってくると親しみも湧いて、自然と受け入れてくれるようになります。たとえば営業を例とすると、1回目の訪問で相手から断わりを受けるとそのあとは訪問しないと言う方も多いようですが、もう一度訪問しないと本当の結果を残すことが出来ないのです。そして、2回、3回と回を追うごとに相手の認知度もあがって来るのですから、あなたの訪問を受け入れてくれるようになるのです。」

まあ、このあたりは多少同意できる部分ですが・・・

「これは訪問だけに限りません。電話やメール、DMなどでも効果を発揮しますから、一度の断わりにめげずにアプローチをかけることが大事なんですね。それが新たな結果につながり、今まで以上の成果も期待出来るのです。あきらめずに、ねばりを持ちましょう。そうすれば結果も付いてきますし、営業して良かったと思えるようになりますよ。それがザイアンスの法則なのです。」

思わず叫び声を上げたくなりました。

だって、電話やメールがしつこく何度も来るんですよ!まともな人間なら、一度断ったところから何度も何度も電話やメールが来たら、その商品は買いたくなくなるのが普通です。

むしろ接触を繰り返してくるたびに、その会社に対する嫌悪が増してきます。つまり、「好意度が増してくる」のとは真逆の方向にどんどん進むのが「法則」の真実です。

たとえば、ネットであるサービスを受けるためメールアドレスを登録したら、1日に何通もメールが来るようになった、という経験をお持ちの方は多いはずです。そこで、すぐにサービスの解除をしたが、いっこうにメールの襲来は止まず、毎日送られてくるメールのせいでその会社のことがすっかり嫌いになった、という方もいらっしゃるでしょう。

こんな馬鹿げた「法則」を堂々と指南するなんて、コンサルタントや研修講師がいかに参入障壁の低い(いや、まったく無い)職業とはいえ、あまりにもひど過ぎます。

ここでザイアンス(Robert Zajonc)先生の名誉のために記しておきますと、スタンフォード大学の名誉教授であった先生は、社会心理学のパイオニアとして立派な業績を残し、2008年に亡くなっています。詳しくはWikiやスタンフォード大学のホームページを参照してください。

さて、私はZajonc先生の名誉のために、次のような「逆ザイアンスの法則」を作りました。 著作権は放棄いたしますので、ご自由にお使いください。

(1)人は知らない相手には警戒心を持つ
(2)人は興味のない相手から接触されればされるほど嫌悪感を持つ
(3)人はそれが度を過ぎると消費者センターに連絡したくなる。
(3)´消費者センター(東京)の電話番号は03-3446-1623である。

(人材育成社)  


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。