中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第889話 その相談は演武か実戦か

2020年03月01日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。 

ある大手企業の管理職研修が終了し、片づけをしているときに受講者の一人から相談を受けました。「私は営業部のマネージャーなのですが、部下のモチベーションがまったく上がらないのです。今回の研修で教えていただいたことはほとんど実践しているので、もう打つ手がありません。とても困っています。なにか良い方法はないものでしょうか。」

実は、研修講師をやっていると、こうした質問を受けることは少なくありません。若い頃(と言っても40代ですが)の私は、「やれやれまたか・・・」と思いながら「少しでも結果を出せるよう地道に努力を続けるしかありませんね」と答えていました。

しかし、今はこう答えています。

「なるほど。では、部下の方は具体的にどんな様子なのでしょうか?」すると「そうですね。私が言ったことをやろうとしないのです。誰でもできるようなことなのに。」

「ああ、それは大変ですね。ではこうしたらどうでしょう」、すると「ああ、それは何度かやったのですが上手く行きませんでした。」そして

「ご苦労が絶えませんね。他にはどんな困ったことがありますか?」・・・以下、時間の許す限りこんなやり取りを続けます。とは言っても、長くてもせいぜい5分くらいですが。

もうお分かりいただけたと思いますが、これは一種のカウンセリングです。

なぜこのようなやり取りをするかと言えば、相談する人は問題を解決してもらおうなどとハナから思っていないからです。しかも厄介なことに、相談者自身がそのことに気づいていないのです。

いや、正直に「本当は解決してもらおうなんて思っていないでしょう?」などと言おうものなら怒り出してしまいます。その結果、研修後のアンケートに悪口でも書かれてしまったら、商売あがったりです。

しっかりとお話をお聴きして、「困りましたねえ」、「大変ですねえ」、「そこまで行くと、私もお手あげです」とお答えするのが良いのです。相談者ご本人が解決できないことを一番よくご存じなのですから。

誤解しないでいただきたいのですが、これはけっして相談者をあしらったり、おちょくったりしているのではありません。

このやり取りは武道で言う「組手演武」のようなものです。流れるような会話が決まると相談者は満足して帰ります。

しかし、相談者が本当に困っていて真剣に解決を望んでいるときは、私も真剣に考えてお答えします。そのときは実戦です。

演武と実戦を見分けるのは簡単で、最初の一問一答でわかります。長年研修講師をやってきたおかげです。

言うまでもなく、真剣なご相談にお答えするのは簡単ではありません。いちど会社にお邪魔して詳細なお話をお聞かせいただき、解決のための概略プログラムと見積書をお出しいたします。そこから何回かの訪問とご相談を繰り返すことで、ようやく問題解決の糸口が見えてきます。

もちろん、それだけの時間とコストに見合う成果は必ず手に入ります。

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