中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第890話 異動をチャンスに

2020年03月04日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「新型コロナウイルスの感染防止のために、今春の異動は最小限にする予定です」

これは先日、ある企業の人事担当者からお聞きした言葉です。新型コロナウイルスの影響が日に日に大きくなりつつありますが、ついに4月の人事異動にまで影響が出始めているようです。

確かに、既に多くの企業で在宅勤務・時差出勤・出張の禁止・外部会議への参加自粛や、社外からの訪問をお断りするなど、様々な対応が行われています。

日々これまで経験したことのない事態になってきていることへの心理的不安も加わり、多くの企業では様々な形で仕事の効率が低下したりしています。さらに一部の企業では客足が途絶えるなど存続にかかわる影響が出てきているところもあり、経済全体に深刻な影響を及ぼしています。

こうした状況の中、年度替わりの人事異動や転勤をどうするかが、企業にとって大きな問題になっています。4月は1年の中でも最も異動が多いタイミングですが、「人が動く」ことによる感染リスクが高まること以外にも、異動直後は各々が慣れない仕事を担当することになるため、一時的に仕事の生産性は落ちてしまいます。

したがって、二重の生産性の低下を招かないためにも今回の異動は最小限に抑え、感染の終息後に本格的な異動を行うという考えの企業も出てきているようです。

さて、異動に関して近年では特に転居を伴う異動が問題視されるケースが増えてきています。異動には人材の育成、ノウハウの伝授、社内の活性化、不正の防止などのメリットがあります。一方、個人にとってはキャリアの断絶や、転居を伴う場合にはライフプランを築きにくいなどのデメリットがあります。

しかし、逆に異動をさせないことのデメリットも多々あるのです。人員が固定されることにより、同じ会社であっても支社や工場ならではの独自の文化が構築されてしまったりします。その結果、全体での情報の共有が難しくなったり人材の育成が滞ったりなどによって、組織に大きなダメージを与えてしまうのです。

これらのことから考えると、異動は良きにつけ悪しきにつけ企業の成長にも大きな影響を及ぼす一大イベントとも言えるわけです。

そういう大きなイベントだからこそ、現在のような時期には実施を差し控えるというのは、もちろん一つの大切な選択だと思います。

しかし、感染はいずれ終息します。(してくれなければ本当に困ります。)

であれば、今回のことをある意味でのピンチを逆に活かすことを考えてはいかがでしょうか。たとえば、事態が落ち着いた際に異動はどうするのかという今後の展望を今のタイミングできちんと社員に説明しておくことが大切です。

同時に、この機会に異動のルールを改めて社員に示したり、個人の希望を聞く機会も設けたりすることもいいのではないでしょうか。

過去にないほどのこの緊急事態を乗り越えるため、イレギュラーな対応をとることはやむを得ないことです。しかし、このピンチをチャンスにするために、今このタイミングでしておくべきことをきちんとしておくことがなにより大切だと考えています。

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