部下を育てるやり方はいろいろあります。20年ほど前なら今よりもたくさんの上司や先輩がいたので、そうした人たちの発言や行動から学ぶ機会もたくさんあったことでしょう。
よく「上司の背中を見て学べ」などと言いますが、当の上司も「意識して背中を見せている」ことが多かったように思います。しかし、今はそんな余裕もありません。だからこそ部下の育て方を学ぶこと、すなわち部下育成研修が必要です。
ご存知の方も多いと思いますが「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」(山本五十六)という名言があります。
(1)やってみせ:ある業務の開始から終了までに必要な作業を行い観察させる。
(2)言って聞かせて:その作業の内容を言葉で表現することで理解させる。
(3)させてみて:正しく理解したかどうかを実際に作業をさせて確認する。
(4)ほめて:正しく実行できたときはそのことを承認し必要に応じてほめる。
・・・以上のプロセスを実施しなければ部下は育たない、ということです。
さて、上記のプロセスをあなたが関わっている業務で実行するとします。実際の現場を思い浮かべながらよく考えてみてください。
まず、教えるべき業務に関係する「作業」を洗い出します。普段は意識せずに「流して」いる行為も業務を構成する「作業」としてはっきりさせる必要があります。
次に、作業とは「何をどうすることなのか、なぜそうするのか」を言葉や文章で表わします。しかも知識のない人に伝わるようにしなければなりません。ここが一番難しいかもしれませんね。
そして実際にやらせてみます。上手く行けば良いのですが、失敗しそうになったらどうしますか。思わず手を出したくなると思いますが、よほどのことがない限り我慢です。何よりも大切なのは部下の行動をしっかりと観察することです。
ようやく終わりました。危なっかしところもありましたが、なんとか無事に終わりました。さあ、ほめてあげてください。え?ほめるのが苦手?ほめ方を知らない?いけません!あらかじめ練習をしておきましょう。
・・・いかがでしたか? とても大変なことがおわかりいただけたと思います。
実際、ひとつひとつのプロセスで行うべきことや、注意しなければならないことを列挙するだけでもかなりの量になります。さらに、実行するには相当な練習が必要です。
ということで、部下育成の研修の必要性についても十分に納得されたことと思います。あらためてこの有名な言葉をもう一度。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ