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世界初、小型マグネシウム蓄電池の実用化にめど 県産技センター

2016年01月22日 17時36分05秒 | 県全般
世界初、小型マグネシウム蓄電池の実用化にめど 県産技センター

1月20日の各新聞の埼玉版は、県産業技術総合センター(SAITEC、川口市)が、スマートフォンなどで使う、室温でも安全で容量も大きく安価なマグネシウム蓄電池の開発に成功、世界で初めて実用化にメドがつき、2,3年内に製品化を目指すというニュースを一斉に掲載した。

日本初どころか世界初というから、梶田さんのノーベル賞以来の心が躍る大ニュースである。

現在スマホなどに使われている蓄電池の主流は、リチウムイオンである。ところが、原料のリチウムは、レアメタル(希少金属)で、高価で南米などに偏在していて、高価で確保が難しい。その上、水に触れると発火するという難点がある。

このため、リチウムに代わって、マグネシウム蓄電池の研究が世界中で進められている。

マグネシウムは資源量が豊富で、地表のほか海水からも精製できるので、リチウムに比べて25分の1程度の価格で調達できる。

おまけに、マグネシウム蓄電池は、リチウム蓄電池より2倍以上の容量が見込め、同じサイズならより長時間使用できる。同じ容量なら半分程度に小型化できるわけだ。

マグネシウムにも難点があった。室温で使うと発火する危険性があり、セ氏100度程度の高温下でしか使えなかった。また、充電や放電を繰り返すと劣化する課題もあった。

このセンターでは、08年度からこのようなマグネシウム蓄電池の難点克服に取り組み、電池の正極に新材料を考案、電解液に有機物を加えて、室温でも作動し、繰り返し充放電してもが劣化しにくい蓄電池の開発に成功した。

新材料はすでに特許を取得、電解液も特許申請をしている。年内に論文発表と11月に千葉市で開かれる専門学会で発表する。

センターでは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の次世代電池開発の委託事業を受託し、県内企業数社と共同で極の素材や電解液の開発に取り組んできた。

NEDOからの4800万円に加え、県でも「先端産業創造プロジェクト」の一環として4200万円を投資、研究開発をバックアップしてきた。

開発を担当したのは、栗原英紀専門研究員で、昨年末に実用化にめどをつけ、今後は県内企業や電池メーカーなどと共同で製品化を目指す。

経済産業省によると、世界の小型民生用電池市場規模は20年には1.5兆円に達する見込み。

小型軽量で大容量のマグネシウム電池は実用化されれば、スマホやタブレット端末の継続使用時間が延び、携帯情報端末機能を持つ腕時計やメガネなどウェアラブル機器でも活用できる。

「メイド・イン・サイタマ」のマグネシウム蓄電池の販売の日が待たれる。


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