インターネットの検索に慣れている人なら、「ウィキペディア」を知らない人はあるまい。
みんなで創る百科事典で、とうの昔、かさばる百科事典を処分したので、私にとってはなくてはならないものだ。
アクセスするのはまず、もちろん日本語版だが、いま一つ。国際的なものなら英語版に限る。
日本語のは、国際的な標準に照らせば水準はまだまだだ。大学なども自校の宣伝にもなるのだから、研究成果をどしどし載せてほしいものだ。
たまたま、新聞の埼玉版で深谷市の「ウィキペディア」を目指す「フカペディア」というのがあるのを知った。12年10月から始まった。
アクセスしてみるとなかなか面白い。
私のブログでも、深谷市のことは何度も書いてきた。渋沢栄一の崇拝者で、ネギも大好きなせいもある。何度この市を訪ねたことか。
素晴らしいのは、私みたいに部外者ではなく、「フカペディア」は、市民が筆者であることである。
たとえ私のような昔からの老木ファンでも、深谷市の「榧(かや)老木」が、樹齢1200年を超しているのは初めて知った。
「菊泉」で知られる滝沢酒造には、高さ25mを超す赤レンガの煙突と酒蔵と貯蔵庫を結ぶ「空中廊下」がある。
「ブロ包」とは、ブロコッリー専用包丁、「おっぺす」とは「圧力を加える」という方言だという。
フカペディア投稿希望者には、「視点を変えれば深谷にはさまざまな魅力がある」「歩け!とにかく歩け!」と、物書きの原点を教えているのも頼もしい。
「読みやすい記事を書く」ためのアドバイスもある。
何の基礎知識もなく、書き放題、垂れ流しがソシアル・メディアの現状だから、「コミュニケーションが目的ではありません」とはっきりと断っている。
こんなすごいのが全国に広がってつながれば、素晴らしい日本の知の世界が広がりそうな気がする。
13年6月には、全国広報コンクールの広報企画部門で入選した。