アメリカにある某神学校の児童教育担当の教授は、毎年、クリスマスの授業で、この『クリスマス降誕劇』を、生徒たちに読み聞かせていた。それは、こんな内容であった。
嘘つき、泥棒、弱い者いじめ、先生には悪態の限りを尽くし、神を罵るかと思えば、ゴミ箱に火をつけるという、わんぱく・おてんばを遥かに通り越した6人のタナカ姉弟たち。そんな彼らが、タダでお菓子をたくさんもらえると聞いて、教会にやって来た。折りしも、ちょうどその時はクリスマス降誕劇の練習中であった。
「おい、お前ら、何だか面白ろそうなことやってんじゃん。折角、教会に来てやったんだからさ、今年はアタシらが全部やってやるよ。」 と言って、何と劇を乗っ取ってしまった。
長女のムツコは、毎年マリア役をやっている女の子を脅迫して、マリアになり、他の兄妹たちもヨセフ、天使、3人の博士の役になった。練習の合間に、トイレでタバコを吸い、その煙を見て驚いた教会の婦人会の人が火事と思って、消防に電話をし、消防車が教会に来るわで、教会は近所を巻き込んでの大騒ぎとなった。
教会の子供たちにとっては、少々マンネリ化していた毎年恒例の劇だったが、彼らにとっては全てが初体験。クリスマスがキリストの誕生日だということは知っていたが、羊飼いや、博士たちや、星や、満員の宿屋ことなどについては全く知らない。
「羊飼いって誰よ?こいつら、どこから来たヤツ?」
「宿って誰が泊まるんだよ?イエスかい?」
「何で、妊娠してたのに予約しなかったんだよ!」
「バカ!これはな、2千年前の話なんだよ」
「くそっ、それにしても、何だって誰も部屋貸さないんだ!」
「生まれてくる赤ちゃんがイエスだって、誰も知らなかったんだからしょがないじゃん」
「だってマリアは知ってたんだろ、何でマリアは誰にも言わないんだ?」
「アタシなら、言ってやるよ。メシアだぞ、ふざけんな!って」
「大体、旦那のヨセフは何で黙ったままなんだ?」
「こいつ、頭悪いのか?」
「飼馬桶って何?馬小屋にベッドが置いてあったのか?」
「布にくるんだって、どういうこと?」
「何だって、赤ん坊をくるんで、家畜のエサ箱に入れとくんだよ?」
「児童福祉はどうなってんだ?訴えられっぞ!」
「じゃ、宿屋の主人に、いい加減にして、赤ん坊を小屋から連れ出せって言えよ」
こんな感じで、劇の練習中は、チンプンカンプンな質問だらけで、全然前に進まない。そうして、話しはヘロデ大王へと及んだ。
「え~!! 生まれたばかりの子供を殺すなんて!キモ過ぎじゃん。いったいぜんたい、なんで?」
「最初に何があったのか、初めっから話さなきゃわかんねーよ!!」
何故か彼らは、ヘロデ王のことに興味を持った。そうして、彼らは生まれて初めて図書館に行き、ヘロデ王のこととかをいろいろと調べ出した。・・・さて、遂にクリスマス劇の当日がやって来た。題して、『新鮮な驚きをもってクリスマス』
「こんなことがアタシらのために起こったなんて!」
天使役のアキミが、世界の一大ニュースでもあるかのように、大声をはりあげて叫んだ。会場は悪い噂と、いつもと違う雰囲気を感じ、誰もがしぃ~んとして黙っている。
「あんたがたに、みどりごが生まれたんだよ!」
そして、博士役の3人は自分たちの家に、慈善団体から贈られていたハムを詰めたバスケットを持ってきた。それは貧しい彼らの家では実に貴重なハムだった。
「おい、聞いてんのか、あんたがたのために、救い主の赤ちゃんが生まれたって言ってんだよ!」
それでは皆さん、Merry Christmas!!!!
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嘘つき、泥棒、弱い者いじめ、先生には悪態の限りを尽くし、神を罵るかと思えば、ゴミ箱に火をつけるという、わんぱく・おてんばを遥かに通り越した6人のタナカ姉弟たち。そんな彼らが、タダでお菓子をたくさんもらえると聞いて、教会にやって来た。折りしも、ちょうどその時はクリスマス降誕劇の練習中であった。
「おい、お前ら、何だか面白ろそうなことやってんじゃん。折角、教会に来てやったんだからさ、今年はアタシらが全部やってやるよ。」 と言って、何と劇を乗っ取ってしまった。
長女のムツコは、毎年マリア役をやっている女の子を脅迫して、マリアになり、他の兄妹たちもヨセフ、天使、3人の博士の役になった。練習の合間に、トイレでタバコを吸い、その煙を見て驚いた教会の婦人会の人が火事と思って、消防に電話をし、消防車が教会に来るわで、教会は近所を巻き込んでの大騒ぎとなった。
教会の子供たちにとっては、少々マンネリ化していた毎年恒例の劇だったが、彼らにとっては全てが初体験。クリスマスがキリストの誕生日だということは知っていたが、羊飼いや、博士たちや、星や、満員の宿屋ことなどについては全く知らない。
「羊飼いって誰よ?こいつら、どこから来たヤツ?」
「宿って誰が泊まるんだよ?イエスかい?」
「何で、妊娠してたのに予約しなかったんだよ!」
「バカ!これはな、2千年前の話なんだよ」
「くそっ、それにしても、何だって誰も部屋貸さないんだ!」
「生まれてくる赤ちゃんがイエスだって、誰も知らなかったんだからしょがないじゃん」
「だってマリアは知ってたんだろ、何でマリアは誰にも言わないんだ?」
「アタシなら、言ってやるよ。メシアだぞ、ふざけんな!って」
「大体、旦那のヨセフは何で黙ったままなんだ?」
「こいつ、頭悪いのか?」
「飼馬桶って何?馬小屋にベッドが置いてあったのか?」
「布にくるんだって、どういうこと?」
「何だって、赤ん坊をくるんで、家畜のエサ箱に入れとくんだよ?」
「児童福祉はどうなってんだ?訴えられっぞ!」
「じゃ、宿屋の主人に、いい加減にして、赤ん坊を小屋から連れ出せって言えよ」
こんな感じで、劇の練習中は、チンプンカンプンな質問だらけで、全然前に進まない。そうして、話しはヘロデ大王へと及んだ。
「え~!! 生まれたばかりの子供を殺すなんて!キモ過ぎじゃん。いったいぜんたい、なんで?」
「最初に何があったのか、初めっから話さなきゃわかんねーよ!!」
何故か彼らは、ヘロデ王のことに興味を持った。そうして、彼らは生まれて初めて図書館に行き、ヘロデ王のこととかをいろいろと調べ出した。・・・さて、遂にクリスマス劇の当日がやって来た。題して、『新鮮な驚きをもってクリスマス』
「こんなことがアタシらのために起こったなんて!」
天使役のアキミが、世界の一大ニュースでもあるかのように、大声をはりあげて叫んだ。会場は悪い噂と、いつもと違う雰囲気を感じ、誰もがしぃ~んとして黙っている。
「あんたがたに、みどりごが生まれたんだよ!」
そして、博士役の3人は自分たちの家に、慈善団体から贈られていたハムを詰めたバスケットを持ってきた。それは貧しい彼らの家では実に貴重なハムだった。
「おい、聞いてんのか、あんたがたのために、救い主の赤ちゃんが生まれたって言ってんだよ!」
それでは皆さん、Merry Christmas!!!!
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