編集手帳 《読売:4月21日》
太宰治はある短編に「生れて,すみません」と書いた。この言葉は詩人寺内寿太郎の創作という。黙って使われ,「生命を盗られなよう」ーー寺内は痛憤の心情を周囲に漏らしたと伝えられる。
◆文学作品に限らず,無断借用や盗用にはいつも怒りがついてまわる。今回の騒動は異色の部類だろう。“盗られた”側,シンガー・ソングライターの岡本真夜さんが怒りに代えて微笑で応え,ほんのり後味がよろしい。
◆中国・上海万博の公式PR曲が岡本さんの『そのままの君でいて』に酷似している問題で,万博事務局は盗作と認めたのだろう、岡本さんの所属事務所に曲の使用を申請したという。「万博に協力する機会をいただき,とてもすてさなお話で光栄です」。岡本さんは使用を受諾するコメントを発表した。
◆「ニセ物天国」「海賊版天国」という不名誉な異名が,ふと連想されぬでもない。折しも米国からは,中国が侵害した知的財産権の被害実態を調査するよう,上院財政委員長が米国際貿易委員会(ITC)に要請した,というニュースも届いている。
◆中国には、<そのままの君でいて・・・>もらっては困る。
太宰治はある短編に「生れて,すみません」と書いた。この言葉は詩人寺内寿太郎の創作という。黙って使われ,「生命を盗られなよう」ーー寺内は痛憤の心情を周囲に漏らしたと伝えられる。
◆文学作品に限らず,無断借用や盗用にはいつも怒りがついてまわる。今回の騒動は異色の部類だろう。“盗られた”側,シンガー・ソングライターの岡本真夜さんが怒りに代えて微笑で応え,ほんのり後味がよろしい。
◆中国・上海万博の公式PR曲が岡本さんの『そのままの君でいて』に酷似している問題で,万博事務局は盗作と認めたのだろう、岡本さんの所属事務所に曲の使用を申請したという。「万博に協力する機会をいただき,とてもすてさなお話で光栄です」。岡本さんは使用を受諾するコメントを発表した。
◆「ニセ物天国」「海賊版天国」という不名誉な異名が,ふと連想されぬでもない。折しも米国からは,中国が侵害した知的財産権の被害実態を調査するよう,上院財政委員長が米国際貿易委員会(ITC)に要請した,というニュースも届いている。
◆中国には、<そのままの君でいて・・・>もらっては困る。