小島と広島と私たち

島爺の倉橋島での農作業と,
広島を中心とした孫たちとのくらし

そのままの君でいて-5

2010-04-22 16:40:49 | 私見
 編集手帳 《読売:4月21日》
 太宰治はある短編に「生れて,すみません」と書いた。この言葉は詩人寺内寿太郎の創作という。黙って使われ,「生命を盗られなよう」ーー寺内は痛憤の心情を周囲に漏らしたと伝えられる。
◆文学作品に限らず,無断借用や盗用にはいつも怒りがついてまわる。今回の騒動は異色の部類だろう。“盗られた”側,シンガー・ソングライターの岡本真夜さんが怒りに代えて微笑で応え,ほんのり後味がよろしい。
◆中国・上海万博の公式PR曲が岡本さんの『そのままの君でいて』に酷似している問題で,万博事務局は盗作と認めたのだろう、岡本さんの所属事務所に曲の使用を申請したという。「万博に協力する機会をいただき,とてもすてさなお話で光栄です」。岡本さんは使用を受諾するコメントを発表した。
◆「ニセ物天国」「海賊版天国」という不名誉な異名が,ふと連想されぬでもない。折しも米国からは,中国が侵害した知的財産権の被害実態を調査するよう,上院財政委員長が米国際貿易委員会(ITC)に要請した,というニュースも届いている。
◆中国には、<そのままの君でいて・・・>もらっては困る。

そのままの君でいて-4

2010-04-22 16:30:46 | 私見
 余録 《毎日:4月21日》
 70年の大阪万博のテーマソングと聞けば,すぐ「こんにちは こんにちは~」と口をついて出そうになる方もおいでだろう。この「世界の国からこんにちは」,もともとの詞のタイトルは「世界のひとがこんにちわ」というものだった。
▲なぜそんなトリビアに詳しいかというと,実はこの歌詞は小社主催の万博テーマソング公募の入選作なのだ。約1万3000点以上の応募作から大阪在住の詩人,島田陽子さんの作品が選ばれ,中村八大さんが曲をつけた。
▲発表会では吉永小百合さんが初めて歌を披露したが,レコードは各社看板歌手の競作となり,坂本九さん,西郷輝彦さん,山本リンダさんらも歌った。ただ今では高度成長の坂道を一気に駆け上がった時代の興奮と共に三波春夫さんの歌声を思い起こす方が多かろう。
▲さて今日,騒動となったのはジャッキー・チェンさんやアンディ・ラウさんらがリレーで歌う上海万博のPRソングだ。こちらも公募の楽曲だったが,岡本真夜さんの13年前の曲との酷似が香港で注目され,ネットでは両曲を比べられる動画まで現れる騒ぎとなった。
▲問題の曲を一時使用停止にした上海万博事務局も、結局は盗作と認めたのだろう,岡本さんの事務所に楽曲使用の申請をしてきたという。岡本さん側は「万博に協力する機会をいただき光栄です」と,ここはお祭り前の大人の応対を見せて騒ぎは下火に向かいそうだ。
▲中国人にとっても坂道を駆け上がるような高度成長の興奮の中,多くの国民が「世界」と出会う万博だ。作曲者がどの国の人であれ,何十年の後も時代の記憶として耳によみがえる曲はあった方がいい。

そのままの君でいて-3

2010-04-22 16:30:36 | 私見
 産経抄 《産経:4月21日》
 数少ない小欄の自慢は,昭和45年9月5日に大阪万博の会場にいたことだ。1週間後に閉幕が迫ったこの日,330ヘクタールの会場に83万6千人もの老若男女が集った。人込みを見に行ったようなものだったが,それだけで満足した。
▼テーマの「人類の進歩と調和」を信じている人は当時からまれだったが,それでも万博は,豊穣(ほうじょう)な物語を生んだ。映画もヒットした漫画「20世紀少年」は、万博に行けなかった少年たちの物語だし,小説「水曜の朝、午前三時」は文句なく泣ける。
▼三波春夫さんらが歌ったテーマソング「世界の国からこんにちは」も忘れられない。「1970年のこんにちは」という歌詞を聞いただけで,何時間も並んで見た何の変哲もない月の石や「みどり館」など奇抜なパビリオンが目に浮かぶ。
▼あれから40年。跡地は緑豊かな公園に変貌(へんぼう)し,公園を管理する独立行政法人が,「事業仕分け」第2弾の対象となった。下手な仕分けをすれば,万博世代が黙っちゃいないだろう。
▼上海でまもなく万博が開幕する。日本での知名度はいまひとつだったが,PRソングが岡本真夜さんのヒット曲「そのままの君でいて」のパクリだったことが発覚し,にわかに注目を浴びだした。寛容な岡本さんは楽曲の使用を認めるようだが,油断も隙(すき)もない。
▼歌だけではない。駆逐艦など10隻からなる中国海軍ご一行様は,沖ノ鳥島周辺をいまだにうろうろし,艦載ヘリが自衛隊の護衛艦に異常接近する事態まで起こしている。黙っていれば,第二の竹島になりかねない。ここは鳩山由紀夫首相の出番だが,ワシントンで会談した胡錦濤主席に一言も文句を言えなかったらしい。蓮舫さん,仕分けするなら,まず首相と民主党からやってもらいたい。

そのままの君でいて-2

2010-04-22 16:16:06 | 私見
 天声人語 《朝日:4月21日》
 ホンダ,ソニーと紛らわしい「HONGDA」のオートバイや「SQNY」の乾電池が出回った国である。中国のコピー癖に今さら驚きはしないが,国の威信をかけたイベントまでとはニセモノ天国も半端じゃない。
▼上海万博のPRソングが岡本真夜(まよ)さんのヒット曲にそっくりな件で,万博実行委が岡本さん側に「あの曲を使わせてほしい」と申し出た。遅すぎる依頼ながら,岡本さんは「とてもすてきなお話で光栄です」と応じたという。
▼13年前の「そのままの君でいて」が,ほぼそのまま,なぜか中国の国家事業を盛り上げる運びとなった。先方は穏便にさばこうとしたのだろう。「盗作に抗議」「認めて謝罪」という手順をすっ飛ばした,お手軽にして珍妙な落着だ。
▼この荒業,当方も冗談としては話していた。冗談を地で行く国である。例えは悪いが,万引きの犯人が「倍払うから許して」とひれ伏した図が浮かぶ。そして店側は「とてもすてきなお話」と。
▼〈もっと自由に/もっと素直に/強がらないで歩いてゆこう〉という岡本さんの詞に導かれたか,体面を重んじる国にしてはビジネス本位の,素早い対応といえる。万博まで10日あまり。さすがに正面から争ったり,曲を作り直したりする余裕はなかったらしい。
▼盗作騒ぎは,中国のインターネットで「国の恥だ」と火がついた。岡本さんはかの国でも知られており,はやりものに疎い当局が笑いものになった。ネットをあれこれ規制したところで,人の口に戸は立てられない。「OKANOTO」が通るはずもない。

そのままの君でいて-1

2010-04-22 16:15:44 | 私見
 

新聞1面のコラムは一つの『顔』であり,その新聞社の姿勢,考え方をよく表している。
 4月21日の各紙は,期せずして,上海万博公式PR曲の問題を取り上げている。
地方紙を含め,5紙の競演といくか。人気投票をしてみたいものだが,さて,どこが一位の栄冠を勝ち取るか。


 天風録 《中国:4月21日》
 ここまでうり二つとは思わなかった。日本のシンガー・ソングライター岡本真夜さんの13年前のヒット曲の盗作では,と疑惑が持ち上がった上海万博の公式PRソング。インターネットの動画サイトで,聴き比べてみた。
▲「もっと自由に/もっと素直に」と軽やかに歌う岡本さんの「そのままの君でいて」。一方のPRソング「2010年はあなたを待っている」は,中国を代表する人気スターたちが声高らかに歌い継ぐ。曲のテンポこそ違うが,メロディーは最初から最後までそっくり。
▲最初に明るみに出たのは,中国のネット上だったという。「万博は世界にアピールする場なのに、恥ずかしい」。書き込みが相次いだ。そんなムードに押されるように,万博事務局も曲の使用中止に追い込まれた。
▲驚いたのはその後の素早い対応ぶりだ。「曲を使わせてほしい」と岡本さんの事務所に申請。「もっと素直に」という言葉が届いたのだろうか。岡本さんも「とてもすてきなお話で光栄です」と応じた。
▲今回の騒動は,かの国に日本のポップスやアニメが深く染みこんでいる証しに見える。動画サイトには,二つの曲を加工して重ね合わせた「デュエット」も登場している。ハモりがなかなか美しい。万博会場に日中の歌声が響くかもしれない。

花まつり-3

2010-04-22 15:09:45 | 広島の生活
 

花まつりの法話は本校職員のNさんだった。人とのつながりを表す導入部から,聞かせる話だったが教職員用の放送は途中で切れてしまった。あとで彼に原稿を見せてくれるように頼んだが,いえいえとても,と謙遜して見せてくれない。かわりに渡してくれたのが,彼が引用した,15歳の少年の文章であった。



 「元服」

 僕は,今年三月,担任の先生に勧められて,B君と二人,ある高校を受験した。その高校は私立で,全国の優等生が集まってきている,いわゆる有名高校である。担任の先生が「君たち二人なら絶対大丈夫だと思う」と強く勧めてくれたのである。
ぼくらは得意であった。両親も喜んでくれた。先生や両親の期待を裏切ってはならないと僕は猛烈に勉強した。
 ところが,その入試でB君は期待通りパスしたが,僕は落ちてしまった。
 得意の絶頂から奈落の底へ落ちてしまったのだ。
 何回かの実カテストでは,いつも僕が一番でB君がそれに続いていた。
それなのにその僕が落ちてB君が通ったのだ。
 誰の顔も見たくないみじめな思い。父母が部屋に閉じこもっている僕のために,僕の好きなものを運んでくれても,やさしい言葉をかけてくれても,それがみんなよけいしやくにさわった。
 何もかも叩き壊し,引きちぎってやりたい怒りに燃えながら,ふとんの上に横たわっているとき,母が入ってきた。
 「B君が来て下さったよ」と言う。
 僕は言った。「母さん,僕は誰の顛も見たくないんだ。特に世界中で一番見たくない顔があるんだ。世界中で一番いやな憎い顔があるんだ。誰の顔か言わなくたってわかっているだろう。帰ってもらっておくれ」
 母は言った。「せっかく,わざわざ来て下さっているのに,母さんにはそんなこと言えないよ。あんた達の友達の関係って,そんなに薄情なものなの?ちょっと間違えば敵昧方になってしまうような薄っぺらいものなの? 母さんにはB君を追い返すなんてできないよ。いやならいやでソッポ向いていなさいよ。そしたら帰られるだろうから」と言って母は出ていった。
 入試に落ちたこのみじめさを,僕を追い越したことのない者に見下される。
 こんな屈辱ってあるだろうかと思うと,僕は気が狂いそうだった。
 2階に上がってくる足音が聞こえる。ふとんをかぷって寝ているこんなみじめな姿なんか見せられるか。胸を張って見据えてやろうと思って,僕は起き上がった。
 戸が開いた。中学の3年間,いつものくたぴれた服を着たB君,涙をいっぱいためたB君が,くしやくしやの顔でそこにいた。
 「A君,僕だけが通ってしまってごめんねj
 やっとそれだけ言ったかと思うと,両手で顔をおおい,駆け下りるようにして階段を下りていった。 僕は恥ずかしさでいっぱいになった。
 思い上がっていた僕。いつもB君には負けないぞと,B君を見下していた僕。
 この僕が合格して,B君が落ちていたとしたら,僕はB君を訪ねて「僕だけが通ってしまってごめんね」と泣いて慰めに行っただろうか。
「ざまあみろ」と,よけい思い上がったに違いない自分に気がつくと,こんな僕なんか落ちるのが当然だったと気がついた。
 彼とは人間のできが違うと気がついた。もし通っていたら,どんなに恐ろしい,ひとりよがりの思い上がった人間になってしまったことだろう。
 落ちるのが当然だった。いや落ちてよかった。本当の人間になるために,天が僕を落としてくれたんだと思うと,悲しいけれども,この悲しみを大切にして出直すぞと,決意みたいなものがわいてくるのを感じた。
 僕は今まで思うようになることだけが幸福だと考えてきたが,B君のおかげで,思うようにならないことの方が,人生にとってもっと大事なことなんだということを知った。昔の人は15歳で元服したという,僕も入試に落ちたおかげで,元服できた気がする。

花まつり-2

2010-04-22 00:59:52 | 広島の生活
 四苦八苦 《「花まつり」資料から》
 仏教では,この世は苦しみに満ちあふれていることを「一切皆苦」といいます。
 具体的には,すべての人が避けることができない苦しみである「生老病死」を「四苦」といい,次の四つの苦しみを加えて「四苦八苦」というのです。
愛別離苦(あいべつりく):どんなに愛する人とも別れる時がくること。
怨憎会苦(おんぞうえく):嫌いな人とも会っていかなければならないこと。
求不得苦(ぐふとっく) :ほしい物を手に入れられないこと。
五蘊盛苦(ごうんじょうく):精神,肉体的に執着してしまうこと。

 この「四苦八苦」という言葉は,とても苦労したという意味に使われていますが,本来は私たちが生きていく上で避けられない根本的な苦しみを指した言葉なのです。
 つまり,仏教でいう「苦」とは,「人生は自分の思い通りにならない」ということにほかならないのです。

 遠い昔約2500年前にお示し下さったお釈迦様のみ教えは,時を超え,ますます輝きを増しています。
 「花まつり」は,お釈迦様のご生誕をお祝いするだけでなく,み教えを聞かせていただく大切な日なのです。

花まつり

2010-04-22 00:59:32 | 広島の生活

 今日は灌仏会
 4月8日はお釈迦様の誕生日。
今から2500年ほど前,インドのヒマラヤの麓,ルンビーニの花園でお釈迦様がお生まれになったとき,生誕を喜んだ天上の龍が,甘露の雨をお釈迦様に降り注いだことにちなんで,「花まつり」では,花御堂の中に誕生仏を安置し,甘茶をかけてお祝いをする。
 また,「花まつり」では白像が出てくるが,これはお釈迦様のお母様が,白い象が胎内に入る夢を見てお釈迦様を身ごもったという言い伝えに基づいている。そうです。《本校,花祭り資料から》

 年度初めの学校行事の錯綜から,落ち着いたこの時期に本校の「花まつり」が行われる。
まず全校生徒に対して,仏徒(子の表現でいいのかな?)である本校教職員の法話に始まり,数クラスずつに分かれた灌仏会行事が行われる。
 学校でこのような行事が催されるのもなかなか良いものだ。
今日は何かと仕事に追われて,甘茶を頂戴する機会にめぐまれなかった。