爺々どもの繰り言
「元気じゃったかや」
『うん,まずまず』
「まさか病気ではなかったんじゃろう?。1週間も更新がなかったが・・・」
『心配かけて済まなかった。島ではインターネットを引いていないんで』
「なら安心じゃ」
『このように声をかけて貰うのが,年寄りには何よりじゃね』
「他に何か?」
『この間は呉市水道局から電話があってね』
「料金の督促か?」
『“いつもより水道の使用量が多かったが何かあったか”とね』
「ふんふん」
『メーターを見る限り水漏れはないのに,と心配してくれたらしい』
「役所もたいしたもんだ」
『同じ役所でも,収納課は赤い字のはがきで督促状を送ってきたがね』
「井戸の方は片がついたのか?」
『外の穴は土嚢袋で山の土を30袋,あと,10袋くらい必要かな。
水漏れはもう少しあるようだから,来年に暖かくなってから・・・』
「まるで10月の蚊だな」
『何じゃ,そりゃぁ』
「5月の蠅と書くと?」
『うるさい』
「10月の蚊は?」
『しつこい,か?』
「インターネットの辞書にもちゃんと載っている」
『???』
「まあ十月蚊のもいいが,三重県では井戸浚え中に崩れたらしい。注意せんと」
『この前は夕方に従弟が来てね。
朝から顔を見せないので心配してくれたらしい』
「何をしよったんじゃ?」
『朝からずっと栗の皮を剥いていた』
「子どもさんらも心配しているじゃろう?」
『6人おっても,誰一人電話さえして来ん。薄情なもんじゃ』
「元気なんで,安心しちょるんじゃろう」
『なんの。いつか家内が
“私が逝く時には一緒に連れて行かないといけんじゃろうね”
と言ったところが,
“よろしくお願いします”
と答えたそうな』
「みんな,ひそかに心配しちょるんよ」
『なんの,
“ええ案配に,島でころっと逝ってくれりゃぁええが”
と,ひそかに願うちょるんじゃろうて。
“更新のないのはええ塩梅の証拠”と云うそうな』