小島と広島と私たち

島爺の倉橋島での農作業と,
広島を中心とした孫たちとのくらし

親愛なる母上様-加藤貴光さん

2010-01-14 15:18:40 | 広島の生活
 

 親愛なる母上様

あなたが私に生命を与えてくださってから
早いものでもう20年になります
これまでに
ほんのひとときとして
あなたの優しく
温かく
大きく
そして強い愛を感じなかったことはありませんでした

私はあなたから多くの羽根をいただいてきました
人を愛すること
自分を戒めること
人に愛されること
この20年で
私の翼には立派な羽根がそろってゆきました
そして今
私はこの翼で大空へ翔(と)び立とうとしています



 阪神大震災で神戸大生だった一人息子を亡くした加藤りつこさん(61)=広島市安佐北区=が,震災から15年となる17日を前に,被災地で小学生らへの講演を相次いで行う。息子が生前,りつこさんにあてて書いた手紙は「親愛なる母上様」という曲にもなり,その曲を通じた新たな出会いが今のりつこさんの支えとなっている。「息子が残してくれた手紙をきっかけに,多くの出会いがあった」。りつこさんは講演を通じ,人は出会いによって支えられていることを震災を知らない世代にも伝える。

 国連職員を目指していたりつこさんの長男,貴光さん=当時(21)=は,神戸大法学部2年だった平成7年1月,下宿先の兵庫県西宮市のマンションが全壊し,亡くなった。一人息子を失ったりつこさんを支えてきたのが,入学式直前の5年4月,下宿先を訪ねたりつこさんのコートに,貴光さんがそっとしのばせた手紙だった。

 ノート1枚に,ボールペンで記されたきちょうめんな字がびっしりと並ぶ。
手紙は「あなたを母にしてくださった神様に感謝の意をこめて」と結ばれていた。
「まるで遺書みたい…」。震災後、何度読み返しても涙があふれた。
   《以上,産経新聞1月11日,及び,インターネットGoogleニュースより》

 「母上様へ」手紙が歌に《1月14日:毎日・広島版》
 震災がくれた出会いに感謝します-。神戸市灘区の神戸大学で13日,阪神大震災(95年1月)の犠牲者追悼コンサートがあり,震災で亡くなった神戸大学法学部生,加藤貴光さん(当時21歳)が母りつこさん(61)=安佐北区=に送った手紙に,ミュージシャン,奥野勝利さん(36)兵庫県姫路市夢前町=が曲をつけた「親愛なる母上様」が披露された。りつこさんは2人の“息子”が共作した楽曲に涙した。
 〈中略〉
りつこさんは,07年11月,ブログで公開されていた曲を知った。樫は入学時に下宿を訪ねたりつこさんのコートに,貴光さんがしのばせた手紙だった。
 〈中略〉
 この日のコンサートには学生や教職員ら45人が訪れ,りつこさんの話と奥野さんの歌に聴き入った。講演終了後,りつこさんは貴光さんの後輩の学生を抱きしめた。「『人の役に立ちたい』と言っていた息子の遺言が,誰かの心を動かしている」。そう話すりつこさんの瞳に涙が流れた。

 

加藤君は私の勤めていた学校の卒業生だった。彼の隣のクラスの生徒を卒業させたが,彼とは直接のつながりはない。だが,同じ学校に籍を置いた教師の1人として,卒業生の中でただ一人阪神大震災で亡くなられた加藤君を忘れることは出来ない。

 この詩は,当時の新聞にも掲載され,多くの仲間の涙を誘った。
元気であれば36歳。私ごとで言えば,95年秋私の父が逝った。私の子供と同い年で,お子さんの出来ている年頃だ。

 この記事を見つけたのは今日の毎日。探していて11日の産経新聞(写真・下)に行き着き,ここに掲載させていただいた。

 加藤貴光君の御霊が,安らかに眠られるよう祈る。

 1月11日,産経新聞


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3 コメント

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伝えてゆきたいですね (tontonton)
2010-01-15 23:37:40
このことは、家内の友人の方から聞きました。
私も2007年04月13日のブログに「天からの使者の『愛の手紙』」として掲載したことを思い出しました。
震災を忘れないためにもず~っと伝えてゆきたいですね。

かくれた,数々のドラマが (島爺 )
2010-01-17 23:28:54
当時,長野へのスキー修学旅行の準備に追われていました。
可部高校は1日がかりでバスで帰着。
こんな時がから中止にしようと呼びかけましたが生徒はどうしても行きたいという。結局,広島,宇部,福岡,岡山,高松の空港から分散して北海道に出かけました。3月に入ってのことです。
 このようなすばらしい手紙を書いた貴光君も,育てられたお母さんも立派です。
亡くなられた6千余名のご家族だけでなく,ほとんどの方がこの事故に関わるドラマをお持ちでしょうね。
息子から母への最高の手紙 (satukihime)
2016-02-29 08:59:55
最近、『希望ふたたび』という加藤りつこさんの著書を読みました。そしてユーチューブの曲を繰り返し聞いています。これは、息子から母へ送られた手紙の中で、最高のものだと感動しています。

良い記事をありがとうございました。一人でも多くの人に、この手紙が伝わることを私も願っています。(僭越ですが、貴ブログ記事の青い文字の中に、「樫」→「歌詞」の誤字がありますので、訂正をお願いします。)

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