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「愚か」と「愚直」

2010-04-23 17:49:46 | 私見
 うーんとしか言いようがない。
 
 「愚か」と「愚直」 《政論・産経:4月23日》
 鳩山由紀夫首相と自民党の谷垣碩一総裁の21日の党首討論を聞いていて,強い違和感を覚えた。首相が米ワシントン・ポスト紙に酷評された「愚か」(loopy)とする見方を認めたことにではない。「愚か」という表現を,巧みに「愚直」という別の言葉にすり替えたことに対してだ。
 「ワシントン・ポストの言うように,私は愚かな首相かもしれません」
 討論冒頭,首相はあっさりとこう通べた。平野博文官房長官は「謙虚さの表れ」と持ち上げたがたしてそうだろうか。首相は次の瞬聞には同紙にはない表現を織り交ぜたのだ。
 「愚かだったから愚直だったから。あるいはそうかもしれません」
 そして,次の段階では「愚か」を省き,「愚直」だけを使った。まるで言葉の手品を見るようだった。
 「少しでもそれ(沖縄の負担)を和らげることができたら。愚直にそう思ったのは間違いでしょうか」
 首相は21日夜,記者団に「愚かな首相」と述べた真意を問われた際にも「(沖縄県民のために)愚直さを生かさなきゃならないときだ」と強調するなど,「愚直」を7回も繰り返した。
 だが,[愚か」と「愚直」を混同するのはおかしい。複数の辞書を総合すると,前者は文字通り「考えが足りないさま」「ばかげているさま」で英語の「loopy」に通じる。一方,後者は「正直いちずなこと。ばか正直」などとあり,不器用なまでの真っ正直さを表す言葉なのだ。
 「愚か」と「愚直」を都合のいいようにすり替えるとは,正直な態度とはいえない。とても愚直を自任する資格はないはずだ。
 「首相のあまりにも軽い言葉が,国民の政治に対する信頼を失わせることを憂慮している。一国の首相が政策もよく分からないで,国民を狼狽させるような発言をしてしまう。こんな朝令暮改を繰り返す状況なら,国民はたまったものではない」
 首相が民主党幹事長時代の平成20年11月の記者会見で,当時の麻生太郎首相を批判した言葉だ。省みて自らを恥じる気持ちはわいてこないのだろうか。(阿比留瑠比)