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この映画の存在を知ったのはどういう経緯だったのか
よくわからなくなってしまったのだが、
もう20年以上前に同監督の『砂時計』を観た時点では、『サラゴサの写本』(というか『サラゴサ手稿』として知られていた)という映画も撮っていて、18世紀ポーランドの作家ヤン・ポトツキの奇怪な小説を原作としていることは知っており、以降観たい映画の筆頭としていたものである。
それが昨年、いや一昨年のポーランド映画祭で『サラゴサの写本』として上映されるということになり、うひょ~とうとうこの日がやってきたと喜ぶも、スケジュールの都合でどうしても劇場に駆けつけることができなかった(T T)。
そして昨年、再びポーランド映画祭で再上映されるにあたり、ようやく鑑賞することができたという次第です。
『砂時計』の上映もあったのだがそちらはやはり都合が付かず断念。
国内ソフト化されることを願うところです。
映画のほうは、ウワサに聴いていた通り、多重入れ子構造と繰り返しによる幻惑に満ちたものでした。
観ている自分がいま何を観ているのかを必死でおさえていないと、いまどこにいるのかわからなくなってしまいそうな。
そもそもがこの物語が1冊の書物に書かれていることという大きな構造があって、
その中でさらに、語られている物語が実は人物が見た夢の話(夢かどうかは定かではないけど)だったとか、
あるいは登場人物が回想する物語のなかに登場する人物がまた回想を始めたりとか
どんどん入れ子になっちゃうんですね。
で、慎重に見ているつもりでも、油断すると、
入れ子から脱して元の語り手にもどったところで、
あ、そうだったこいつが回想してたんだったwと思い出すような感じでありました。
とはいえ、構造的にはそんなに破綻はしていなくて、むしろ全体の整合性は取れている入れ子で
何度か見るとわかり易い映画なのかもしれません。
前半は吊るされた死体のもとに何度も帰ってくる循環する悪夢のような禍々しい雰囲気があるのに
後半になると中世の小話みたいに他愛無い笑いの取れる話が重なってきて、
だんだん苦笑することになります。
後半はちょっとパゾリーニの『カンタベリー物語』などの語り口を思い出したり。
入れ子と循環の物語は、作品がそういう構造であることとともに、
この物語が書かれているはずの書物が物語の中にも登場し、
その書物に物語の人物が自らの体験を加筆していくという設定で仕組まれているのも面白いす。
ちょっと目が回る。
原作の抄訳は国書刊行会から出ている(どうやら1980年に)んですが、未読。
原作は66日分のエピソードがあるが抄訳はそのうち14日分とのこと。
翻訳者の工藤幸雄氏は生前に全訳を終えているということで、東京創元社から刊行予定
とずーっと聞かされているんだけれど、まだかなー?
14日分であの国書刊行会版の厚さがあるので、
全訳は相当なボリュームになるだろうね。
ということで、新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしゅうお願いいたします。
この映画は昨年中に観ましたが。
@イメージフォーラム
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