政府・与党の「社会保障・税一体改革案」は、小沢一郎流の「経済成長戦略・景気政策」がなければ毒薬となる

2011年07月01日 18時41分02秒 | 政治
◆政府・与党が決定した経済成長戦略なき「社会保障・税一体改革案」は、国民に残酷増税のみを課する国民いじめの改悪案である。
 「社会保障・税一体改革案の骨子」は、以下の通りである。
 ①2015年度段階で年金、医療、介護、子育ての給付を3.8兆円程度拡充
 ②10年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げ
 ③引き上げは、経済状況の好転を条件とし、11年度内に法的整備実施
 この「経済状況の好転を条件」というのが、実にいかがわしい。つまり、経済成長戦略も景気政策もなく、成り行き任せという意味であるからだ。「10年代半ば」までに経済景気が好転しているという保障はない。
 菅直人首相は、政権の座にはいない。野党自民党は民主党の「子ども手当て」に反対しており、「少子社会」に対する対応策に冷や水をぶっかけて潰そうとしている。これでは、将来の日本の生産力は、増強されることはない。
 それ以上に憂慮されなくてはならないのは、「景気循環(サイクル)」である。日本の景気が、1952年秋以降、これまで「10年サイクル」で、「不況→好況→不況→好況」を繰り返してきたという経験則を忘れてはならない。
 いまは、2002年秋から始まった「好況期」が終わる1年前にさしかかっている。2012年秋からは、「10年続く不況期」に入り、2022年まで不況が続くので、「10年代半ば」は、「経済状況の好転」どころか、不況の真っ只中にあり、「消費止税引き上げの条件」は整わないのである。
 それを無理して、「10%にアップ」すると、経済景気をますます悪化させる「毒薬」となる危険がある。橋本龍太郎首相の二の舞になれかねないのである。
◆竹下登首相が1989年4月1日に消費税(3%)を導入して以来、国の税収は、ジクザグながら全体的には一貫して下降線をたどり、橋本龍太郎首相が1997年4月1日から消費税率「3%→5%アップ」を施行して、さらに国の税収減に拍車がかかり、この傾向は、今日においても変わっていない。
 国の一般会計税収の推移は、以下の通りである。
1989年=54.9兆円(バブル経済ピーク、竹下登首相が消費税(3%)導入)
199O年=60.0兆円(バブル経済崩壊)
1991年=59.8兆円
1992年(平成大不況に突入=10年サイクル)
1993年=54.1兆円
1994年=51.0兆円
1995年=51.9兆円(【小沢一郎、12月15日告示の新進党党首選に向けて、「政策提言メモ」をまとめる】⇒この提言には、消費税の段階的引き上げ策と経済成長戦略、景気政策がセツトされていた。このときから、すでに16年経過している)
1996年=52.1兆円
1997年=53.9兆円(橋本龍太郎首相が消費税率「3%→5%アップ」施行、経済成長戦略がなく、景気政策もなかった。アクセルとブレーキを踏み間違える行政改革の名の下で省庁再編のドサクサに紛れて環境庁を環境省に昇格して、環境利権を独占)
1998年=49.2兆円
1999年=47.2兆円
2000年=50.7兆円
2001年=47.9兆円(小泉純一郎首相の構造改革スタート、公共事業費カット)
2002年=43.8兆円(好況期に入る=10年サイクル→2012年まで)
2003年=43.3兆円  
     2004年=45.6兆円
   2005年=49.1兆円
   2006年=49.1兆円(安倍晋三首相)
2007年=50.0兆円(福田康夫首相)
  2008年=44.3兆円(麻生太郎首相、9月15日、リーマン・ショック)
   2009年=38.7兆円(鳩山由紀夫首相)
   2010年=39.6兆円(菅直人首相)
2011年=40.9兆円(?=東日本大震災の悪影響により不可能)
2012年=00.0兆円(大不況期に突入=10年サイクル→2022年まで)
◆【小沢一郎の政策提言メモ】
 1、経済・社会を建て直す国内の買い換え需要を中心とする、成長率三%程度の成熟経済を確立する。そのために、規制による経済管理を止め、経済・社会の自律性を高める。その幸造改革を行う中で、不況からの脱却も図る。
 (1)所得税・住民税を現在の半分に減らす(減税規模は13艘兆円前後)。最高高実効率は50%に引き下げる。法人税は現行の実効税率50%を45%に引き下げる。
 (2)土地への課税のうち、保有課税は地価税の廃止を含め、大幅に軽減して一本化を図る。不動産取得税、登録免許税等は廃止する。買い換え特例制度は存続させる。同時に、地価の急騰時などに機動的に発動できる地価安定システム(税制を含む)を設ける。
 (3)新しい経済・社会に脱皮するための投資として、次の5分野に新たに国費で毎年それぞれ一兆円規模の投資を行う。
 ①新技術の研究・開発(新素材、超電導、蓄電池、バイオ等)②新産業分野の開拓(情報通信、環境保全、高齢者福祉等)
 ③規制の撤廃・緩和の推進
 ④産業等第一次産業の国際化対策
 ④国際社会への協力・友好親善の強化(国連平和活動の経費を含む)
 (4)構造改革の達成まで総需要と雇用を維持するため、生活環境の整備を中心に、新たに国費で毎年5兆円規模(事業費15兆円前後)の公共投資を追加実施する。(東北・北陸・九州の新幹線建設、6~8のハブ空港建設、高速道路網の整備、下水道の処理人口普及率を90%に引き上げることなど)
 (5)以上の施策の実行に当たっては、景気の現状も踏まえて、平成8年度に予定されている消費税率の引き上げ(5%)を中止し、施策実行の年より5年経過後に6%に、10年経過後に10%に税率を引き上げるよう法律を改める。それまでの間、施策の財源は国債発行でまかなう。
 (6)総合課税を徹底し、納税者番号を導入する。(過去の資産形成については不問に付す)
 この政策提言メモについて、小沢一郎元代表は、当時、橋本龍太郎首相が1996年に消費税の「5%」引き上げを決定しようとしてことに反対して、独自の工程を示していた。その内容について、私は、拙著「小沢一郎の時代」(同文書院刊、1996年2月6日)のなかで、以下のように書いた。
 「『10年経過後に10%にする。その10年の計画を進めると、ほぼ先進国並に生活環境整備と社会資本の整備が出来ますので、それほど多くのお金がかからなくなります。ただ同時に借金の返済と、それから超高齢化社会がまさに到来している。2015年がまさにピークだと言われています。その福祉の財源に宛てる為には、どうしても十%程度の負担が必要になる』
 『消費税の問題も、景気が回復し、経済嬢迫改善が軌道に乗った後は、みなさんにも負担して頂きたい。私は10年計画で考えています。10年過ぎて完全に経済構造の改善も出来ている。21世紀の新しい新経済体制が出来上がるような時点になったら、皆さんでも負担してもらう。超高齢化社会が到来する。そのときは、福祉の財源も必要です』
 小沢一郎は、巨額の借金財政を辞さない覚悟で、一気に景気を浮揚させようとしているのである。ダイナミックな政策である。
 『5年経過後に6%にしますと、それでも150兆円からそれ以上の国債発行が必要になる。民間の皆さんにもお聞きいたしましたけれども、日本の経済力により、その程度の国債の消化には十分堪え得ると私は思っています。日本の経済のシステムは、完全に構造改善も軌道に乗ったという11年目から、つまり10年経過後からの時点においては、10%の消費税のなかから、長年かけて国債を消化していくということは十分に可能だと思っております。もちろんその時点において、低所得者やその他の人々のために、生活必需品については消費税から除外視すべきだ考えます。その時に考慮する』
 高齢化時代の福祉システムや介護システムを作っていくために先行投資していく。サラリーマンは、六十歳で定年退職する。しかし、退職後もみんな元気である。小沢一郎は、再雇用され生き甲斐のある人生の保障を唱えている。『福祉福祉と言葉を使うのは楽だけれど、そういう世の中を作っていきたい。そのための先行投資をしていきたい。10年でほぼ軌道に乗ったならば11年目から、消費税10%にすることによって償還とそれから高齢化杜会になりますから、そのときには福祉の目的にも使える』
と力説している。
 『ある程度長期の政策を打ち出すことによって、経済は活発化していく。個人の消費についても、また民間の設備投資なども、また民間の新しい設備投資なども、あるいは新しい産業の技術改革も活発化していくと、3%前後の経済成長は十分可能だと私は期待しております』
 小沢一郎の政策提言メモは、まさに将来の日本の命運を左右する「深謀遠慮」が盛り込まれているのである」
◆小沢一郎元代表は、1995年12月27日、野党である新進党党首に当選している。その後、政権を取れば、「10年後に消費税を10%に引上げる」という公約の実現に邁進したに違いない。政権交代したのは、この政策提言メモを書いてから、14年を要していた。「苦節10年」どころではなかったのである。
 だが、小沢一郎元代表は、「社会保障・税一体改革」を「経済成長戦略、景気政策」とセットで考えるという基本姿勢をいまでも崩していない。それでも、「日本の景気サイクル10年説」を織り込んでタイミングを計らなければ、用意周到な小沢一郎元代表といえどもうまくいかないだろう。 

本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
亀井静香首相特別補佐官が、官房機密費を湯水の如く使い、丸山和也参院議員ら10数人に猛烈アタック、引き抜き工作を展開中だ

◆〔特別情報①〕
亀井静香首相特別補佐官(国民新党代表)が、自民党参院議員10数人に猛烈にアタックして引き抜き工作を繰り広げている。工作費用は、ふんだんに使える官房機密費だ。これを湯水の如く打ち込んで、一気に衆参ねじれ解消を狙い工作中である。菅直人首相は政権延命を描けて、この官房機密費の支出を認めているという。元来、領収書のいらない官房機密費は、政権維持のために使ってよいことになっているからである。

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『自・社連合が小沢一郎への逆襲をはじめた』1994年7月30日刊



もくじ

2章 田中角栄門下生たちによる骨肉の争い
  ―自民党内の小沢一郎包囲網の暗躍

羽田孜が捨てた政権を村山富市が拾う

 国民のあきれ顔をよそに、よたつきながら、羽田連合政権は生まれ、予算成立後の六月三十日の村山政権誕生を機に、政界再編成第二幕が、急展開したのである。
「次期総選挙までの選挙管理政権、羽田政権は早くも短命で終わる」
 との予想通り、倒れた。正確にいえば、放り投げたのである。それを運よく拾ったのが河野洋平の自民党と村山富市の社会党、武村正義の新党さきがけだった。

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四王天延孝陸軍中将の名著「猶太(ユダヤ)思想及運動」 No.120

第二章 第一世界大戦

前回からの続き

 墺國のフリーメーソン新聞は皇儲晴殺の報を得ても、之に関し其の新聞紙上に何も掲載しなかつたが、佛國フリーメーソン新聞アカシヤは、此の暗殺を以て英雄的事業だと賞讃した。巴里に於ては既に千九百〇一年に、墺國皇室に近く凶変があると豫言する者があつた。同時に。獨乙のホーフエンツオルレルン王朝も千九百十年には終りを告けると云はれた。

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