「子義」は、吉田松陰の俳号。ペリー来航に際して、松陰は黒船への乗船、アメリカへの密航を企て失敗し、萩藩(長州藩)の野山獄に繋がれた。
ここに、在獄五年の吉村善作という俳句のできる男がいて、松陰は「以前から自分は俳句を学びたい、と思いながらその機会がなかった。吉村殿がおられるのを幸いに師事したい」と申し出て、他の囚人と共に吉村の弟子になり、獄中句会を開くことになったのである。掲句は、松陰の習い始めの句である。
「木の葉」「落葉」と言えば冬の季語であるが、秋にして欲しい季語である。何故なら、先日から我が家のテラスは、秋風によって山桜の木の葉が降り始めたからだ。
さて、この句の「図らずも」に松陰の苦悩が読み取れる。世は変わらねばならないのに、藩や幕府などは旧態然としている。木の葉が散るように世の中、私の思うようにはならぬ。
マツヨイグサ(待宵草) アカバナ科の二年草