一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

712  主なき靴拭いておく秋彼岸  みどり

2012年09月22日 | 

 

 お彼岸は、春秋2回あるが、単に「彼岸」と言えば「春の彼岸」のこと。秋の彼岸は「秋彼岸」と言うのが俳句での習わし。この中日が、春分(の日)、秋分(の日)で、太陽が真東から登り、真西へ沈み、昼夜の長さが同じである。仏教的に言えば、この世が此岸(しがん)で、あの世が彼岸。太陽が沈む真西に、極楽浄土があるとされる。

 今となっては、真西には朝鮮半島や中国、パキスタンやトルコ、スペインやポルトガルがあり、アメリカと太平洋があり・・・・で話しにならない。

 さて、夫が亡くなっても、こどもや孫と同居していればいいが、今時そういう人は少ない。独り暮らしになった時、女性ならばこれからの日常生活は、きっと心許ないだろう。

 だから、防犯の意味でも表札はそのままだろうし、玄関の男靴もそのままにしておくに違いない。彼岸には、仏壇を整えて供物と線香をあげ、墓参りの前に夫の皮靴を丁寧に拭いておく。全く使わないのだから、磨く必要はなく、軽く拭くだけで十分なのである。その作業が、又一層の悲しみを誘うだろう。

アミメヘイシソウ(サラセニア科) 北米原産

箱根湿性花園にて

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