埴ショクを改めました。
直 チョク・ジキ・ただちに・なおす・なおる 目部
解字 甲骨文は目の上にタテの線をつけ、目をまっすぐ向け前方を見る形。金文は、目の横に⊂(かくれる)がつき物陰にかくれて前方を見るかたちとなり、タテ線には肥点がついた。まっすぐ視線を向ける意は変わらないが、⊂はそれ以後もL字形として残り、この字の重要な要素になっている。篆文以降、タテ線は十に変化し現代字の直となった。意味は視線をまっすぐ向ける意から、まっすぐ、まがったものをまっすぐにする⇒なおす、まっすぐな人の意から、すなおなどの意となる。
意味 (1)まっすぐ。「直線チョクセン」(2)すなお。「正直ショウジキ」「率直ソッチョク」(3)なおす(直す)。なおる(直る)。(4)じかに。間に何もおかない。「直接チョクセツ」(5)ただちに(直ちに)。すぐ。「直後チョクゴ」(6)あたる。番にあたる。「宿直シュクチョク」
イメージ
「目をまっすぐ向ける」(直・値)
「まっすぐ」(徳・聴・庁・植・殖・置)
「形声字」(埴)
音の変化 チョク:直 チョウ:聴・庁 チ:値・置 トク:徳 ショク:植・殖・埴
目をまっすぐ向ける
値 チ・ね・あたい イ部
解字 「イ(人)+直(目をまっすぐ向ける)」 の会意形声。人をまっすぐ見て、その人のねうちを判断すること。
意味 (1)あたい(値)。ねうち。ね(値)。「価値カチ」「値段ねダン」「値踏(ねぶ)み」 (2)数の大きさ。「数値スウチ」(3)あう。であう。「値遇チグウ」(=知遇)
まっすぐ 悳 トク・ただしい・ただす 心部 dé 解字 「直(目をまっすぐむける)+心(こころ)」の会意。目をまっすぐに向けて見て感じる心。ただしい。ただす意となる。[名義抄]は「徳の古字」とする。〔説文解字〕は「外には人に得(納得される)、内には己に得(納得する)也(なり)。直と心に従う。(発音は)多則切(トク)」とする。 意味 (1)ただしい。ただす。 (2)もと徳と同じく用いる。 徳[德]トク 彳部
解字 「彳(ゆく)+直(まっすぐ)+心(こころ)」 が本来のかたち。真っすぐな心を持って歩むこと。旧字は德で、直のL → 一に、新字体では一が取れた。
意味 (1)道をさとった立派な行為。身に備わった品性。「人徳ジントク」「陰徳イントク」(人に知られないように行う徳)(2)人が習得すべき品性。「道徳ドウトク」「徳育トクイク」(道徳面の教育)(3)よい。りっぱ。「徳政トクセイ」(4)もうけ。利益。得に当てた用法。「お徳用」
聴[聽] チョウ・きく 耳部
解字 旧字は聽で 「耳(みみ)+𡈼テイ(立つ)+ 悳(まっすぐな心)」 の会意形声。まっすぐな心で立って耳を傾けること。新字体は耳の下の𡈼と、横目の下の一が略された。
意味 (1)きく(聴く)。耳を傾けてきく。「聴覚チョウカク」「聴講チョウコウ」「聴取チョウシュ」 (2)ゆるす。ききいれる。「聴許チョウキョ」(ききいれゆるす)
庁[廳] チョウ 广部
解字 旧字は廳で「广(建物)+聽チョウ(耳をかたむけてきく)」の会意形声。人々の声に、耳をかたむけ政務について聴く建物の意で、役所を表す。新字体は、聽を同音の丁チョウに置き換えた。
意味 役所。「庁舎チョウシャ」「官庁カンチョウ」「府庁フチョウ」「県庁ケンチョウ」
植 ショク・うえる・うわる 木部
解字 「木(き)+直(まっすぐ)」 の会意形声。木をまっすぐ立てること。木をうえる意となる。
意味 (1)うえる(植える)。草木をうえる。「植林ショクリン」(2)地に生えているもの。「植物ショクブツ」「植生ショクセイ」(ある区域に生育している植物の全体)(3)移りすむ。「植民ショクミン」(=殖民)(4)活字を組む。「植字ショクジ」
殖 ショク・ふえる・ふやす 歹部
解字 「歹(残った骨)+直(=植。うえる)」 の会意形声。歹ガツは残骨で、動物の腐った形を示す。そこに草木を植えると腐蝕した屍骸を肥料として、よく育つ意味になる。転じて、財産や子孫がふえる意。
意味 (1)ふえる(殖える)。ふやす(殖やす)。「殖財ショクザイ」「殖産ショクサン」(産業を盛んにする)「生殖セイショク」(生物が繁殖すること)「養殖ヨウショク」(飼って育てる)「貨殖カショク」(お金もうけ)(2)開拓などのため移住する。「殖民ショクミン」
置 チ・おく 罒部よこめ
解字 「罒(あみ)+直(まっすぐ)」 の会意形声。罒モウは网モウ(あみ)の変形で、あみの意。これに直をくわえた置は、鳥などを捕らえるため網を棒に結びつけてまっすぐ立てること。設置する意となる。
意味 (1)おく(置く)。すえる。「設置セッチ」「位置イチ」「倒置トウチ」(さかさまに置く)(2)しまつする。「処置ショチ」「措置ソチ」(取り計らって始末する)(3)すておく。「放置ホウチ」
形声字
埴 ショク・はに 土部
解字 「土(つち)+直(チョク⇒ショク)」の形声。[説文解字]は「黏土(ねんど)也」とし、ショクという名の粘土の意。きめ細かく黄赤色の粘土をいう。陶器の材料として用いられる。
意味 (1)はに(埴)。きめ細かく黄赤色の土。ねばつち。あかつち。ねんど。「埴壌土ショクジョウド」(かなり粘土分をふくむ土。稲の栽培に適する)「埴土ショクド・はにつち」(ねんど)「埴輪はにわ」(古墳の周囲に置く素焼きの土偶など)「埴師はにし・はじ」(埴輪などの土製品を作る職人。土師はじ)「埴生はにゅう」(①粘土が生まれる土地、粘土のある土地。②埴生の小屋の意。(粘土(土間)にムシロを敷いて寝るような貧しい家)「埴生の宿やど」(イングランド民謡。日本で「埴生の宿」の題名で親しまれた。元の題名「Home! Sweet Home!」。歌詞のHomeの意味は田舎の小さな我が家の意) (2)へな(埴)。へなつち。黒く粘り気のある粘土。荒壁に塗る。[広辞苑] (3)地名。「埴科郡はにしなぐん」(長野県の郡名。多くが市や町として独立し、現在は坂城町(さかきまち)のみが属している。
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