漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「鷹オウ・ヨウ」 <たか> と 「応オウ」「膺ヨウ」

2019年03月26日 | 漢字の音符
 オウ・ヨウ・たか  鳥部

解字 金文は、手を挙げた人の胸元に隹(とり)が獲物(点)をくわえて戻ってきた形。この隹はタカを表し、鷹の原字。篆文は、「疒(やまいだれ)+人+隹+鳥」になったが、病だれは書き間違いと思われる。現代字で「广(やね)+イ(ひと)+隹(とり)+鳥(とり)」の鷹となった。このうち「䧹」が金文の部分、現在の字形から解字すると、人が屋根の下で隹(とり)を飼っている形となる。これに、鳥をつけてタカであることをはっきりさせたのが鷹である。現在の字形は金文とかけ離れたものになった。
意味 たか(鷹)。タカ科の鳥。曲がった鋭いくちばしと強い爪で小形の鳥獣を襲って食べる。古来から鷹狩りに使った。「鷹匠たかジョウ」(鷹を飼いならし訓練する人)「鷹狩たかがり」(飼いならした鷹を放って小型の鳥獣を捕えさせる狩猟)「鷹揚オウヨウ」(鷹が飛揚するように悠然としていること。ゆったりと落ち着いていること)「鷹眼ヨウガン」(鷹の目。鋭い目つき)「鷹視狼歩ヨウシロウホ」(鷹の目つきと狼の歩き方。①残忍な人物のたとえ。②隙を与えない豪傑のたとえ)

イメージ
 「たか」
(鷹・応)
 「タカをうけとめる」(膺)
音の変化  オウ:鷹・応  ヨウ:膺

たか
応[應] オウ・こたえる  心部
解字 旧字は應で、「心(こころ)+䧹(鷹の原字。たか)」の会意形声。鷹狩において、鷹匠と鷹はつねに心が一体となっており、鷹匠の要求を鷹は、受け入れ・したがい、それによって相手にこたえる意。新字体は、應から「イ+隹」を省略した形。
意味 (1)うけいれる。ききいれる。したがう。「応諾オウダク」「順応ジュンノウ」 (2)こたえる(応える)。うけこたえる。「呼応コオウ」「応答オウトウ」 (3)相手になる。「応対オウタイ」「応戦オウセン」 (4)つりあいのとれた。「応分オウブン」「相応ソウオウ

タカをうけとめる
 ヨウ・オウ・むね  月部にく
解字 「月(からだ)+䧹(タカをうけとめる)」の会意形成。戻ってくるタカを身体でうけとめること。人が鷹を「うける」、鷹が人の胸めがけて「あたる」⇒転じて人を「うつ」、人がタカを受けるところである「むね」の意となる。
意味 (1)うける。受ける。「膺受ヨウジュ」(膺も受も、受ける意)「膺命ヨウメイ」(命を受ける) (2)あたる。うつ。征伐する。「膺懲ヨウチョウ」(うちこらす) (3)むね(膺)。胸・心。「服膺フクヨウ」(むねに服する。心にとどめる)「拳拳服膺ケンケンフクヨウ」(心にとどめて忘れない。拳拳は、堅く握る意で 捧持するさま)「膺肺ヨウハイ」(胸中)

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