糸[絲] シ・いと 糸部
左の糸枠から右のカセに巻きなおす(「みのかも文化の森」カセクリより)
群馬オリジナル蚕品種 上州絹星( 「群馬県蚕糸技術センター」より)
売られている生糸の束(場所不明。ネットの検索画面から。現在なし)
解字 マユからつくる糸である生糸(きいと)は、湯に入れた数個のマユから糸を一緒に引き出して縒りをかけつつ糸枠に巻き取る。その後、糸の運搬・染色・保管・売買などがしやすいよう、カセという大きな枠に巻きなおし、取り外して束にした。甲骨文は、絹糸の束(たば)の上下を紐でくくったものが二つ並んだかたち。絹糸の束が運搬の際もつれないように紐でくくったものと思われる。金文と篆文は下だけにくくり紐がついたかたち。旧字は糸二つの絲シになった。絲は、生糸の束がたくさん集まった形であり、運搬用の複数の糸束を表したものが原義と思われる。
また、絲シの一方を取り出した糸の字はベキとよばれて存在した。糸ベキは細長い糸(いと)の意であったが、絲シも同じ意味で使われるようになり、両者は絲シの形で意味が一体化した。日本では新字体で絲⇒糸に変化した。
意味 (1)いと(糸)。よりいと。「糸口いとぐち」「毛糸けいと」「製糸セイシ」(まゆの繊維から生糸をつくること)(2)糸のように細いもの。「糸瓜へちま」「糸雨シウ」(こさめ)
イメージ
「いと・いとたば」(糸・素・索)
音の変化 シ:糸 サク:索 ソ:素
いと・いとたば
素 ソ・ス・もと 糸部
解字 金文は、上部がH印でくくった先が華が咲いたように開いている形の下に糸束を両手で持つ形で、上部は華の金文に含まれる形と同じ。篆文は上部が華の篆文と同じで、下部は糸(いとたば)に変化した。現代字は上が龶に変化した素になった。形は糸たばであるが、糸を染める以前の白い絹をいい、転じて、ありのまま・もと、の意味になる。
意味 (1)しろぎぬ。「素衣ソイ」 (2)ありのまま。「素顔スガオ」「素朴ソボク」 (3)もと。はじめ。「元素ゲンソ」「要素ヨウソ」 (4)もとから。ふだんの。「平素ヘイソ」「素足すあし」
覚え方 さん(三)のたてぼう( | )いと(糸)の素
索 サク・もとめる 糸部
解字 金文は 「おおい(やね)+糸(いとたば)+両手」の会意。屋内で両手で糸束をなう形で、なわの意。篆文は上部が縄の結びはじめのところ、そこから縒り始める。両側の曲線は縒る動作を表わす。現代字は「十+冖+糸」に変化した。
覚え方 とわ(十ワ)の、いと(糸)を索(もと)めて検索
意味 (1)なわ。つな。「索条サクジョウ」(鋼鉄の針金をより合わせて作った綱。ワイヤーロープ)「索道サクドウ」(ロープウエイ) (2)もとめる(索める)。さがす。ひもをたぐるように手掛かりからさがす。「検索ケンサク」「索引サクイン」「捜索ソウサク」「思索シサク」
<紫色は常用漢字>
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