滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

編集:市民運動ネットワーク滋賀・事務局(TEL:FAX077-522-5415)

【1010/115:有機農業】土壌の細菌診断、施肥 立命大教授ら有機農業に科学手法

2010-10-14 23:45:51 | Weblog
【写真:土壌を診断して有機肥料の種類や量を判断するための実験が行われている畑(守山市洲本町)】

 立命館大生命科学部(滋賀県草津市)の久保幹教授の研究室が9月から、JAおうみ冨士(守山市)などと協力して、土壌に生息する細菌の数などを測定し、適切な有機肥料の種類や量を判断する手法の確立に取り組んでいる。JA関係者は「肥料のまき方などは勘と経験に頼ってきた。農業に科学的手法がどのように導入されるのか楽しみ」と期待する。

 久保教授は環境微生物学が専門。効果的に有機農業を行うために、土壌の豊かさを測定する研究に取り組んできた。

 久保教授の方法は、約100平方メートルの畑につき、3カ所から50グラムずつ土を採取。土壌に含まれる細菌について、DNA量や植物の生育に必要な硝酸やリンを作り出す能力など計20項目にわたって数値化する。結果に応じて必要な有機肥料をまく。実験室レベルで手法は確立しているが、農家へ協力を依頼して手法の有効性を検証するのは初めてという。

 現在、守山市と野洲市の農家10人が参加し、計5千平方メートルの畑で実験を行い、カボチャやハクサイなど秋野菜を栽培している。9月上旬に土壌の状態を測定し、結果に応じ、JRA栗東トレーニングセンターの競走馬の馬ふんから作った有機肥料を入れた。久保教授によると、競走馬の馬ふんから作った肥料は、競走馬の薬物規制から化学物質などが少なく良質だという。

 今後、収穫時の野菜を見て手法の有効性を確認する。久保教授は「将来的には、再現性の高い科学的な有機農法を確立したい」と話している。

(10月14日付け京都新聞・電子版)

http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20101014000138

【1010/114:県職員給与】滋賀県職員年収 1.18%引き下げ 人事委が知事に勧告印刷用画面を開く

2010-10-14 23:40:35 | Weblog
 滋賀県人事委員会は10月14日、県職員の平均年収を1.18%%引き下げるよう嘉田由紀子知事と吉田清一県議会議長に勧告した。実施されれば2年連続の引き下げとなる。

 勧告に従って改定した場合、県職員(平均43・9歳)の平均年収は7万7千円減の645万5千円。県は独自の給与減額措置を実施しており、実際には637万6千円となる。

 人事委の調査では、今年4月の県内企業(115社)と比較した場合、県職員の月給が451円下回っていた。さらに県独自の給与減額措置により、4985円下回っていた。

 勧告の内容は平均月給で地域手当を引き上げるなどし、378円アップを求めた。一方、ボーナスでは0・2月分引き下げの3・95月分で、47年ぶりに4カ月分を下回った。結果的に改定後の平均年収は引き下げとなった。

 嘉田由紀子知事は「厳しい財政状況も踏まえ、慎重に検討したい」とコメントした。

(10月14日付け京都新聞・電子版:15日付け中日・電子版、16日付け毎日・電子版なども報道)

http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20101014000127
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20101016ddlk25010408000c.html

【1010/113:トチノキ】高島のトチノキ巨木 「早急な調査と保存策必要」

2010-10-14 23:35:03 | Weblog
【写真:トチノキの巨木が見つかった群落を視察する世界自然保護連合の河野さん(高島市朽木)】

 西日本有数のトチノキの巨木が見つかった高島市朽木の山林を10月13日、世界自然保護連合(IUCN)の生態系管理副委員長を務める河野昭一・京都大名誉教授(植物学)が視察した。河野さんはトチノキ群落の早急な植生調査と保存策の具体化が必要と指摘。IUCNに関係する研究者らにも現状を伝えるほか、行政にも保存策の実施を申し入れる意向を示した。

 河野さんは、地元で野生動植物の調査や保存活動を続けている青木繁さん(高島市)らの招きで訪問。直径7・2メートルの巨木がある群落の現状や、一帯で行われている伐採の状況について説明を受け、実際に現場を視察した。

 巨木の伐採現場について河野さんは「非常に乱暴な切り方。一本切り倒すだけで森全体の生態系が荒れ果ててしまう。大雨が降れば斜面崩壊の危険性もある」と指摘した。

 また、スギの人工林の中に長寿のトチノキ群落が残っていることについて「樹齢400年を超える老齢木にも、森を維持する重要な機能があるという知恵を、地元の人たちが受け継いできた結果ではないか」と話した。

 IUCNは世界84カ国の政府や政府機関、研究機関、自然保護団体などでつくるネットワーク。自然資源や生物多様性の保護などで国連や各国に環境政策面で提言を行うなど、強い影響力を持っている。

【関連ニュース番号:1010/89、10月11日】

(10月14日付け京都新聞・電子版:同日付け毎日・電子版なども報道)

http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20101014000019
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20101014ddlk25040467000c.html

【1010/112:関西広域連合】関西広域連合:「賛成」県民4割超 / 県世論調査

2010-10-14 23:19:59 | Weblog
 県が毎年実施している県民世論調査で、関西広域連合への参加について「賛成」「どちらかと言えば賛成」とする回答が4割を超え、反対意見の6倍以上に上った。地域別でも全地域で賛成が上回り、救急医療や大規模災害時の連携に期待する声が多かった。

 調査は6月に無作為抽出で行い、1709人が回答。賛成意見が42・7%に上り、反対の6・5%を大きく上回った。「どちらとも言えない」も22・3%あった。利点として、ドクターヘリなど救急医療での連携を挙げた人が大半を占め、甲賀や東近江では7割を超えた。一方、広域観光ルートでの連携には期待できないとする意見が目立ち、広域連合の中で県が埋没化するのではという懸念もうかがわせた。【稲生陽】

【関連ニュース番号:1010/104、10月14日など】

(10月14日付け毎日新聞・電子版)

http://mainichi.jp/area/shiga/news/20101014ddlk25010465000c.html


【1010/111:海外支援】カンボジアで孤児支援15年 NGO代表・多賀の栗本さん

2010-10-14 23:03:28 | Weblog
【写真:カンボジアで教育支援活動に励む栗本英世さん=多賀町で】

 内戦時の地雷や貧困などに苦しむカンボジアの非都市部。森に囲まれた非政府組織(NGO)の施設を拠点に、代表の栗本英世さん(59)=多賀町=は自らも病と闘いながら、エイズ孤児らの教育支援に命を燃やす。子どもたちの明るい未来を切り開こうと日々、自立支援の活動にも励んでいる。

 孤児支援や識字教育、寺子屋建築、職業訓練学校、旅行会社の設立-。ひと言では言い表せないカンボジアでの15年間の活動。それでも、栗本さんは「手が足りない。2人の子どもは抱けても、3人目の子にはそれができない」と歯がゆい思いを口にする。

 識字教育の普及をと、メコン川に近い東北部のクラチェ州で、1997年に築いたNGO「カンボジアこどもの家」。戦争孤児らを育てる傍ら、バイクで州内の山岳地帯を駆け巡り、現地のクメール語を教えて回った。「日本人の僕だって話せるんだよ」。手作りの教材を使いながら、穏やかな口調で文字の意味を伝えた。

 そんな中、「言葉を教えた子どもたちが姿を消していった」。人身売買や売春を目の当たりにした。タイ国境近い北西部のバンテアイミアンチェイ州で愚行がはびこっていることも知った。

 「田舎には学校がなく、町に学校があっても、貧しい子どもたちは通えない」。危険で各国の援助の届かない同州ポイペット地区に足を踏み入れ、99年から寺子屋づくりを始めた。カンボジアが自ら国づくりを進めるには、人材育成が大切だと考えたからだ。

 現地の住民と手を携え、森の木々を手作業で切り開き、わらぶきの平屋を建てる。わずか40人でスタートした寺子屋は、2009年までの10年間で、計25に増え、8000人の幼小中学生が学ぶまでに広がった。

 屈託のない笑顔が人を集め、現地で付いたあだ名は「オカ」。クメール語でチャンスの意味だ。「僕が学校を建てたら、学ぶチャンス、働くチャンスが生まれるから」と優しい笑みをこぼす。

 そんな栗本さんは約5年前に病魔に襲われた。一時帰国中に倒れ、けいれん状態で病院に担ぎ込まれた。脳腫瘍(しゅよう)。医者には「数カ月しか生きられない」と告げられた。入退院を1年ほど繰り返し、体重は20キロ以上も減った。

 「後継者が見つからない」と悩むが、子どもたちを取り巻く環境は変わらず厳しい。衛生状態は悪く、病気になっても医者に診てもらえず死んでいく。貧しさから売られ、売春でエイズを患う子どももいる。生活空間には、あちこちに地雷の脅威が潜む。

 「学校が建っても仕事がなければ、人身売買や売春が後を絶たない」との思いから、子どもが自立できる仕組み作りに奔走した。職業訓練学校を4年前に設置。男性は自動車や家電の修理技術を学び、女性は縫いぐるみやミサンガなど縫製に精を出す。昨年10月からは、寺子屋に通う子ども向けの制服作りも始めた。

 「お金や物資の支援は村人の自立を阻害するだけ。教育や技術を授けることが彼らの生きる力になる」と栗本さん。台湾や中国、タイなどでも教育支援などに励み、ボランティア活動一筋の経験から言う。「現地で暮らし、村人の痛みや苦しみを知る。そして、ともに生きることが大切」と力を込めた。

 問い合わせ先は栗本さん=電080(3110)7745=へ。

 (古根村進然)

 【くりもと・ひでよ】近江八幡市出身。19歳で台湾の大学に進学。タイなど東南アジアを中心に個人でボランティア活動を続け、1996年からカンボジアで活動を開始。2007年から神戸学院大学際教育機構の客員教授を務める。

【関連ニュース番号:0811/89、08年11月11日】

(10月14日付け中日新聞・電子版)

http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20101014/CK2010101402000106.html