滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

編集:市民運動ネットワーク滋賀・事務局(TEL:FAX077-522-5415)

【0610/46:余呉町、核廃棄物処分場問題】住民らが10月28日、町長らを招き誘致を問う公開討論会

2006-10-31 01:58:49 | Weblog

高レベル放射性廃棄物最終処分場の候補地選定のための調査を受け入れたいと町長が表明していることが問題となっている余呉町で10月28日午後、処分場誘致問題と町の将来を考える討論会が開かれ、調査受け入れを主張する畑野佐久郎町長と受け入れに批判的な「自治研究センターおかやま」の横山泉氏が出席、住民と意見を交わしました(ニュース番号0610/35などを参照)。

討論会は同町中之郷の山村開発センターで開かれ、地元や近隣の住民のほか、岐阜や京都など県外から参加した約150人が、処分場誘致問題、余呉町の財政問題や今後の町づくりなどについて討論を行いました。

畑野町長は、はじめに昨秋いったん調査受け入れを断念したにもかかわらず再び受け入れの意向を表明した理由について「昨年は前知事の強い反対があり、まだ不勉強であったこともあって断念したが、議員の中には断念に反対の議員もいた。その後、資源エネルギー庁や調査地を公募している原子力発電環境整備機構とも接触、6月には青森県六ヶ所村の核燃料関連施設を見学し、六ヶ所村の人々がそれほど心配していなことを知った。私は『誘致』したいと言ったことはない。(候補地選定の第一段階の調査である)文献調査を応募したいと言っているのだ」などと説明しました。

次いで同町長は文献調査へ応募したい理由として町の財政難を挙げ「平成10年度に3億6000万円あった税収は平成18年度には3億円程度にまで減少している。国の地方交付税による交付も最も多いときは20億円あったが小泉内閣になって15億3000万円程度にまで減っており、基金も底をついている。余呉町は自立できる町ではない。どうしても財源の確保が必要」などと説明しました。また、もうひとつの理由として核廃棄物に関する問題提起を挙げ、「日本は原子力発電に頼っているという現実を直視しなけばならない。特に関西電力の場合、原子力発電への依存率は(他の電力会社に比べて高く)45%に達しており、原子力発電で生じる核廃棄物をどうするかは国民的課題であり、余呉町から問題提起したい。現に全国からファックスルやメールでの反応がたくさん来ている」と説明するとともに「(文献調査は知事の同意を必要としないが)次の地質調査(概要調査)の段階で知事の同意が得られないかもしれず、より進んだ段階では住民投票などの方法で住民の意思を問うことを考える必要があるかもしれない」などと述べました。

一方、岡山県人形峠のウラン採掘の残土による放射能汚染問題に取り組み、自治体の財区分析にも詳しい「自治体研究センターおかやま」の横山泉氏は、まず核廃棄物の処分問題について問題点を指摘し、「地下深くに埋めるという方法は技術的に完成されたものでなく、世界的にみてもこの方法が実施されて例はない。岡山県も人形峠のウラン採掘の残土問題で苦労してきた。強い風が吹いたり、雨が降ったりすると放射能を含む残土が飛散するのではないかと心配は尽きなかった。このため岡山県ではすべての自治体が核関連施設を受け入れないことを表明している」と説明し、また国のやり方について触れ、「一方において中央と地方の経済格差を助長しておきながら、財政的に困っている財政規模の小さな自治体に狙いをつけており、原子力発電環境整備機構は財政規模が20億円程度の自治体について財務分析を行っている」と批判しました。次いで同氏は余呉町の財政問題に触れ、「文献調査の受け入れは町議会や知事の同意を必要としないが、応募すれば(2年間に)20億円が交付され、県にも25億円が交付されることになる。次の段階の調査では70億円程度が交付される。果たして文献調査を一度受け入れてしまえば、歯止めがきくだろうか」と危惧していることを述べるとともに、余呉町の財務分析の結果について資料を用いて説明し「確かに借金は多いが、全国的にみて同規模の自治体と比べた場合、飛びぬけて財政が悪化しているというわけではない。住民を対象に起債を行うなどの方法もある。調査受け入れによる交付金に頼らない方法を住民といっしょになって考えるべきだ」などと主張しました。

参加者からは「核廃棄物の問題が国民的な課題であることは理解できるが、なぜ余呉町が問題提起しなければならないのか、どうしても納得できない。国民的課題であるならば国が中心となってシンポジウムなどの方法で問題提起するのが本筋ではないか」、「そのような危険な施設を誘致して、子供たちにどのように説明するのか」、「余呉町の農産物の風評被害が懸念される」などの疑問や意見が出されました。

また座談会形式で行われた第2部では、司会の吉田一郎・元長浜歴史博物館長が「余呉はいいところ。プラス思考で議論を」と口火を切り、町内で古い民家を活用してさまざまな文化活動を行っている東野更正さん(72歳)と農業を始めた前田壮一郎さん(29歳)らが、町内外の参加者を交えながら、余呉町での暮らしで感じた魅力や可能性、今後の構想などについて話しました。

(10月29日付け、京都、毎日、朝日なども報道)

(写真は討論の前に説明を行う畑野町長。写真をクリックすると大きくなります)

【0610/45:新幹線新駅問題】年度末までに結論、負担金支払い先送りで知事と関連6市長が合意

2006-10-30 00:30:01 | Weblog

栗東市の新幹線新駅計画問題で、滋賀県や栗東市などでつくる新駅設置促進協議会の正副会長会議は10月28日、新駅計画の「凍結」「推進」について、遅くとも来年3月末までに結論を出すことで合意しました。

会議では、嘉田知事が「県は10月分工事負担金の支払いを留保したい」と申し出たのに対し、国松栗東市長ら関連6市の市長全員が「支払うべきと反発しました。このため知事は、週明けにも10月分の支払期限の延長をJR東海に求めることを提案し、各市長の了承を得ました。JR東海の回答を受けて、31日に再び正副会長会議を開き、促進協議会として負担金を支払うか留保するかを決めることになりました。

会議終了後、知事は「前向きに議論する場を確保できてよかった。負担金の支払い留保は議論する時間的な猶予がほしいため。留保による法的な問題もJRに確認したい」と話しました。一方、国松市長は「県が支払いを留保すれば督促する。市が立て替える考えはない」と述べました。

(10月29日付け各紙が報道)

【0610/44:高島市:市役所通信簿】市の事業を市民らが5段階で評価する「市役所通信簿」を実施へ

2006-10-29 23:47:22 | Weblog
高島市は、アンケートにより市民らに市の事業を5段階で評価してもらい、結果を基に1~5の数値で示した「市役所通信簿」を作成すると発表しました。アンケートを通じて市の事業を分かりやすく説明し、市民の満足度を探るのが狙いです。評価が低い事業は見直しも検討するとされています。県自治振興課は「住民による通信簿作成は聞いたことがない。積極的な行政評価の動きに注目したい」と話しています。

市の定例記者会見で海東英和市長らが発表しました。通信簿作成の基になるアンケートでは、約160事業を選び出し、各事業の決算額や内容を説明し、写真も掲載して分かりやすい設問を作ったとされています。各事業の満足度と重要度を5段階で市民に評価してもらいます。また、市内の図書館や体育館など約90の公共施設の満足度も同時に聞きます。

無作為に抽出した20歳以上の市民3000人が対象であり、アンケートは10月25日に郵送されました。通信簿は今年度中に市の広報誌などを通じて市民に発表される予定です。

海東市長は「よい成績が出ればうれしいが、満足度が低い事業があれば、市民の思いを感じ取って来年度予算にもできるだけ反映させたい」と話しています。

(10月27日付け毎日新聞が報道)

【0610/43:飲酒運転問題】彦根市長の「報告義務なし」とする処分に関する発言に全国から批判と抗議

2006-10-29 01:54:02 | Weblog

彦根市の獅山市長が10月25日に、「市職員の公務外の飲酒運転による交通違反や事故の報告を義務づけることは憲法違反」などと発言したことに対して、同市役所には10月26日、全国から電話やメールで80件の意見が午後4時までに寄せられました。これらの意見のうち76件は抗議や批判などの反対意見であり、市長の発言に賛成する意見は4件でした。

反対意見には「飲酒運転撲滅の機運が高まるなか、法律学者面して憲法を持ち出すしゃくし定規な発言は市長の資質がない」、「時代に逆行している。公務員は特別注意しなければならないのでは」、「公僕として市民の模範となる考えはないのか」という厳しい意見がありました。

賛成意見は、「飲酒運転以外の懲戒処分との公平性を考慮して決めるべきだ。世の中のヒステリックな風潮に流されることなく、冷静に適切な処分基準を決めるべきだ」などというものでした。

彦根市がこれまであった上司への報告義務を撤廃するのは憲法第38条に「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と定められていることを根拠としたものです。

獅山市長は26日の記者会見で、市民が発言を納得するかについて「市民が憲法感覚を学ぶべきだ。特定の自治体での(飲酒運転事故の)発生が、どこの自治体でも起きているような風潮、論調で流されている。処分の厳罰化を求める風潮のなか、憲法が軽視されていることに警鐘を鳴らす意味で批判を承知で発言した。さまざまな立場の人々のあいだで議論が深まることを望む」と述べました。

公務員の飲酒運転の厳罰化、事故や検挙の報告の義務付け問題については「魔女狩り的。法体系を整備せずに、厳しくしろというのはおかしい。そういう風潮に乗って行き過ぎるほうがこわい。憲法にないことを世論に流されて求めるのはこのましくない」などと持論を展開しました。

(10月27日付け各紙が報道)

【0610/42:難病問題】県内の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者や家族らが来春「患者の会」設立へ

2006-10-28 02:37:35 | Weblog

県内の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者や家族らが「患者の会」(日本ALS協会滋賀支部)の来春設立に向けて準備を進めています。ALSは、運動神経が侵され、意識がはっきりしたまま、全身の筋肉が衰えていく進行性の難病です。5年前に発病した池村伊三郎さん(84歳)=甲賀市水口町牛飼=ら準備会のメンバーは、在宅療養で孤立しがちな患者や家族をつなごうと、入会を呼びかけています。

池村さんは2003年1月に医師からALSを告知されました。今の医療では直る見込みがない難病だと知り、「死刑を宣告されたのと同じだった」と振り返っています。しかし、池村さんは残った運動能力を最大限に生かそうと介護器具を借りてきてくれたり、アイディアを絞ったりしてくれるケアマネージャーや理学療法士、保健所の職員らの熱意に支えられてきました。

県内のALS患者は67人(2006年3月末現在)です。日々変化する病状に応じて介護が必要であり、治療法も分かっていないため、長期受け入れをする病院や施設はあまりありません。90歳を超えた母親と二人きりで暮らす患者や、誰の助けも借りず、ALSの妻を介護し続ける高齢の夫もいます。池村さんは「ひとりぼっちの患者や家族をなくしたい。病気に負けないように」と、会への参加を呼びかけています。

問い合わせは準備会事務局の葛城さん(077-578-3424)へ

(10月5日付け朝日新聞が報道)