県は12月27日までに、東近江市内に建設計画のある平和祈念館(仮称)の建設関連費用を来年度当初予算に盛り込まない方針を固めました。設計などの委託に関する費用を債務負担行為として計上する予定でしたが、嘉田由紀子知事は既存施設の活用を含めて再検討するとしており、新設される可能性は低くなりました。
平和祈念館の建設は、県民の戦争体験を後世に伝えることを狙いに、約28億円の事業費で、2010年の開設を目指していました。これまでに県が遺品など約1万2000点を収集し、約1100人から戦争体験についての証言を得ています。
本年度は、民間の資金や技術を活用するPFI方式による請負業者の選定を行う予定でしたが、7月の県知事選で嘉田知事が就任して以降、選定作業を中断しています。
嘉田知事は知事選後の京都新聞社の取材に対し、「移動博物館のように小学校に遺品などを持って行って戦争体験を語り継ぐ時間を設けてもらうこともできる。県財政が厳しいなか、新設には必ずしもこだわらない」と話していました。
一方、滋賀県遺族会の山田利治会長は「平和の大切さを訴える拠点施設は必要。2008年度予算には建設費を計上するよう知事に強く訴えたい」と反発しています。
(12月28日付け京都新聞が報道)