【写真:模擬原爆「パンプキン」の実物大模型=大津市御陵町の市歴史博物館】
【写真:「原爆は県民にとって至近距離にあった」と話す水谷さん】
■巨大爆弾 死傷者120人/長浜北星高校・水谷教諭 詳細調べ出版
終戦間近の1945年7月24日、大津市に一発の巨大爆弾が投下された。長崎に落とした原爆と重さも形も同じ模擬原爆。米軍の原爆投下訓練のために120人の死傷者が出た。県立長浜北星高校教諭の水谷孝信さん(53)がその詳細を調べ、「湖国に模擬原爆が落ちた日―滋賀の空襲を追って」(サンライズ出版)を出版した。
「滋賀県に空襲なんてあったんですか?」。5年前に耳にした高校生の言葉が、水谷さんを突き動かした。「空襲で亡くなった人たちは、どのような思いで命を絶たれたのか。少年と同世代の人たちの生活は戦争中どうだったのか。戦争体験者の声や思いを伝えなければ」
模擬原爆「パンプキン」はプルトニウムの代わりにTNT火薬を詰め、1945年7月20日~8月14日、各地に50発が投下された。目的は原爆投下訓練で、約8900メートル上空からの目視による投下と急速退避を繰り返した。
大津への投下は、兵庫県西宮市の第1目標が雲で見えず、代わって一部が軍需工場に転換していた東洋レーヨン滋賀工場が目標にされた。県のまとめによると、死者16人、負傷者104人の被害が出た。水谷さんは本に「被災者は『練習』の犠牲になった」と記した。
県内の空襲について調べ、本の4割近くを割いて記述しているほか、彦根市の近江航空に配置された沖縄県女子勤労挺身隊、県内の学徒勤労動員の記録、旧日本軍の毒ガス、学童疎開などについても記している。
1890円(税込み)。県内を中心に全国の主要書店で発売。サンライズ出版(0749・22・0627)からの郵送による購入も受け付けている。(上野満男)
【関連ニュース番号:0907/142、7月19日】
(8月31日付け朝日新聞・電子版)
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000000908310001
【写真:「原爆は県民にとって至近距離にあった」と話す水谷さん】
■巨大爆弾 死傷者120人/長浜北星高校・水谷教諭 詳細調べ出版
終戦間近の1945年7月24日、大津市に一発の巨大爆弾が投下された。長崎に落とした原爆と重さも形も同じ模擬原爆。米軍の原爆投下訓練のために120人の死傷者が出た。県立長浜北星高校教諭の水谷孝信さん(53)がその詳細を調べ、「湖国に模擬原爆が落ちた日―滋賀の空襲を追って」(サンライズ出版)を出版した。
「滋賀県に空襲なんてあったんですか?」。5年前に耳にした高校生の言葉が、水谷さんを突き動かした。「空襲で亡くなった人たちは、どのような思いで命を絶たれたのか。少年と同世代の人たちの生活は戦争中どうだったのか。戦争体験者の声や思いを伝えなければ」
模擬原爆「パンプキン」はプルトニウムの代わりにTNT火薬を詰め、1945年7月20日~8月14日、各地に50発が投下された。目的は原爆投下訓練で、約8900メートル上空からの目視による投下と急速退避を繰り返した。
大津への投下は、兵庫県西宮市の第1目標が雲で見えず、代わって一部が軍需工場に転換していた東洋レーヨン滋賀工場が目標にされた。県のまとめによると、死者16人、負傷者104人の被害が出た。水谷さんは本に「被災者は『練習』の犠牲になった」と記した。
県内の空襲について調べ、本の4割近くを割いて記述しているほか、彦根市の近江航空に配置された沖縄県女子勤労挺身隊、県内の学徒勤労動員の記録、旧日本軍の毒ガス、学童疎開などについても記している。
1890円(税込み)。県内を中心に全国の主要書店で発売。サンライズ出版(0749・22・0627)からの郵送による購入も受け付けている。(上野満男)
【関連ニュース番号:0907/142、7月19日】
(8月31日付け朝日新聞・電子版)
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000000908310001