栗東市の新幹線新駅問題を話し合う新駅設置促進協議会の正副会長会議が9月3日に栗東市役所で開かれると、協議会事務局(同市)が8月30日、発表しました。凍結された場合の地域振興策や責任問題などの議論は深まらないまま、建設凍結か推進かの結論を出す10月末の期限が迫っており、残り2カ月となった話し合いの行方が注目されます。
議論が進まない要因は、凍結を訴える県と推進を求める栗東市が主張を譲らないためです。嘉田由紀子知事が周辺市などとの協議で解決を図りたい意向なのに対し、国松正一・栗東市長は新駅同等の経済効果が見込める地域振興策を県に要望しています。話し合いは平行線をたどり、4月23日を最後に正副会長会議は開かれずにいました。協議会に加わる周辺市も「打つ手がない」と冷めた雰囲気も漂っていました。
県は、今回の正副会長会議で具体的な地域振興策を複数提示し、手詰まり状況を打開する道筋をつけたい考えです。一方、29日に開かれた栗東市議会特別委員会では、「市として新駅に代わる地域振興策の具体案を出すべきだ」との意見が出ました。栗東市が地域振興策の検討に入るかどうかが焦点となります。
もう一つの課題とされる新駅周辺の土地区画整理事業については、議題にされない可能性もあります。地権者側は、正副会長会議の場で解決の糸口を探ってもらいたい考えですが、県は「事業主体である栗東市の対策を支援する」との主張を繰り返しています。周辺市からも「栗東市と県で話し合うべき問題」との声が強い。
周辺市には「県の財政が好転すれば、何年か後に凍結が解除される見込みもある」と、新駅実現を望む声も消えていません。しかし、JR東海が求める結論は工事の継続か中止かの二者択一。期限が迫ったなかで、「凍結論議」に時間を割くのは不毛との意見もあります。
(8月31日付け朝日新聞が報道)
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000000708310002