【写真:「滋賀キッズミュージアム」でマジックショーを披露する滋賀次世代文化芸術センターの斎藤俊信代表(左)/ いわき市考古資料館の樫村友延館長(最後列右端)と、滋賀県から届いた特大の礼状を手にする児童ら=福島県いわき市平絹谷の草野小学校絹谷分校】
東日本大震災の被災地の人たちに、文化や芸術を通じて心の安らぎを取り戻してもらうプロジェクトを、「滋賀次世代文化芸術センター」(大津市)を中心とした実行委員会が進めている。8月には福島県にスタッフが出向いて「滋賀キッズミュージアム in 福島」を開催し、参加した子どもたちとの交流が今も続いている。
「絵の具で絵はがき作りをしたのが楽しかった」。福島県いわき市立草野小学校絹谷分校(児童数21人)に通う3年生の渡辺愛弓さん(9)は、同級生と行ったキッズミュージアムを思い出し、笑顔を見せた。
8月27、28日に同市考古資料館などを会場に開かれたイベントには、延べ2068人の子どもらが集まった。絹谷分校の折内弘子教諭(41)によると、福島第一原発事故後、児童らは放射能への懸念から自宅にこもりがちだった。そこで、キッズミュージアムには保護者も含めて参加した。
同センター副代表の津屋結唱子さん(50)によると、滋賀からは総勢62人のスタッフが現地入りし、絵皿作りや茶道体験のほか、琵琶湖のヨシを使ったヨシ笛作りのコーナーも設けた。前県教育長の斎藤俊信・同センター代表(66)はステッキから花が飛び出すマジックを披露し、子どもらの喝采を浴びた。
会場を提供した市考古資料館の樫村友延館長(58)は「最初の生きるか死ぬかの状況から、衣食住の確保が問題となり、それも一段落して、市民は文化に触れる機会を待っていた。滋賀からの申し出はタイムリーだった」と話す。
県の助成金などで運営する同センターは、県内の子どもたちに本格的な文化や芸術に触れてもらうおうと今年4月に開設された。震災を受け、県内の文化関係団体などと協力して被災地支援の「滋賀・絆・アート支援プロジェクト実行委員会」を組織。関西広域連合の支援の枠組みで、滋賀が福島の担当となったことから、いわき市教委などと協力し、キッズミュージアムの開催を決めた。
イベント終了後、分校の子どもは滋賀のスタッフにお礼の手紙を書いた。「やさしくしてくれてありがとう」「もういっかいやりたいです」。これに対し、スタッフは「お手紙ありがとう!」のメッセージに写真を添えた特大の礼状を届けた。また、センターのプログラムで草津市立常盤小学校の児童が米ミシガン大の学生と一緒に作った千羽鶴も、分校に送られた。
実行委では、被災地からの避難者を県内の文化イベントに無料招待する活動も進め、これまでに計12回、154人を招いた。今後もMIHO MUSEUM(甲賀市)などに招待する計画だ。
いわき市から彦根市に避難した廣木智恵さん(45)は4月に大津市であった「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」に招待された。その後、キッズミュージアムの開催を知り、地元での行事の告知に一役買い、当日も会場を訪れた。「芸術に触れると生きるエネルギーがわく」と今後の交流に期待を寄せた。(飯竹恒一)
(10月15日付け朝日新聞・電子版)
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000001110150001
東日本大震災の被災地の人たちに、文化や芸術を通じて心の安らぎを取り戻してもらうプロジェクトを、「滋賀次世代文化芸術センター」(大津市)を中心とした実行委員会が進めている。8月には福島県にスタッフが出向いて「滋賀キッズミュージアム in 福島」を開催し、参加した子どもたちとの交流が今も続いている。
「絵の具で絵はがき作りをしたのが楽しかった」。福島県いわき市立草野小学校絹谷分校(児童数21人)に通う3年生の渡辺愛弓さん(9)は、同級生と行ったキッズミュージアムを思い出し、笑顔を見せた。
8月27、28日に同市考古資料館などを会場に開かれたイベントには、延べ2068人の子どもらが集まった。絹谷分校の折内弘子教諭(41)によると、福島第一原発事故後、児童らは放射能への懸念から自宅にこもりがちだった。そこで、キッズミュージアムには保護者も含めて参加した。
同センター副代表の津屋結唱子さん(50)によると、滋賀からは総勢62人のスタッフが現地入りし、絵皿作りや茶道体験のほか、琵琶湖のヨシを使ったヨシ笛作りのコーナーも設けた。前県教育長の斎藤俊信・同センター代表(66)はステッキから花が飛び出すマジックを披露し、子どもらの喝采を浴びた。
会場を提供した市考古資料館の樫村友延館長(58)は「最初の生きるか死ぬかの状況から、衣食住の確保が問題となり、それも一段落して、市民は文化に触れる機会を待っていた。滋賀からの申し出はタイムリーだった」と話す。
県の助成金などで運営する同センターは、県内の子どもたちに本格的な文化や芸術に触れてもらうおうと今年4月に開設された。震災を受け、県内の文化関係団体などと協力して被災地支援の「滋賀・絆・アート支援プロジェクト実行委員会」を組織。関西広域連合の支援の枠組みで、滋賀が福島の担当となったことから、いわき市教委などと協力し、キッズミュージアムの開催を決めた。
イベント終了後、分校の子どもは滋賀のスタッフにお礼の手紙を書いた。「やさしくしてくれてありがとう」「もういっかいやりたいです」。これに対し、スタッフは「お手紙ありがとう!」のメッセージに写真を添えた特大の礼状を届けた。また、センターのプログラムで草津市立常盤小学校の児童が米ミシガン大の学生と一緒に作った千羽鶴も、分校に送られた。
実行委では、被災地からの避難者を県内の文化イベントに無料招待する活動も進め、これまでに計12回、154人を招いた。今後もMIHO MUSEUM(甲賀市)などに招待する計画だ。
いわき市から彦根市に避難した廣木智恵さん(45)は4月に大津市であった「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」に招待された。その後、キッズミュージアムの開催を知り、地元での行事の告知に一役買い、当日も会場を訪れた。「芸術に触れると生きるエネルギーがわく」と今後の交流に期待を寄せた。(飯竹恒一)
(10月15日付け朝日新聞・電子版)
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000001110150001