総務文教委員会の所管事務調査で、東京都杉並区と神奈川県・湯河原町に行ってきました(18、19日の一泊二日)。充分な資料提供と丁寧な説明をしていただき、たいへん感謝しています。議会事務局からの事前のすり合わせも的確だったと思います。杉並区では、前日の夜に報道ステーションで紹介された巨大な「緑のカーテン」(業者に委託。業者は水の常時補給システムによって特許を取得されているとのこと)のある役場庁舎にて、学校の暑さ対策「エコスクール」についての説明を受けました)。前区長の方針により、校舎屋上と壁面の緑化、校庭の芝生化の三つを達成した小学校に冷房設備を「補助的に」設置するとしていた杉並区でしたが、既にすべての小中学校普通教室に冷房を完備されていました。
実際に訪問させていただいたある小学校では、校庭の芝生化・屋上緑化・壁面緑化(これらは基本的に維持管理を委託されており年間経費がトータルで約500万円)に加えて、天井扇が各教室に4つ、さらに夜間に冷えた外気を教室内に取り組む「ナイトパージ」もあり、それによって前区長の政権下で冷房完備の対象となっていた学校ということでした。エコ対策の効果の検証は、今後の課題とされており、現時点ではされていないとのことでした。
芝生は春と秋に約1か月間の養生が必要で、その間は運動場を使うことができず、体育の授業は屋上か体育館で行われると説明を受けました。休み時間も屋上で躰を動かすことになります。冷房があることで子どもたちが外で遊ばなくなるということはあるか?という問いに「まったくそういうことはないですね」と即答され、安心しました。芝生化により運動会の騎馬戦などや組体操にかつてない競技の雰囲気が生まれたこと、周辺の住宅が砂埃で悩まされることがなくなったなど、いくつかの効果を挙げられていました。
しかし、冬の朝は芝生に霜が降りるのを避けるため、夜間にシートを被せて翌朝に取り除くという作業が必要で、主に6年生が担当するそうです。校門を抜けてはじめてめにする芝生運動場に「緑のなごみ効果は侮れない・・・」という印象をもちましたが、予想以上に芝生の維持管理は困難であることが理解できました。今回、屋上から拝見させていただいた芝生はところどころに広範囲な「抜け」があり、夏の暑さに非常に弱いこと、虫の発生には薬剤が使えないことなど、日本の気候風土に「芝生化」は適さないかもしれないという印象をもちました。
訪れた学校の校庭芝生の維持管理委託料は、年間300万円を越えていました(初期費用:3,200円/㎡)。広さからすると島本町は倍近い費用がかかるでしょう。もちろん島本町の場合は、地域住民が一部世話をするという方法もありますが、スプリンクラーで常時水をまく必要もあり、財政状況からして島本町での採用は限りなく不可能に近い。もとより、議会での議論は「普通教室へのクーラー設置」であり、校庭の芝生化・屋上・壁面の緑化などは、具体化に向けての議論になってはいません。
小中学校の普通教室への冷房完備の是非が問われているときに、敢えて東京でエコスクールを視察する意図が理解できないままの委員会調査研究でしたが、訪れたふたつの自治体では既に冷房が完備されていた・・・という所管事務調査に反省する必要があります。校庭の芝生化なら2008年に向日市内の小学校が取り組まれています(管理は教職員。夏休みの水やりは当番制で校庭の一部650㎡を芝生化)。
湯河原町への視察の目的は通学路に遮熱舗装を取り入れた「学校の暑さ対策」でした。またコミュニティバスを運行されていることも事前にわかりました。産業構造が全く異なる温泉町での運行事例が、福祉ふれあいバスの対象者拡大を検討中の島本町にどこまで参考になるのか疑問視していましたが、結果的に、検討過程や社会実験の活用、初期費用が極端に少ない(実証実験事業委託費約177万円・実証実験事業バス停の設置や時刻表作成など約40万円)、有料化(一律200円)しても現時点では採算がとれている(町は赤字補填として5万円を予算計上、決算額は現在ゼロ)など、今後の参考になることが多々ありました。
湯河原町では、昨年の猛暑の影響もあって保護者からの要望が強く、保護者より議長・副議長へ陳情を受けて、議会において「特別委員会」を設置されたとのこと。これこそ学ぶ点と感銘しました。一年間議論されたそうです。杉並区は人口50万規模で財政規模が比較になりませんが、人口3万弱の湯河原町の財政状況が島本町に比べて特別によいわけではありません。耐震化との関係を議論するなかで、老朽化が進んだ中学校については、廃校になった県立高校の校舎を借り受けて移転し、一定の期間を経て譲り受けることにされたそうです。困難な課題を克服する力が「議会」にあり、この点においてたいへん有意義な視察になりました。
比べて島本町では、小学校の冷房完備が「政争の具」になってしまったという印象があります。なぜこの時期に「エコスクール」の調査研究にはるばる東京・神奈川まで出向かなければならないのか!納得できず(年間研修予算ひとりあたり6万円、今回10人60万円)、重い腰を上げて出かけた調査研究でした。わたし自身は、専門家の技術的指南を得て、福祉バスをコミュニティバスに「市民参画」で移行された富山県・射水市への視察を希望、資料を添えて提案していました。しかしながら、資料が共有されることはなく、視察の希望を「コミュニティバスについて」(テーマのみ一行で記載)としていた他の議員(自民・民主)が、多数決では民主党の議員が提案した「暑さ対策」をテーマにすることに賛成挙手。
研修の行き先まで「政争の具」とする島本町議会に「小ささ」を感じずにはいられません。「正しさ」を追及するあまりに結果として小さくなっていないか・・・考えさせられました。
今日から、大都市近郊都市(長岡京市)をテーマにして、持続可能な公共交通とまちづくりを学ぶため、連続したワークショップに参加します(計4回&グループの自主的活動)。近畿の府県や近隣市町村の行政職員(町長がコミバス導入を宣言されている大山崎町からの参加も)、NPO関係者、コンサルタント会社の技術者がテーマを自分たちで決めて学びあいます。コミバス「はっぴいバス」にも試乗したい。わたしの所属するチームは、長岡京市からの情報提供やフィールドワークをもとに、「にそと」と連携する阪急新駅と既存の駅、三つの駅の個性を生かしたまちづくりを大きなテーマすることになりました。島本町と地理的状況が似ている長岡京市から学ぶことを活動に活かします。
画像は、杉並区のある小学校
校庭と校舎壁面の緑化がされている
落ち着いて品のある佇まいの学校
実際に訪問させていただいたある小学校では、校庭の芝生化・屋上緑化・壁面緑化(これらは基本的に維持管理を委託されており年間経費がトータルで約500万円)に加えて、天井扇が各教室に4つ、さらに夜間に冷えた外気を教室内に取り組む「ナイトパージ」もあり、それによって前区長の政権下で冷房完備の対象となっていた学校ということでした。エコ対策の効果の検証は、今後の課題とされており、現時点ではされていないとのことでした。
芝生は春と秋に約1か月間の養生が必要で、その間は運動場を使うことができず、体育の授業は屋上か体育館で行われると説明を受けました。休み時間も屋上で躰を動かすことになります。冷房があることで子どもたちが外で遊ばなくなるということはあるか?という問いに「まったくそういうことはないですね」と即答され、安心しました。芝生化により運動会の騎馬戦などや組体操にかつてない競技の雰囲気が生まれたこと、周辺の住宅が砂埃で悩まされることがなくなったなど、いくつかの効果を挙げられていました。
しかし、冬の朝は芝生に霜が降りるのを避けるため、夜間にシートを被せて翌朝に取り除くという作業が必要で、主に6年生が担当するそうです。校門を抜けてはじめてめにする芝生運動場に「緑のなごみ効果は侮れない・・・」という印象をもちましたが、予想以上に芝生の維持管理は困難であることが理解できました。今回、屋上から拝見させていただいた芝生はところどころに広範囲な「抜け」があり、夏の暑さに非常に弱いこと、虫の発生には薬剤が使えないことなど、日本の気候風土に「芝生化」は適さないかもしれないという印象をもちました。
訪れた学校の校庭芝生の維持管理委託料は、年間300万円を越えていました(初期費用:3,200円/㎡)。広さからすると島本町は倍近い費用がかかるでしょう。もちろん島本町の場合は、地域住民が一部世話をするという方法もありますが、スプリンクラーで常時水をまく必要もあり、財政状況からして島本町での採用は限りなく不可能に近い。もとより、議会での議論は「普通教室へのクーラー設置」であり、校庭の芝生化・屋上・壁面の緑化などは、具体化に向けての議論になってはいません。
小中学校の普通教室への冷房完備の是非が問われているときに、敢えて東京でエコスクールを視察する意図が理解できないままの委員会調査研究でしたが、訪れたふたつの自治体では既に冷房が完備されていた・・・という所管事務調査に反省する必要があります。校庭の芝生化なら2008年に向日市内の小学校が取り組まれています(管理は教職員。夏休みの水やりは当番制で校庭の一部650㎡を芝生化)。
湯河原町への視察の目的は通学路に遮熱舗装を取り入れた「学校の暑さ対策」でした。またコミュニティバスを運行されていることも事前にわかりました。産業構造が全く異なる温泉町での運行事例が、福祉ふれあいバスの対象者拡大を検討中の島本町にどこまで参考になるのか疑問視していましたが、結果的に、検討過程や社会実験の活用、初期費用が極端に少ない(実証実験事業委託費約177万円・実証実験事業バス停の設置や時刻表作成など約40万円)、有料化(一律200円)しても現時点では採算がとれている(町は赤字補填として5万円を予算計上、決算額は現在ゼロ)など、今後の参考になることが多々ありました。
湯河原町では、昨年の猛暑の影響もあって保護者からの要望が強く、保護者より議長・副議長へ陳情を受けて、議会において「特別委員会」を設置されたとのこと。これこそ学ぶ点と感銘しました。一年間議論されたそうです。杉並区は人口50万規模で財政規模が比較になりませんが、人口3万弱の湯河原町の財政状況が島本町に比べて特別によいわけではありません。耐震化との関係を議論するなかで、老朽化が進んだ中学校については、廃校になった県立高校の校舎を借り受けて移転し、一定の期間を経て譲り受けることにされたそうです。困難な課題を克服する力が「議会」にあり、この点においてたいへん有意義な視察になりました。
比べて島本町では、小学校の冷房完備が「政争の具」になってしまったという印象があります。なぜこの時期に「エコスクール」の調査研究にはるばる東京・神奈川まで出向かなければならないのか!納得できず(年間研修予算ひとりあたり6万円、今回10人60万円)、重い腰を上げて出かけた調査研究でした。わたし自身は、専門家の技術的指南を得て、福祉バスをコミュニティバスに「市民参画」で移行された富山県・射水市への視察を希望、資料を添えて提案していました。しかしながら、資料が共有されることはなく、視察の希望を「コミュニティバスについて」(テーマのみ一行で記載)としていた他の議員(自民・民主)が、多数決では民主党の議員が提案した「暑さ対策」をテーマにすることに賛成挙手。
研修の行き先まで「政争の具」とする島本町議会に「小ささ」を感じずにはいられません。「正しさ」を追及するあまりに結果として小さくなっていないか・・・考えさせられました。
今日から、大都市近郊都市(長岡京市)をテーマにして、持続可能な公共交通とまちづくりを学ぶため、連続したワークショップに参加します(計4回&グループの自主的活動)。近畿の府県や近隣市町村の行政職員(町長がコミバス導入を宣言されている大山崎町からの参加も)、NPO関係者、コンサルタント会社の技術者がテーマを自分たちで決めて学びあいます。コミバス「はっぴいバス」にも試乗したい。わたしの所属するチームは、長岡京市からの情報提供やフィールドワークをもとに、「にそと」と連携する阪急新駅と既存の駅、三つの駅の個性を生かしたまちづくりを大きなテーマすることになりました。島本町と地理的状況が似ている長岡京市から学ぶことを活動に活かします。
画像は、杉並区のある小学校
校庭と校舎壁面の緑化がされている
落ち着いて品のある佇まいの学校