一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

北陸新幹線開業の光と影

2015-03-15 02:03:27 | プライベート
2015年3月14日、北陸新幹線「長野~金沢」間が開業した。1972年の基本計画から43年、待望の開業である。
2010年12月の東北新幹線「八戸~新青森」、2013年3月の九州新幹線「博多~新八代」に続いての新幹線開業となるが、今回はこれらの2つより、かなり話題になっていると感じる。
まず、東北新幹線の八戸~新青森間は81.8kmしかなく、延伸の有難味が思ったほどなかった。終点新青森が青森駅に直結していなかったことも、不便だった。
また九州新幹線・博多~新八代も、地域が九州と遠かったこともあるが、開業日が2011年3月12日で、その前日に起こった東日本大震災により、日本国民が開業を祝うどころではなかったことがある。
これまで新幹線は基本的に、タテに路線を伸ばしてきた。これ、私の感覚では、あまり新規性はなかった。線路も背骨のごとく一直線で、在来線の特急でも、けっこう早く目的地に着いた。
しかし今回は違う。ルートは「ヨコへの延伸」という新鮮味がある。それまで、東京から北陸方面への在来線はグニャグニャしており、すこぶる時間がかかっていた。そこに新幹線が通ったことにより、想像以上に利便性がよくなったのである。
長野~金沢間には黒部宇奈月温泉、富山など有名観光地も多く、終点金沢には雅な響きがある。これが私たちの旅情を掻き立てる。テレビで北陸の関連番組が立て続けに放送されたのも、当然だった。
石川県では、首都圏からの観光客を現在の倍の年間500万人と見込んでいるらしいが、その目算は強気とは思わない。達成されると思う。

こうしてみると北陸新幹線開業はバンバンザイのようだが、やはり影の部分はある。
JRは、赤字路線となる並行区間の在来線を引き取らないので、必然的に第3セクターへの転換となる。今回は合計252.2kmもの路線が、4社の第3セクターに移管された。
内訳を記すと、

信越本線 長野~妙高高原37.3km→しなの鉄道「北しなの線」
信越本線・北陸本線 妙高高原~直江津~市振97km→えちごトキめき鉄道「妙高はねうまライン」「日本海ひすいライン」
北陸本線 市振~倶利伽羅100.1km→あいの風とやま鉄道
北陸本線 倶利伽羅~金沢17.8km→IRいしかわ鉄道

となる。北陸本線などは計177.2kmの廃止になり、まさに北陸新幹線の犠牲になった形だ。
第3セクター各社のホームページを見ると出来立てほやほやで初々しく、サポーターを募るなどはLPSAのようで微笑ましい。とはいえこれらの路線はJR時代と比べて、割高の乗車料金になる。地元の人がふだん使うのは新幹線ではなく、在来線なのだ。集客の倍増と秤にかけて、地元の人がどれだけ潤うだろうか。
さらに旅行者の観点から見ると、「青春18きっぷ」が使えなくなることが大きい。値段を気にせず在来線に乗れるのが醍醐味なのに、途中で乗り換えと再改札を余儀なくされ、余計におカネも取られる。これがどうにも我慢ならないのだ。
今回の並行在来線廃止によって、七尾線、氷見線、城端線が「根なし草」となる。左の3線利用にいくつか救済措置はあるようだが、18ユーザーにとって不便になることは間違いない。
私は一昨年の暮れに同きっぷを使って、北陸旅行を堪能した。あの行程がもう再現できないと思うと、さびしい。
というわけで今回の北陸新幹線開業も、喜びと哀しみ相半ばというところなのである。


列車撮影の聖地・日暮里駅「下御隠殿橋」にて
コメント (4)
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