一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

熊坂五段の順位戦復帰の目を考える・最終回 ありがとうございました

2015-03-20 09:55:41 | 目を考える
きのうの竜王戦6組・熊坂学五段と増田康宏四段の一戦は、増田四段の勝ち。いま、将棋連盟のサイトで確認した。
これで熊坂五段は順位戦復帰の道をすべて絶たれ、引退することになった(厳密にはまだ竜王戦の昇級者決定戦があり、これで5組に昇級して、やがては竜王に挑戦して…と話を継ぐことはできるが、これはあまりにも現実的でない)。
今年度はよく勝ち、順位戦復帰まであと1勝か2勝だったが、力尽きた。NHK杯の畠山鎮七段戦で、熊坂五段が△6二金と引いていれば…。棋王戦の藤倉勇樹五段戦で、熊坂五段が△4九竜と指していれば…。竜王戦6組の田丸昇九段×増田四段戦で、田丸九段がもう少し勝利に執念を燃やしていたら…。など、次から次へと「たられば」が出てくるが、済んだことをあれこれ言っても詮無い。
ところで今回残念だったのは、本局の勝敗がわりと早く分かってしまったこと。前夜、将棋関係者のタコが、それと分かるニュアンスでツイッターにつぶやいたのを、誰かがネット掲示板に転載したからだ。
転載したヤローはともかく、このタコの口の軽さはどうしようもない。人の人生を左右する重大事項を、私はこんな形で知りたくなかった。将棋連盟の正式な発表で知りたかった。あれこれ悶絶しながら、一夜を過ごしたかった。
思えば2年前、植山悦行七段が負ければ引退という将棋を指し、そして勝ったとき、その報が瞬く間にジョナ研メンバー内に伝わった。
しかし次の将棋で植山七段が負けたとき、その勝敗を知らせるメールは来なかった。つらい結果は遅く知ればいい。植山先生の最後の対局結果は、各自連盟のサイトで確認してください、というメンバーの無言の配慮だった。
このタコには、そういうやさしさが欠けていた。このタコは、人より先に大勝負の結果を知ったのを、誰かに吹聴して目立ちたかったのだ。まったく、何という浅薄か。
それはともかく、熊坂五段はよく頑張った。夏に怒濤の6連勝で順位戦復帰の目を手繰り寄せ、そこからの一局一局は、目が離せなかった。10月に森内俊之竜王(当時)を破ったときは、熊坂フィーバーが最高潮に達した。誤解を恐れずに言えば、タイトル戦の番勝負より、はるかに興奮したものだった。
しかし武運拙く、熊坂五段は棋士生活13年で、現役を去る。プロとは、人々の心に感動を与える者のことを云うと思う。その意味で熊坂五段は、列伝に名を残す、立派なプロだったと思う。
熊坂先生、お疲れ様でした。いまはゆっくり休んでください。熱い戦いを、ありがとうございました。
コメント (4)
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