一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

逡巡の沖縄旅行2015・11「感動の公開ウェディング」

2015-08-28 01:16:49 | 旅行記・沖縄編
「公開ウェディング」は最近ちょっとしたブームで、各種イベントで見られる。それをここで見ることになるとは思わなかった。ちょっと心の準備ができていないが、感動的な場面に立ち会えそうである。もっとも私はヒトの結婚を祝うどころではないので、気分は複雑なのだが…。
新たに女性司会者が加わり、篠原ともえが話を聞くと、公開ウェディングは4回目とのことだった。このイベントではけっこう有名らしい。
まず、地元のエイサーチームが登場し、派手なパフォーマンスで場を盛り上げる。空はすっかり暗く、私の位置からも遠いが、十分に熱気が伝わってきた。
ステージ前方に敷かれていたシートは、バージンロードを兼ねていた。スポットライトが光り、私から見て右手に、新郎新婦が浮かび上がった。ボンヤリ見える新婦はウェディングドレス姿が美しい。その彼らをエイサーチームが先導し、ステージに向かう。大きな幟が何本も立って、幽玄な雰囲気である。ちょっと、「カリオストロの城」を思い出した。
それを取り囲む無数のカメラ。私もそこに加わりたかったが、ズームレンズがないので、今一つ積極的になれない。
女性司会者が、
「新郎は21歳、新婦は20歳。2人は小学校5年生の時から付き合ってきました…」
と言うと、会場がざわめいた。
マジか…。2人は初恋同士だったんじゃないか? 世の中にこんな出会いがあるんだなあ。
2人が徐々にステージに近づく。それを待っているのは新郎だ。…ん? 新婦の手を携えているのは新郎と思いきや、彼は御尊父であった。
新郎新婦がステージに上がる。夏川りみ、Skoop On Somebody、華菜枝ももちろん残って、祝福している。いちばんうるうるしているのは篠原ともえだ。婚期を逸しつつある彼女、次は自分と言い聞かせているに違いない。
司会者が2人にいろいろ話を聞く。どの答えも幸せ度が満点だ。
ステージ上に、大きなボードが出される。夜空に無数の星がきらめいている絵だ。あれは、さっきまで会場に置かれていたやつだ。「星」は来場者が指で押したものだ。その跡が星になるわけである。つまり来場者みんなでこの絵を作った、ということになるのだろう。
会場が感動の2文字に包まれていく。
「では、誓いのキスです!」
女性司会者が言うと、2人がおずおずと近づく。「さあ、数千人が証人ですよ!」
口と口に、やった。会場、やんやの拍手である。
ここで新婦から御尊父に、「感謝の手紙」である。まさに王道の一手で、主催者側もよく心得ているのである。
まずは新婦の生い立ちから始まる。そして中学時代。
「私は学校に行かなくなりました」
子供の時はあまりいいコではなかったという、いくつかある定跡のひとつだ。「そして高校の時、初めて父にぶたれました」
ここが最初の山場で、新婦はすでに泣きじゃくっている。篠原ともえはもうダメで、さっきから涙腺が緩みっぱなしだ。
「高校を卒業して、大都会にあこがれた私は、千葉県に出て、就職しました」
新たな展開に、ほうほう、と場内が聞き入る。「だけど都会になじめず、毎日家に電話をしました。そんな時父は、電話口の前で三線を弾いてくれました」
感動の親子愛に、篠原ともえの涙はもう洪水である。
「私はT(新郎のこと)に毎日電話を掛けました。Tは、いつでも俺の家に来い! と言ってくれました」
おおー、と場内がどよめく。
「赤ちゃんができた時、Tは産め、と言ってくれました」
…ん? …何?
予期せぬ展開に、場内がざわめく。
「そして私は沖縄に帰りました。今では産んで、本当に良かったと思います」
はああーーーーーーーー!?!?
も、もう子供がいるのか!? できちゃった結婚!?
と、係の人が、赤ちゃんを抱いてきた。といっても、プチドレスを着ているから、1歳くらいではあるまいか。彼女、何歳の時に産んだんだ!?
ともあれ、すでに家族が形成されていたとは私たちの予想の範囲外で、困惑を抑えきれない。さっきの誓いのキスは、何だったのか。
しかしウェディングは粛々と進行していく。感謝の手紙を読み終わると、夏川りみ以下と記念撮影となった。私(たち)は呆気に取られるばかりである。
だけどここまで感動しちゃった手前、それをなかったことにするわけにはいかない。今まで通り、彼らを祝福するしかない。
まあ沖縄は離婚率も高いというし、2人はまだ若すぎる。お互いを一生愛し続けるのは困難かもしれないが、そんなことは2人には、大きなお世話だろう。彼らから見れば、いい歳をして女友達一人いない私などは、軽蔑の対象にほかならない。
私はひがみ8割、祝福2割の拍手を、改めて送ったのだった。若い2人と娘さんに幸あれ、と。
(つづく)
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