一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第2回宴会将棋(中編)・植山七段の評価

2015-08-11 01:06:45 | 宴会将棋

Hos氏は▲4八飛と、桂取りに回った。私は先に桂馬を得しているので、この桂は取られても構わない。以下△4四歩▲4六歩△6二玉▲4五歩△同歩の結果は、上手の2一桂が駒台に乗り、下手の角も成れなかった。これは上手不満がない。
私は△6四桂と据える。次に△5六桂と△7六桂の両方を見た好手だ。以下▲5七銀△7六桂▲9七角△8八歩となって、上手十分となった。
もっとも角落ちだから急激に良くはならず、Hos氏も6筋から猛烈に反撃して、一時はあわやという局面があったのだが、最後は私が逃げ切った。
「(終盤は難しいところもあったかもしれないけど)やっぱり角を成らなかったことに尽きます」
と解説の植山悦行七段。「▲4八飛と回ったところでは▲1一角成としないと」
以下△6二玉▲7七馬△4六桂▲4八飛△3八桂成▲同金△4四歩▲4六歩△5七銀は、▲4七飛で上手指し切り。よって▲1一角成と指せば、Hos氏が勝っていただろう。
Hos氏、実力を出し切れなかったようだ。
左の将棋は激戦になっていた。Ok氏が相当な作戦負けだったのだが、Hon氏もおかしな手を指したようで、最終盤ではOk氏の勝ちになっている。とくに植山七段が助言したふうでもなかったので、Ok氏が本来の力を発揮したということだろう。

図以下、▲2三竜△同玉▲3二銀打…でOk氏の勝ち。
この局面は詰みがあり、Ok氏が正解手を指すまで待つ、というスタンスだったので、Ok氏が▲2三竜にたどり着いた。銀でも桂でもなく、竜で歩を取るのが正解という詰将棋ばりの手で、これが実戦で現れるのは珍しい。いやこんなことがあるから、詰将棋の鍛錬は必要なのだ。
それにしてもOk氏、三段のHon氏に平手で勝つとはすごい。Ok氏は実年で将棋を覚えたのも遅いが、不断の努力でメキメキと実力を付けた。もう初段を名乗っても構わないのではないか。
こちらの植山解説は序盤から行われた。並行して私たちも感想戦を行わなければいけないのだが、それより植山七段の講義を聴く方がよほどためになる。
私はまたも、唸り続けるのだった。
今度はメンバーを代え、Hon―Hos戦、Tod―Ok戦が行われる。ジョナサンでの将棋は若干の背徳感があったが、ここは個室のうえ将棋の了承も取ってあるので、遠慮なく対局が続けられる。
私が植山七段の向かいに移動した。
「私は大沢さんの将棋を買ってるんですよ」
と、突然植山七段が言った。
「いえいえ私なんか…」
「私と大沢さんの読みは似てるし、大沢さんの考えてることもよく分かりますよ。対局してても強いと思うしねえ」
私は恐縮するばかりである。「ただ大野君との将棋を見ていると、ヘンな将棋になってるよねえ」
「それが私の実力です」
昔から植山七段は私を評価してくれている。それはありがたいことだけれども、変な手は指せないと、妙なプレッシャーになることもある。私がもう少し実力を付ければ問題は解決するのだが、これがなかなか難しいのだ。
何だかこのまま続けているとホメ殺しをされそうなので、話題を変える。
「ブラジルはけっこう長かったんですか?」
「9日間ぐらいかな」
このブラジル話が国民性を表して報復絶倒モノなのだが、それをここでバラしていいのか分からない。いずれ大野八一雄七段のブログに旅行記が載るだろうから、それを楽しみに待ちたい。
「ああっ!!」
と植山七段が叫ぶ。左のHon―Hos戦はHon氏の四間飛車にHos氏の棒銀だったのだが、Hos氏が▲3七桂と跳ねたのだ。「これねえ…。▲3七桂を跳ねちゃうと▲3五歩△同歩▲同銀には△3六歩があるし、といって▲3五歩と指さなきゃ棒銀が捌けないし、もう指しようがないですよ。…これは待ったしましょう」
植山七段が桂を2九に戻し、対局が再開された。
その奥、出入口側のTod―Ok戦は、やはりTod氏が異能な手を指し、しかもそれをOk氏が咎めないという妙な展開になっていた。しかし冷静に見ればOk氏が優勢だ。
Hon―Hos戦はHos氏が▲3八飛と回って▲3五歩。先手は棒銀をどう捌くかだが、相手の銀にぶつけて交換し、駒台に乗せることができた。これは一応、棒銀成功の形だろう。形勢もHos氏持ちだ。
Tod―Ok戦が終わり、Ok氏の勝ち。まあそうだろうな、という結果で、現在のOk氏には、そのぐらいの「信用」がある。
Hon―Hos戦は、Hos氏がハッキリ優勢となった。どうもHon氏、さっきの将棋もそうだったが、今日は植山七段が見ているからかヨソ行き、すなわちお行儀のいい手ばかりを指して、本来の変態性がまったく出ていない。
将棋は以下の難しいところはあったが、Hos氏がうまく寄せて、うれしい勝利となった。
植山七段のありがたい解説が終わると、
「じゃあ最後に私と大沢さんが(対局を)やりましょう」
とHon氏が言った。
(つづく)
コメント (2)
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