私はほとんど眼中になかったのだが、2日(日)に東京・渋谷のデパートで、「白瀧あゆみ杯」の公開対局が行われたらしい。日本将棋連盟のサイトを見ると、出場者の1人・室谷由紀女流初段が神懸かり的に美しく、事前に知っていたら観戦に行ったのにと落胆した。
白瀧杯には和田あき女流初段も出ていて、メールで知らせてくれてもよかったのにと訝ったが、まあ、知らせないわな、ふつう。
それにしても室谷女流初段、マジでどこかのグラビアに出てくれないか。
7日(金)は埼玉県・蕨で「第2回宴会将棋」があった。これはHon氏が主宰で、植山悦行七段を講師にお呼びして、酒を飲みながら将棋を指し、同七段の講評をいただく趣向である。昨年まで行われていたジョナ研の居酒屋版といったところだ。今回も私は時間をやりくりして、参加させていただくことにした。
今回のお店は蕨駅前にある「松祥」という居酒屋。Ok氏が馴染みにしている店で、もちろん将棋の了承は得ている。
午後6時に仕事を終え、蕨駅に向かう。駅を降りると祭りをやっていて、「わらび機(はた)まつり」といった。「松祥」は、通りの祭り会場に隣接していた。しかし「駅から徒歩1分」ではない。
お店に入ると、入口横の個室に、植山七段、Hon氏、Tod氏、Ok氏、Hos氏の姿があった。今回の宴会に際し、Hon氏は10人程度に声を掛けたというが、どうも私が最後の来場者のようだった。もっともここは定員6名で、これ以上来られても困る。
テーブルには酒類とつまみが揃い、みんなはすでに1杯やっていた。もちろん将棋も行われていて、Tod―Hos戦だった。Hos氏は初参戦だが、これも「宴会将棋」ならではだ。
「久しぶりですねえ」
と、植山七段。
「そうですか」
「私がブラジルへ行っていたからかな」
植山七段は先日、大野八一雄七段とともに、ブラジルへ将棋普及の旅に出かけていたのだ。
「向こうでは雨を降らせたそうで」
「そうなんだよ。そこは滅多に雨が降らない地域だったんだけど」
「ワールドワイドですね」
私も旅先ではよく雨を降らす雨男だが、植山七段には大駒一枚負ける。
私もビールを頼み、2度目の乾杯となった。
将棋は相矢倉模様からHos氏の棒銀が決まって、Tod氏が早投げした。が、それではあまりにも早いだろうと、そのまま続行させる。
がやはり、指せば指すほどTod氏の形勢が悪くなっていく。△7五歩▲同歩△同角とやったが、それより△8五歩が先決だろう。
数手後、Tod氏は△8五香! 何ですかこの手は!? △8二飛、8四歩形で△8五香とは、どういう思考回路なのか。Tod氏が将棋を覚えて何年になるか知らないが、何でこんな手が思いつくのだろう。これは植山七段、大野七段の教え方が悪いのか、私たちのアドバイスが悪いのか。ともかく私たちは、やっぱりTod氏やってくれたと、心底呆れてしまったのである。
というわけでHos氏の必勝形だが、Hos氏も熟考が続く。どう寄せていいか、その構想がまとまらないのだ。しかしここで戸惑っているようだと、初段より上へは行けない。
つまみは個別に頼んで個別会計となるらしい。私は厚揚げと煮込みを頼んだが、どちらも上品な味で美味い。値段設定はこんなものか。すなわち安くはないが、将棋の席料込と思えば安い。
その後Tod氏が投了。この内容でも、いやこの内容だからこそ、植山七段の講義が冴える。それは有段の私でも参考になるもので、唸るばかりであった。
次は2局同時に対局。Hon―Ok戦と、一公―Hos戦である。前者は三段と1級の対戦だが、平手。後者はいつも私の飛車落ちで指しているのだが、「私もHosさんと飛車落ちなんだよね…」と植山七段がつぶやいたので、角落ちの手合いとした。
対局開始。Hos氏は、飛車落ち戦では右四間飛車定跡で来るが、角落ちの時の戦法が分からない。こちらはそろそろ対応したが、Hos氏は中飛車に振ってきた。
左はOk氏の石田流三間飛車に、Hon氏の居飛車左美濃。ふだんは変態使いのHon氏、ここまでふつうに指しているのが珍しい。
私の将棋は、Hos氏が▲3七桂と跳んで▲4五歩。これを△同歩なら▲同桂△同桂に▲1一角成とやるつもりだろう。私の飛車は一段目にいるが、居玉なので△1一の香が守れない。これはうまく仕掛けられたと思った。しかし△4五同歩と取らなきゃしょうがない。
Hos氏は▲4五同桂。私は△同桂(図)。次は当然▲1一角成とするかと思いきや、Hos氏の指し手は違った。
(つづく)
白瀧杯には和田あき女流初段も出ていて、メールで知らせてくれてもよかったのにと訝ったが、まあ、知らせないわな、ふつう。
それにしても室谷女流初段、マジでどこかのグラビアに出てくれないか。
7日(金)は埼玉県・蕨で「第2回宴会将棋」があった。これはHon氏が主宰で、植山悦行七段を講師にお呼びして、酒を飲みながら将棋を指し、同七段の講評をいただく趣向である。昨年まで行われていたジョナ研の居酒屋版といったところだ。今回も私は時間をやりくりして、参加させていただくことにした。
今回のお店は蕨駅前にある「松祥」という居酒屋。Ok氏が馴染みにしている店で、もちろん将棋の了承は得ている。
午後6時に仕事を終え、蕨駅に向かう。駅を降りると祭りをやっていて、「わらび機(はた)まつり」といった。「松祥」は、通りの祭り会場に隣接していた。しかし「駅から徒歩1分」ではない。
お店に入ると、入口横の個室に、植山七段、Hon氏、Tod氏、Ok氏、Hos氏の姿があった。今回の宴会に際し、Hon氏は10人程度に声を掛けたというが、どうも私が最後の来場者のようだった。もっともここは定員6名で、これ以上来られても困る。
テーブルには酒類とつまみが揃い、みんなはすでに1杯やっていた。もちろん将棋も行われていて、Tod―Hos戦だった。Hos氏は初参戦だが、これも「宴会将棋」ならではだ。
「久しぶりですねえ」
と、植山七段。
「そうですか」
「私がブラジルへ行っていたからかな」
植山七段は先日、大野八一雄七段とともに、ブラジルへ将棋普及の旅に出かけていたのだ。
「向こうでは雨を降らせたそうで」
「そうなんだよ。そこは滅多に雨が降らない地域だったんだけど」
「ワールドワイドですね」
私も旅先ではよく雨を降らす雨男だが、植山七段には大駒一枚負ける。
私もビールを頼み、2度目の乾杯となった。
将棋は相矢倉模様からHos氏の棒銀が決まって、Tod氏が早投げした。が、それではあまりにも早いだろうと、そのまま続行させる。
がやはり、指せば指すほどTod氏の形勢が悪くなっていく。△7五歩▲同歩△同角とやったが、それより△8五歩が先決だろう。
数手後、Tod氏は△8五香! 何ですかこの手は!? △8二飛、8四歩形で△8五香とは、どういう思考回路なのか。Tod氏が将棋を覚えて何年になるか知らないが、何でこんな手が思いつくのだろう。これは植山七段、大野七段の教え方が悪いのか、私たちのアドバイスが悪いのか。ともかく私たちは、やっぱりTod氏やってくれたと、心底呆れてしまったのである。
というわけでHos氏の必勝形だが、Hos氏も熟考が続く。どう寄せていいか、その構想がまとまらないのだ。しかしここで戸惑っているようだと、初段より上へは行けない。
つまみは個別に頼んで個別会計となるらしい。私は厚揚げと煮込みを頼んだが、どちらも上品な味で美味い。値段設定はこんなものか。すなわち安くはないが、将棋の席料込と思えば安い。
その後Tod氏が投了。この内容でも、いやこの内容だからこそ、植山七段の講義が冴える。それは有段の私でも参考になるもので、唸るばかりであった。
次は2局同時に対局。Hon―Ok戦と、一公―Hos戦である。前者は三段と1級の対戦だが、平手。後者はいつも私の飛車落ちで指しているのだが、「私もHosさんと飛車落ちなんだよね…」と植山七段がつぶやいたので、角落ちの手合いとした。
対局開始。Hos氏は、飛車落ち戦では右四間飛車定跡で来るが、角落ちの時の戦法が分からない。こちらはそろそろ対応したが、Hos氏は中飛車に振ってきた。
左はOk氏の石田流三間飛車に、Hon氏の居飛車左美濃。ふだんは変態使いのHon氏、ここまでふつうに指しているのが珍しい。
私の将棋は、Hos氏が▲3七桂と跳んで▲4五歩。これを△同歩なら▲同桂△同桂に▲1一角成とやるつもりだろう。私の飛車は一段目にいるが、居玉なので△1一の香が守れない。これはうまく仕掛けられたと思った。しかし△4五同歩と取らなきゃしょうがない。
Hos氏は▲4五同桂。私は△同桂(図)。次は当然▲1一角成とするかと思いきや、Hos氏の指し手は違った。
(つづく)