一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

十たび大野教室に行く(延長戦)・合宿の予行演習

2011-10-13 00:04:37 | 大野教室
きのうから始まった日本テレビ系「家政婦のミタ」が妙に面白い。主演の松嶋菜々子の怪演が光る。脚本は遊川和彦。次回以降も楽しみだ。

10月1日の長い一日が終わり、夜が明けた。前日は2時間しか眠っていないのに、この日も眠れなかった。だいたい私は、枕が変わると眠れないタチである。旅が好きなのにどうしてなんだと訊かれると困るが、とにかくそうなのである。
まだ午前6時台だが、Fuj氏が先に起きて、大野教室に置かれている「将棋ペン倶楽部」最新号を再読していた。
Fuj氏、きのうも私の書いた「忘却の角」を読んでいたのだが、
「作家の目は厳しいなあ。こんなにおもしろい文章を、どうしてAさんはつまらないと言ったんでしょうねー」
とつぶやいていたっけ。
私も起きて、Fuj氏と一局指すことにする。一時期は将棋から離れようとさえ思ったのに、結局将棋に戻っている。私も相当な将棋バカだ。いや、ただのバカか。
「私、Aさんが言うように、大沢さんがブログをやめて、小説の執筆に専念するのもいいかなあ、と思うようになってきました」
とFuj氏がいう。
小説か。たとえば例の件を膨らませて、小説にすることはできる。しかしそれでは私の体がもたない。「サヨナラ、ワインサロン」の3部作も、あんなにひどい精神状態だったのに、どうして書き上げられたのか、自分でも分からない。ホント、いつ倒れてもおかしくなかった。あんな思いは、もうしたくない。
そういえば、あれを読んだ作家のA氏は、
「食事に影響が出るくらい落ち込んでいるのに、文章力がまったく落ちない大沢さんに恐怖を感じます。風邪をひいてもタイトル戦で勝っちゃう羽生さんみたいです」
と、過分な感想をくれたものだった。

「合宿ではこんな感じだからね」
私はFuj氏を脅す。午前3時に寝て、午前7時から将棋を始めるスケジュールのことだ。
これは冗談ではなく、11月に予定している2泊3日の将棋合宿では、実際そうなる公算が大きい。今年4月の同合宿では、ある会員らは、午前3時45分に就寝した。そして午前7時に起きて朝食を済ませると、すぐに対局に入ったのだ。
食事と風呂以外はすべて将棋。将棋の息抜きには10秒将棋やリレー将棋を指すという将棋三昧。すべてこれ、将棋愛があるからできることである。
LPSAで、このスケジュールをこなせる女流棋士は何人いるか。いいところ、中井広恵女流六段のみであろう。
しかしFuj氏は、望むところだ、という顔をしていた。来月が楽しみである。
Fuj氏との将棋は、先手Fuj氏の引き飛車。そこで私がひねり飛車に出た。
大野八一雄七段が起きてきた。
「キミたち…」
こんな朝っぱらから、バカじゃないのか? という顔で苦笑いする。そんな大野七段も、私たちの将棋を観戦する。棋士はとにかく、将棋が好きなのだ。
将棋は、私が△2四飛とぶつける手を躊躇したため、相手の飛車道が直通した上、▲3七金▲4七銀の形が手厚く、私の方から動けなくなった。
ところがFuj氏は、▲3三角成△同金▲2五桂と暴発してきた。以下△2四角▲3三桂成△同飛▲4四金△3一飛▲5三金△5一飛の結果は、私の駒が全部捌けてしまった。この辺のFuj氏の指し方は、前夜植山悦行七段に指した、私の手にそっくりだ。
結果も私の勝ち。感想戦では大野七段から、
「Fujさんは中盤まで完璧だったのに、▲3三角成以下の手順はヒドかったですね」
と指摘された。
先手は、先にも書いたが▲3七金▲4七銀の形が手厚い上に、▲6六角▲7七桂が絶好の位置。大野七段が▲3三角成の代わりに数手指しただけで、たちまち先手が勝勢になってしまった。いまさらながら、プロの指し手は一味もふた味も違うと感心する。
さて、Fuj氏は仕事があるとかで、大野教室を離れなければならない。私はきょうも大野教室にお邪魔する予定だから帰宅する必要もなく、実際大野七段にも引き留められたのだが、何か間違いがあってもいけないので、一旦帰宅することにした。
大野七段には、大変お世話になりました。窮状を救ってくださった大野七段には、心から御礼を申し上げます。
川口駅に戻る。Fuj氏が上野方面行きの最終電車を確認した。平日・休みとも、0時19分が最終だった。私も鉄道マニアの端くれである。もう乗り遅れはしない。
上りの京浜東北線に乗る。しかしFuj氏と朝帰りとは、何の因果か。うわああああああ!! と叫びたくなる。
Fuj氏が下車し、私ひとりになった。ひとりになると、考えることは決まっている。それでもきのうで、だいぶショックは和らいだ。ああ、持つべきものは友人である。
コメント (5)
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