AKB48の旅

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AKB48 DVD MAGAZINE "VOL.7 AKB48 22thシングル選抜総選挙"

2014年02月20日 | AKB
第3回選抜総選挙は、2011年6月9日、ついに日本武道館での開催ということになる。現時点だといろいろ麻痺してしまって、武道館が大箱だとは感じられなくなってしまってるけど、当時はもちろんそんなわけがない。既に横浜アリーナや代々木体育館を経験していたとは言え、それでもコンサートではない、選抜総選挙というイベント会場として、武道館が選ばれるという。

第3回の投票総数116万6145票で、第2回のおよそ3倍。総観覧者数は不明だけど、武道館の入場者を仮に11000人、全国86カ所の映画館中継の、それぞれの入場者を平均150人程度と見積もるなら、概略13000人。合計24000人と推定されることになり、第2回の2倍と言うことになる。

もちろんこれに、『なるほど!ハイスクール』での中継が加わるので、実際のリアルタイム観覧者数は、これよりも大幅に多かったことになる。とは言え、中継は確か上位発表に限られていたし、やはり足を運んで有料観覧した人数にこそ意味があるとも考えられ、観覧者数での第2回との比較は、一義的になかなか難しいと考えられる。

比較を投票総数に絞るなら、インフレーションのスピードとしては、第1回→第2回が第2回→第3回の倍と言うことになる。先走って言うなら、第4回の投票総数は1384122票と20%程度の増加にまで減速しており、インフレーションという現象の性質からしても、選抜総選挙の性質を決定したのは、第2回と考えて良いように思うし、実際、この第3回を視聴しても、その結論は変わらなかった。そんな第2回の相似形にして拡張だった第3回にあって、現在から遡ることで発見できる二つのエポックが、とても印象的だった。

まず一つ目は、「指原クオリティ覚醒」が、ここにしっかり刻みつけられていたこと。いみじくも木佐氏がそのまんまの言葉で、指原さんを紹介してた。そこで披露された見事すぎる構成のスピーチ、そしてファンなら誰でも知ってる名言「ダンスも下手だし、歌も下手だし、カワイくないし」これが正に指原さんの「覚醒」宣言だったことが分かる。

もう一つは、前田さんと大島さんの物語が、この第3回でしっかりと終止符が打たれていたこと。第2回のリベンジが果たされるとともに、大島さんの「票数というのは皆さんの愛」と、前田さんの「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」という名言によって見事に締めくくられ、この二人の戦いの物語は、ここで終わってることが分かる。

恐らく、終わった物語の主人公としての前田さんの卒業は、この第3回で決定づけられていたんであり、それに気づけるか気づけないかの段階へとシフトしていた。そして前田さんは本能の如くそれに気づけたし、大島さんは気づけなかった、そういうことなんだろうと思う。嗚咽し身を振るわせ続ける前田さんの姿は、そんな個人を遥かに超えた、巨大な物語に翻弄される恐怖に必死に対峙する、そんな姿にすら見える。

と同時に、運命のいたずらのように、ここに指原さんという次の物語の伏線がしっかりと張られてた。運命に闘いを挑むという表現が不遜であれば、神の意志を試すでも良い。いずれにせよ、そういうAKBムーブメントの存在様式が、こんなにも面白い物語を紡ぎ出す。言い過ぎになるのを恐れるけど、そして唐突だけど、ふと生命現象の残酷さと美しさということを想起させられる。



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