AKB48の旅

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リクアワ2013の「走れペンギン」とチーム4の物語

2013年06月16日 | AKB
リクアワ2013の見どころは多々あれど、そのクライマックスは、何と言っても1位の「走れペンギン」に尽きると思う。直前の2位の「奇跡は間に合わない」に合わせて、夏まゆみ氏をゲストに呼び、涙を流す一期、二期メンバーの姿をこれでもかと見せ付けた上でのチーム4。初期メンバーとチーム4の間のもの凄い距離、もの凄い落差を、けれども一寸の隙もなく埋め尽くした、AKBが蓄え続けた膨大な物語が、奔流となって渦巻く中での、フルサイズにしてフルメンバーの「走れペンギン」。

あまりにもドラマチック過ぎて、リアルタイムで見てた時も痺れてしまったけど、ブルーレイで繰り返し見ても、その感動は色あせない。それどころか、改めて感服させられた、チーム4渾身のパフォーマンスの凄み。こんなに生き生きと溌剌と踊るチーム4メンバー達を、かつて見た記憶がない。ここにチーム4はついに覚醒した。今年のリクアワが見事になぞってくれたAKBの物語空間が、ようやくチーム4へと届いた、チーム4メンバー全員が、AKB物語を全力で受け止めた、ひきうける覚悟を示した、そんな圧巻のパフォーマンスだったと思う。

そして、ここだけ明らかに力の入り方が違う編集の冴え。カメラワークの見事さ。最初の大場さんの意を決するような鮮やかな表情から始まって、その後も息切れすることなくラストまで完走してくれてる。編集サイドも、この「走れペンギン」の凄さを余すところなく伝えたい、そんな思いが籠もってるんだろう。

もちろんチーム4は、既にして解散して消滅してしまっていたわけで、これは遅すぎた結実、幻の収穫でしかないのかもしれない。けれでも、存命中のチーム4がどうしても辿り着けなかったもの、応えられなかった期待に、ついに到達した、達成できたというのは、すばらしいことだし、リアルタイムでは気づけなかったけど、これはAKBの新たな未来が開けた瞬間だったんじゃないか。

この一連の流れ、失われたチーム4の、封印された神曲「走れペンギン」に、実は魂を吹き込むセレモニーとなった今年のリクアワが、特定の誰かの意図ではない、図らずも実現したものであること、人知が到達できる域を超えたものであることに、改めて驚嘆するしかないし、これがヲタさん達の投票動向によって実現した、つまりは集団的知性のなせる技だったことに、超越者、すなわち神の意思を見る思いというか。つまるところの結論として、今年のリクアワには「無への跳躍」が現前していたことになる。

その後の高橋さんのMCで、今年のリクアワの物語性が高かったこと、完全に自覚的ではないにしても、メンバーである自身もまた、そのAKB物語の中の人なんだという実感のような話があった。この高橋さんの感じたものは、恐らくは多くのメンバーに共有されていたことだろうし、それが篠田さんの卒業の一つの要因となったろうことは想像に難くない。リクアワでの「走れペンギン」の一位、これこそが「神々の黄昏」の始まりを告げたことになる。

現在から遡ってみるからこそ気づけるけど、第5回選抜総選挙の結果の芽は、既にしてこのリクアワにあったことになる。だからこそ、去年と違って今年の総選挙のスピーチは、リアルタイムとは言いがたい面があって、全体に気抜けしたものにならざるを得なかったんじゃないか。AKBムーブメントの大転換点は、実はこのリクアワだったんじゃないかと思う。

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