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再び4次元世界の正多面体に挑戦する

2021-12-12 11:05:08 | ブログ
 再び4次元世界の正多面体を構成することにした。今度の対象は、正8胞体である。これの構成方法として、参考文献の方法が良いガイダンスとなる。

 3次元空間内に原点Oをその重心とする正4面体を設定する。ここでは、正4面体の頂点をA(1,1,1,0); B(-1,-1,1,0); C(1,-1,-1,0); D(-1,1,-1,0)とする。線分ABの長さは2SQRT(2)である。

 次にこの正4面体の全体を(0,0,0,1)まで持ち上げるとともに、第5の頂点T(0,0,0,2)をつくる。そうすると、Tが新たな原点Oになるとともに、正4面体の頂点は、A(1,1,1,1); B(-1,-1,1,1); C(1,-1,-1,1); D(-1,1,-1,1)となる。

 Tに集まる4つの立方体の1つは、TA,TB,TCで張られるので、線分TAの長さ2、点A,B間の距離2SQRT(2)、Tと対角頂点間の距離2SQRT(3)の条件から、この立方体のその他の頂点E(2,0,0,0); F(0,-2,0,0); G(0,0,2,0); H(1,-1,1,-1)が決まる。

 他の3つの立方体に関しても同様にして、J(-2,0,0,0); I(0,2,0,0); N(0,0,-2,0) K(-1,1,1,-1); S(1,1,-1,-1); R(-1,-1,-1,-1); Z(0,0,0,-2)が決まる。こうして正8胞体の16個の頂点が設定される。

 参考文獻には、頂点座標値を4次元空間内の単位3スフェア上に置き、スフェアの南極点(0,0,0,-1)から立体射影した4つの立方体(3次元空間ではただの6面体)から構成される4面体が紹介されている。16頂点のうち15頂点は図示されるが、残りの1頂点Z(0,0,0,-2)は無限遠点にあるとして図示できない。この4面体の面の中央にある各々の頂点の対角頂点として頂点Zがあるとみなすと、これら4つの面の各々に立方体がついている様子が想像できる。

 この4面体を2次元空間に射影してそれを構成する立方体の各々がよく識別できるようなカメラ・アングルを得るためには、4面体をx,y,z軸のまわりに回転させる必要がある。その回転操作の計算が面倒なのでこの4面体の図示はパスしよう。3DCGソフトを使えば、ソフトがこの計算をやってくれるのであろう。

 ここでは超立方体と呼ばれる3Dオブジェクトを図示することによって、正8胞体を構成する16個の頂点と8個の立方体の「在りか」を明確に示したい。

 参考文献に習って、各頂点の座標値ベクトルに所定の直交行列を作用させて、各頂点の新しい座標値を得る。この操作は、4次元空間内で3Dオブジェクトを回転させるとともに、それを平行移動させるものなのであろう。3次元空間では原点にあったT(0,0,0,2)がT(1,1,1,-1)に移動する。

 この操作によって、各頂点の座標値は次のように変わる: A(2,0,0,0); B(0,2,0,0); C(0,0,0,-2); D(0,0,2,0); R(-2,0,0,0); H(0,0,-2,0); K(0,0,0,2); S(0,-2,0,0); T(1,1,1,-1); E(1,-1,-1,-1); F(-1,1,-1,-1); G(1,1,-1,1); I(1,-1,1,1); J(-1,1,1,1); N(-1,-1,1,-1); Z(-1,-1,-1,1)

 この操作をしても頂点CとKは、3次元空間では原点となる。そこで、4次元座標値と対称性の点で相性の良い8面体座標(4軸が正8面体の面の中心方向になる配置)を考慮し、超立方体の座標値を1対1対応で(x,y,z)座標系に移すことにすると、各頂点の座標値を例えば次のように割り付ければよい。
  A(-2,2,2); G(2,2,2); I(-2,-2,2); K(2,-2,2); E(-2,2,-2); H(2,2,-2); S(-2,-2,-2); Z(2,-2,-2);
  T(-1,1,1); B(1,1,1); D(-1,-1,1); J(1,-1,1); C(-1,1,-1); F(1,1,-1); N(-1,-1,-1); R(1,-1,-1)

 超立方体の直交射影座標を得る前に、各立方体が識別できるように3Dオブジェクトをz軸のまわりに回転させるとともにy軸のまわりに回転させたときの座標値を計算した。回転の角度をt(theta)とするとき、両回転ともにcos(t)=0.97,sin(t)=0.243の値を適用した。

 このようにして変換した3次元座標値のうちy座標値とz座標値をとると、2次元直交射影の座標値となる。以下に頂点間を線で結んだ超立方体を図示する。



 超立方体は、8個の立方体から構成されることが見てとれる。6面体IAGKSEHZと6面体DTBJNCFRは、立方体を表現しているが、たとえば6面体IDJKSNRZはスケールが変形された立方体としか表現できない。しかし、この6面体は、第1の立方体と正方形KISZを介して接合しており、第2の立方体と正方形JDNRを介して接合しており、正8胞体がもつトポロジカルな特徴は保存されている。

 各立方体の6面は、各々他の6個の立方体と接しているが、接していない立方体が1つだけある。

 本図と参考文献に挙げられた超立方体の図とを比較する。参考文献の図は、超立方体に遠近法を用いた射影を行っており、正統な図示であると思う。本図では、直交射影だけにしたら、どのような図になるのか試してみた。

 参考文献
 数学セミナー2021年9月号: 平澤美可三著「4次元正多面体入門」(日本評論社)

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