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有理数と無理数

2015-10-04 11:03:18 | ブログ
 整数や1/3(3分の1を示す)などの分数は有理数と呼ばれる。また、一辺が1の正方形の対角線の長さ「ルート2」などは無理数と呼ばれる。

 分数1/3を小数表示すると、
1/3=0.333...   (1)
である。この例では、一つの数字3が循環している(ついでに言えば、同一数字または同一数字列が循環するという有理数の特徴は、小数表示が10進法表示か否かにはよらない)。

 (1)式の両辺に2を掛けると、
2/3=2×(0.333...)=0.666...   (2)
となる。

 (1)式の両辺に3を掛けると、
3/3=3×(0.333...)=0.999...   (3)
となる。

 (3)式の左辺と右辺は異なるように見える。しかし、右辺は数字9が循環しているから有理数としか考えられない。また、右辺は次のように書ける。
    0.999...=9×(0.111...)=9×(1/9)=1   (4)

 従って、(3)式の右辺は、収束する無限の10進数という有理数を小数表示すると、異なるものであるかのように見えるというに過ぎない。

 無理数は、単一の分数の形で表すことが不可能である。この事実は、すでにギリシャ時代に証明されていた。このことは、無理数は任意の精度で有理数によって近似できるが、次第にある無理数に接近するような有理数の数列がその無理数に収束することはあり得ないことを意味する。逆に、ある有理数に接近するような無理数の数列がその有理数に収束することはあり得ない。

 有理数とは、その分子/分母が有限の整数という限定された範囲(有界)にしか存在し得ない数である。

 一方、無理数は、小数表示では、無限の10進数であって循環するパターンをもたない数ということができる。ということは、1より小さく1に最も接近するいかなる無理数もその小数表示は(3)で示す1という有理数のパターンとは異なるから、後者とは明確に区別できることが分かる。

 ここで、参考文献に出ていた次の命題について証明を試みることにした。

 「m,nを自然数の係数とするxの関数(pは円周率パイを表し、**はべき乗を表す)、
f(m,n;x)={cos(m!px)}**2n
について、
 mを無限大、nを無限大にまでもっていくことを各々lim(m),lim(n)と書くと、
xが有理数のときlim(m)lim(n)f(m,n;x)=1
xが無理数のときlim(m)lim(n)f(m,n;x)=0
が成立する。」

 xが有理数の場合には、容易に証明できる。x=l/k(l,kは自然数)と置く。mを無限大にもっていく操作の途中で、m!の中にkが生じることがあり得るから、m!pxは、(kを除くm!)plとなる。r=cos(m!px)と置くと、rは-1又は1となるから、r**2は1となり、nに関わらずr**2n=f(m,n;x)は1となり、証明される。

 xが無理数の場合には、xは有理数とは異なる数であるから、r=cos(m!px)と置くと、rは-1,0,1のいずれでもあり得ない。何故なら、rはxの単調関数であるから、xの値が有理数と異なればrの値もこれらの値と異なるからである(rが0になるのはxが有理数の場合に限られる)。そこで、r**2は0<r**2<1の範囲の数でなければならない。数学の教科書にある通り、この範囲の数r**2について、数列{r**2n}のnを無限大にもっていくと0に収束するから、f(m,n;x)は0となり、証明される。

 ところで、無理数には、代数方程式の解となるような代数的数と、円周率パイのように代数的でない超越数との二つの種類がある。両者の違いは何か。数を連分数表示すると、両者を明確に区別できるようである。さらに、両者を分別するような式が望まれる。

 参考文献
 砂田利一著「現代幾何学への道」(岩波書店)