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数秘術にみる掛け算の方法

2011-01-14 17:00:50 | 学問

 ルドルフ・タシュナー著「数の魔力」(岩波書店)を読んでいたら、2つの数、例えば75と57の掛け算の方法が出ていた。

 この方法は、以下のように、左の列では一番上の数75を順々に半分にしていく(そのとき余りは切り捨てる)。また、右の列では、一番上の数57を順々に倍にしていく。

       75    57

       37   114

       18   228 ・・・この行を消す

        9   456

        4   912 ・・・この行を消す

          1824 ・・・この行を消す

        1  3648

 ここで、左右に偶数が並んでいる行を線で消していく。そして、右列に残った数字をすべて加える。その合計は、57+114+456+3648=4275となり、これが求める75X57の掛け算の答えになる。

 この方法を発見したのがいつの時代の誰か、不明である(ピタゴラスの時代には、すでに知られていたようである)が、何か魔術的な手順に見えるので、数秘術の1つと見なされていたようである。

 そこで、一般にaXbの掛け算の場合に、この方法が正しいものか否か、検証してほしい、ということになる。

 例えば、a=2の場合には、aを順々に半分にするとは、順に2n-1,2n-2,...,2,1の数列を作っていくことである。また、bを順々に倍にするとは、順に2b,2b,...,2n-1b,2bを作っていくことである。最初の行と最後の行を除く途中の行は、すべて左右に偶数が並んでいるので、消える。右の列(bの列)の最後の行は、2bとなって残る。問題は、最初の行の右列のbである。bが偶数なら最初の行は消えるから、掛け算の答えはaXb=2bとなって正解である。bが奇数の場合には、最初の行のbが残るから、aXb=2b+bとなって誤りであるから、最初の行のbは除外しなければならない。しかし、aは特殊なケースなので、この除外条件はbに依存するか否か、怪しい。

 一般に、aは次の式のように2進数で表現できる。

  a=2+an-1+an-2+...+an-12+a

ここで、a,a,...,aは1または0の2進数であり、aが0ならaが偶数、aが1ならaが奇数である。

 以下、2番目の行から最後の行までは、

  a/2=2n-1+an-2+an-3+...+an-1          2b

  a/2=2n-2+an-3+...+an-2               2

    ...        ...                       ...

  a/2=1                                2

となる。各式の最後の項の係数、an-1,an-2,...,aが0ならその式が偶数、1ならその式が奇数であるから、最後の行から2番目の行までの右列の合計は、

     2b+an-1b+an-2b+...+an-12b

となる。これに最初の行の右列のbがabの形式で加わるから、

  aXb=(2+an-1+an-2+...+an-12+a)b

となる。

 すなわち、この式の通り、aが偶数ならaが0であるから、bの偶奇にかかわらず、最初の行のbは合計から除外するという例外条件を加えなければならない。この条件を加えるならば、上記の数秘術の掛け算方法は正しいと言える。