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台北に旅行して

2010-12-02 20:15:41 | 旅行記

 最近、友達5名と台湾の台北に旅行しました。

 以下、この台北旅行についてのメモを報告します。ここでは、台湾の歴史を簡単に辿り、その中で旅行中に訪れた場所を各々位置づけています。

 19世紀末の日清戦争で日本に敗れた清は、台湾を割譲し、日本が台湾を統治することになりました。日本は、台北に台湾総督府を建設しました。日本降伏後は、総統府として台湾に引き継がれ、現在に至っています。総統府は、バロック様式、左右対称の立派な建物です。

 日本が第2次世界大戦に敗北したとき、当時中国大陸を統治していた中華民国の中国国民党の党首であった蒋介石は、台湾の日本資産を接収した。一方、大陸から渡ってきた人間(外省人)は、台湾人(本省人)を蔑視、搾取したため、台湾人による民衆蜂起が起こり、2万8000人近い人間が虐殺されたと言われている(1947年の二・二八事件)。この事件は、日本教育によって知識、教育、経験を積んだ台湾人知的エリート層を根絶する目的をもっており、台湾での恐怖政治の始まりであった。二二八和平公園は、日本統治時代に造られた公園が、1996年になって二・二八事件を記念し、当時台北市長であった陳水扁によって改名されたものです。

 この事件の様子を見聞した台湾人は、すでに年寄になっていますが、現在の台湾国民党に対しても好意的にはなれず、今も日本に対して好意的な親日派であるようです。旅行中に、日本語のできる年寄3名と出会いましたが、いずれも親日派らしく、日本統治時代を懐かしがって熱っぽく語っている人もいました。日本統治前の台湾は、赤痢やコレラが蔓延する辺地だったのが、統治した日本が、病院を建ててこれらの病気を一掃したり、近代建築や鉄道を建設・敷設したりして、台湾のために貢献したようです。

 中国共産党との内戦に敗北した蒋介石国民党政権は、1949年12月、中国大陸から台湾に逃亡した。蒋介石は、台湾全土を戒厳令下におき、集会、言論、結社の自由を抑圧した恐怖独裁政治を強行した。蒋介石は、1975年に死亡したが、1980年になって、ようやく蒋介石の業績を称える中正紀念堂が完成した。中正紀念堂は、自由広場と称する広大な広場を擁する中正公園内にあり、巨大な蒋介石の座像が置かれている。

 国立故宮博物院は、中国の歴代皇帝が収蔵したコレクションをもとに、約62万点もの収蔵品を誇る中華文化の殿堂である。収蔵品は、蒋介石政権が中国大陸から台湾に逃亡したとき、大陸から持ち込んだ文物と言われる。この博物院では、多くの古代青銅器や、竹や象牙を素材とする明清の彫刻、有名な翠玉白菜と肉形石、宋や明の陶磁器、王義之の書などを見ることができました。

 台湾の歴史に興味をもつ我々は、国立歴史博物館の文物も見学しましたが、中国大陸からもってきた皇朝の秘宝といったものが主体であり、日本統治時代以前に作られた台湾独自の文物らしきものは展示してありませんでした。中国が収集した日本の浮世絵版画を展示したり、台湾近辺の海から引き揚げた沈没船の積荷の遺物を展示したりすることから見ても、これといった台湾独自の文物はないようです。

 その他、龍山寺と孔子廟も訪ねました。龍山寺は、極彩色に彩られた絢爛豪華な廟建築で、屋根や柱に施された精緻な彫刻が特徴です。龍山寺の主神は観音菩薩ですが、道教の神様も祀られており、仏教と道教がここまで融合した神仏混淆は日本よりも進んでいるという印象を受けました。龍山寺では、朝早くから大勢の信者がお経を唱和している光景に感銘を受けました。

 台北の孔子廟は、台湾各地にある孔子廟の総本山であり、色鮮やかな中国式建築物です。行ったとき、ちょうど、数人が古典舞踊(雅楽舞)をやっていました。

 また、台北101は、高さ508m、台北のランドマークとしてそびえ立つビルです。高さ382mの展望台まで上がり、台北の街を眺めました。ビルの形状は、9段ほどに分かれた階層状をしており、日本の東京タワーなどとは異なり、歴史的な遺物の形状をまねたもののようです。

 台北旅行の前に考えていたこととして、日本人は、「日本辺境論」で論じられるように、中国や欧米に対する辺境人意識が強いようですが、台湾人も中国本土に対する同様の意識があるのだろうか、ということです。台湾が、中国の一部なのか、中国本土からみて辺境の地なのかは、独立の問題もからんで微妙な問題でしょうが、台湾の正式名称は中華民国(台湾)であり、元の中華民国の名前を受け継いでいることから見ても、辺境人意識はほとんどないように見受けられます。中国人からみれば、台湾も中国の一部の意識が強いでしょうし、現在の台湾人もその意識にうまく取り入り、経済的な成功を収めているといったところでしょうか。