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量子力学風の装いをしたマクロの世界

2020-06-14 09:51:05 | ブログ
 2020年3月15日付のブログで、数十人のメンバーが集まっている集団において、その中のいずれか二人の誕生日の月/日が同一である確率を計算する問題を提起した。ここでその部分を再録する。

 集団のメンバー数をnとする。メンバーの一人が他の(n-1)人とペアを組んで誕生日が同一か否か比較することになるから、一年を365日とするときの確率は、確率論で言う従属事象の加法定理を用いて(n-1)/365になる。各ペアで誕生日が一致する場合の数は365×365ケース中の365ケースであるから、確率は1/365となる。このような組がn組あるから全体ではn(n-1)/365であるが、各ペアをダブル・カウントしているから全体を2で割ると、問題の確率Pは、
   P=n(n-1)/(2×365)
の式によって計算できる。

 ここで確率Pを量子力学風にアレンジすることにした。

 まず、各メンバーの誕生日を状態ベクトルuで表現する。uは、一年の第1日から2月29日を含めた第366日まで366個の要素をもつベクトルであり、該当する誕生日の要素には1が設定され、それ以外の要素には0が設定される。

 メンバーiのuをuiで表し、メンバーjのuをujで表す。uiとujの内積(ui,uj)が1であれば2人の誕生日が同一であることを示し、0であれば異なることを示す。

 そうすると、メンバー数がnの集団において、誕生日が同一の組の数は、
   S(i)S(j)(ui,uj) ;iとjが同一の場合を除く
となる。ここでS(i)はiが1からnまでのシグマ記号、S(j)はjが1からnまでのシグマ記号を表す。(ui,uj)が1か0かは、メンバーiとメンバーjの誕生日の聞き取りなどによって知ることができる。

 確率変数pはcを定数としてp=cuで与えられる。どのメンバーも1/366という同一の確率をもつから、uは1の値をもつ一つの要素のベクトルすなわちスカラーに縮退でき、pもスカラーとなる。ui,ujに対応するpをpi,pjで表すと、問題の確率Pは、
   P=S(i)S(j)(pi,pj)=(c^2)S(i)S(j)(ui,uj) ;iとjが同一の場合を除く
となる。c^2を決めることにより、上記の確率Pと同様の結果が得られる。

 確率Pが計算上1.0を越えるのはn=28のときである。そうすると、nが十分に大きくなると、確率Pが複数値となる。

 この問題は、マクロな世界における「もつれ」の例であるから、決定論が通用する世界であり、状態ベクトルui,ujの内積(ui,uj)は調べる前から決まっている。言い換えれば、ベルの不等式が成立する世界である。

 量子の物理量について、「量子もつれ」がある場合には、決定論が通用しないので、その値は観測することによって初めて決定する。言い換えれば、ベルの不等式の不成立が生じ得る。

量子力学風の装いをしたマクロの世界

2020-06-14 09:51:05 | ブログ
 2020年3月15日付のブログで、数十人のメンバーが集まっている集団において、その中のいずれか二人の誕生日の月/日が同一である確率を計算する問題を提起した。ここでその部分を再録する。

 集団のメンバー数をnとする。メンバーの一人が他の(n-1)人とペアを組んで誕生日が同一か否か比較することになるから、一年を365日とするときの確率は、確率論で言う従属事象の加法定理を用いて(n-1)/365になる。各ペアで誕生日が一致する場合の数は365×365ケース中の365ケースであるから、確率は1/365となる。このような組がn組あるから全体ではn(n-1)/365であるが、各ペアをダブル・カウントしているから全体を2で割ると、問題の確率Pは、
   P=n(n-1)/(2×365)
の式によって計算できる。

 ここで確率Pを量子力学風にアレンジすることにした。

 まず、各メンバーの誕生日を状態ベクトルuで表現する。uは、一年の第1日から2月29日を含めた第366日まで366個の要素をもつベクトルであり、該当する誕生日の要素には1が設定され、それ以外の要素には0が設定される。

 メンバーiのuをuiで表し、メンバーjのuをujで表す。uiとujの内積(ui,uj)が1であれば2人の誕生日が同一であることを示し、0であれば異なることを示す。

 そうすると、メンバー数がnの集団において、誕生日が同一の組の数は、
   S(i)S(j)(ui,uj) ;iとjが同一の場合を除く
となる。ここでS(i)はiが1からnまでのシグマ記号、S(j)はjが1からnまでのシグマ記号を表す。(ui,uj)が1か0かは、メンバーiとメンバーjの誕生日の聞き取りなどによって知ることができる。

 確率変数pはcを定数としてp=cuで与えられる。どのメンバーも1/366という同一の確率をもつから、uは1の値をもつ一つの要素のベクトルすなわちスカラーに縮退でき、pもスカラーとなる。ui,ujに対応するpをpi,pjで表すと、問題の確率Pは、
   P=S(i)S(j)(pi,pj)=(c^2)S(i)S(j)(ui,uj) ;iとjが同一の場合を除く
となる。c^2を決めることにより、上記の確率Pと同様の結果が得られる。

 確率Pが計算上1.0を越えるのはn=28のときである。そうすると、nが十分に大きくなると、確率Pが複数値となる。

 この問題は、マクロな世界における「もつれ」の例であるから、決定論が通用する世界であり、状態ベクトルui,ujの内積(ui,uj)は調べる前から決まっている。言い換えれば、ベルの不等式が成立する世界である。

 量子の物理量について、「量子もつれ」がある場合には、決定論が通用しないので、その値は観測することによって初めて決定する。言い換えれば、ベルの不等式の不成立が生じ得る。