喜多院法興寺

住職のひとりごと

死刑執行に法相自ら立ち会う

2010-07-29 06:45:19 | Weblog
7月29日付 編集手帳 読売新聞
2010年7月29日(木)01:13
 {サンテグジュペリの『星の王子さま』で、 狐 ( きつね ) が王子さまに言う。〈肝心なことは目では見えないんだよ〉
◆誰かが誰かを殺す。神様が一部始終をビデオに収めていたならば、正視に耐えない 凄惨 ( せいさん ) な映像だろう。そういうビデオは、この世に存在しない。目に見えなくても、心には刻んでおきたい「肝心なこと」である。
◆宇都宮市の宝石店放火殺人事件などで死刑が確定した2人の死刑囚にきのう、東京拘置所で刑が執行された。千葉景子法相は足を運び、立ち会ったという。拘置所で「見た場面」には、思うところ、感じるところがいろいろあっただろう。
◆自分の命令によって消える命の最後を見届けた行為には敬意を表しつつ、思う。死刑制度の是非を議論する場合には「見た場面」だけでなく、「見ぬ場面」にも思いを致してほしい、と。6人の人間が縛られ、衣服にガソリンをまかれ、焼死する場面は、目で見ることができない。
◆死刑執行の報に「ああ、あの事件…」と思い出した。〈思ひ出すとは忘るるか 思ひ出さずや忘れねば〉(閑吟集)。遺族は事件を思い出しはしなかったろう。片時も忘れぬゆえに。}
 
 死刑廃止論者の千葉法相が、死刑の執行に立ち会うと記者発表された。今までの法相は死刑に印鑑を押すだけで、死刑に立ち会わなかったことを初めて知った。法相が死刑執行を許可したなら当然処刑に立ち会うべきだと思う。今まで死刑執行に対しては公開すべきところは公開すべきだ。 未執行の死刑確定囚は107人もいる。


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