喜多院法興寺

住職のひとりごと

問題は心おきなく老後を過ごせる世の中かどうか

2009-07-27 05:47:09 | Weblog
7月26日付 編集手帳・読売新聞
 <〈ヘルパーさんが台所仕事やって下さる私はひるねいいのでしょうか〉。福岡県の藤井千代子さんが詠んだ一首。小紙が募集し、7人の選者によって先日編まれた「平成万葉集」に収められている
◆介護保険サービスの情景であろう。高齢者の家へ赴いたヘルパーが家事支援をしている。その傍らでは、お年寄りご本人が昼寝をしている。高齢者福祉も多くは公費、確かにそれでいいのでしょうかね◆と、何気なく読めばそんな感想を持ってしまうのだが、現代の万葉集は作者の年齢も重要な要素だ。藤井さんの名前の下には「96」とあった。まだまだその歳(とし)には見えない方だとしても、白寿を目前にした人が家事支援を受けて恐縮する必要はあるまい
◆日本人の平均寿命は男性79・29歳、女性86・05歳と、ともに過去最高を更新した。今や100歳以上の高齢者は4万人近く、90歳以上は100万人を超える
◆問題は心おきなく老後を過ごせる世の中かどうか。社会保障の財源を、政治はしっかりと手当てしなければならない。藤井さんの歌に「長生きしてもいいのでしょうか」と問いかけられているようで切ない。>

96歳の老人が元気であっても、家事支援を受けるのに恐縮するような、介護保険サービスの状況だ。安心出来る老後を保障出来ない、国家はおかしい。医療にしても後期高齢者制度や、老人介護の財源を優先的に確保して、長生きするのが悪いと思わせるような、今の政策に憂慮する。