憩う、楽しむ 広島・湯来通信 

広島市中心部から1時間。新たな交流・体験エリアである湯来地区の最新情報。天然温泉と豊かな自然が皆様をお待ちしています。

湯来に伝わる民話

2010年05月20日 08時09分15秒 | 雑談
5/20(木)17℃
おはようございます。

「瀬戸の花嫁」さんから民話がお気に入りのようなコメントをいただけたので、書く話題が少ないので続けて民話を書き込んでみました。
 もう少し、時間や余裕があれば新しい話題が提供できるんでしょうが、今書き込めるのは古~い「昔話」のみ。
ご期待に添える情報提供まで、いましばらく時間をいただきたいところです。

湯の山狐(きつね)
むかし、湯の山は木がよく茂り、昼でも暗い淋しい所でした。そこに、狐が棲みつき、時々里に出て来て、にわとりを盗んだり、道行く人にいたずらをして、人々を困らせていました。
 村はずれに、仲のよい佐平爺さんとお婆さんが住んでいました。ある日、佐平爺さんが湯の山の奥に、猟に出かけました。一日中獣を追って歩きましたが、「今日は山鳥が一羽しか獲れなかったわい」と夕暮れの山道を家の方に急いでいました。すると枯れ木の向こうに人影が見えます。近づいてみると家のお婆さんが立っています。
「おじいさん、お帰りなさい。迎えに来ましたで・・・・・」と言います。佐平爺さんは「これはおかしいぞ、うちの婆さんは今まで迎えに来るようなことは一遍もなかったが・・・・」
「ハハァ、これはてっきり狐の奴に違いない。よし、今日こそいたずら狐をこらしめてやろう」と思いつき、何食わぬ顔でお婆さんに化けた狐と家に急ぎました。
「お爺さん、後ろの荷物を持ちましょうよ」とお婆さんはしきりに言う。狐の奴め山鳥を狙っているな!
「今日は獲物が少ないし、軽いけぇ、大丈夫」と話しているうちに家に帰りました。見ると本物のお婆さんは囲炉裏に鍋をかけ、夕飯の支度をしてお爺さんの帰りを待っていました。
お婆さんに化けた狐は、本物のお婆さんがいるのもかまわず平気で家の中に上がり込み、その横へ座り込んでしまいました。これにはお爺さんも本物のお婆さんもあっけにとられてしまいました。
「お前さんいったい何者だね。おおかた湯の山に棲む狐じゃろうがい。」本物のお婆さんは我慢しきれなくなって言いました。すると、「あんたこそ誰だね。おおかた和田原に棲む狐じゃろうがい」
どちらの婆さんも負けてはいません。そのうち、とうとうつかみ合いになって、二人はごろごろと転がりあいました。お爺さんはあわてて二人を分けましたが、今度はどちらが本物かさっぱり分からなくなってしまいました。
「さあて、困ったものよ。」
その時、いいことを思いつきました。本物のお婆さんは年をとって歯が抜けて、熱いものはなかなか食べられません。それを思い出した爺さんは、二人の前に座り、「わしの婆さんは熱いものが好きでのお、煮えるようなお粥でもさらさらと食べたものよ。お前たち二人のうちでそれを出来た者が、本物の婆さんだ。」と言って、二人にそれぞれグツグツ煮えているお粥をついで出しました。
「ええ、私は昔から熱いお粥が大好きですよ。」
お婆さんに化けた狐は、茶碗を持つが早いかお粥を食べてしまいました。そのとたん、「あっちっち-」口の中を大やけどし、狂いまわり、狐の正体を現し湯の山の奥へ逃げて行きました。
これに懲りたのか、湯の山狐は二度といたずらをしなくなりました。
「コンコン、コンコン」と鳴いていた湯の山狐は、舌を火傷してから「ギャオ、ギャオ」と鳴くようになりました。
嘘か本当かはわかりませんが、今も湯の山狐は「ギャオ、ギャオ」と鳴くそうです。
誰が、自分の耳で確かめてみてくださいね。

次回は「石が谷峡の名号岩」、お楽しみに。





体調管理には十分気をつけながら、今日も充実した日が過ごせますように。

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