健康楽園。

健康に関する情報・提案を主にする。

通訳の眼。

2007-04-24 | 読んでみた。finding.
ガセネッタ&シモネッタ

文藝春秋

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先日読んだ米原さん唯一の小説「オリガモリゾワナの反語法」が、あまりにも感動的だったので、エッセイも読んでみようと手に取った一冊です。
こちらも、なかなかずっしりと手ごたえ・重みの感じられる文章がギッシリ詰まっています。
反語法にも、真実を伝えるために、わざと反対のことを言って、理解させようとするっていうのに、共通点があるのが通訳業っていうことも感じられます。
前半は、ロシア語通訳者時代の出会ったことなど・・・・、シノネタや反語を日本語に、またはロシア語に訳す難しさが・笑いを誘います。
渡辺淳一さんの「失楽園」を訳すに・苦労すしたとか、豆腐は、大豆ミルクから作るカッテージチーズ、お寿司をご飯のオープンサンドと訳したりで、楽しい実例集が並びます。
硬派、米原さんは社会批判も忘れません!
まずは最近のテレビは「お前ら馬鹿になれ!!」って言っているようなもんだと、バッサリ。
高齢者福祉センター利用の体験から、これを高齢者を対象に業務展開する企業を支援するセンターじゃないかと定義します。
だってセンターへの移動にタクシーなら650円なのに、センターの車だと6500円取られて、自宅をバリアフリーにするってんで、一箇所粘着テープを貼ってもらったら12000円も取られた。181ページなど、はっきり書いてます
痛快丸かじりの離しっぷりです。
チェリスト、ロストロポーヴィッチの素晴らしい言葉も紹介されます。「美しい音を子供たちに聞き分けさせるためにはどうしたらいう?」という質問に対して「美しい音も、汚い音も無い。大切なのは伝えたいメッセージを最も的確に伝えられる音が、そのメッセージにふさわしい音、それがいい音だ。」245ページ。
すごくギッシリ美味しいものが詰まっている幕の内弁当みたいな本です。
コメント
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