神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

不動小屋谷 その1

2014年06月06日 | 滝・渓谷

奈良県吉野郡十津川村旭


朝の4時に目を覚ます。
車での睡眠は決して寝心地がいいとは言い難いけれど、目覚めと同時に夜明け前の山が目に飛び込んでくるから、ゆったりと爽やかな気分でもある。
軽く朝食を摂っている間にも、周囲がだんだんと明るくなってくる。
気温はあまり下がらなかったようで、寒さは無い。
数年前の五月に、この近くの舟ノ川に行ったときは10度以下まで下がって水も冷たかったが、今日は問題ないだろう。
昨日とは違い、リュックを背負って四時半に出発。
久しぶりの山歩きなので、ちょっと緊張というか、身の引き締まるような思いで林道を進む。



林道はゴツゴツした石が多くて歩きにくいが、周囲の緑は豊かで退屈しない。
杉の植林が殆ど無い山は、なんと柔らかなのだろうと思う。



不動小屋谷を渡る橋の近くから、下流方向を望む。
左上には歩いてきた林道が見える。
ここからは不動小屋谷の流れに沿って、道の無い谷中を進むのだが、ここに来てちょっと悩む。
このまま林道を進んで、旭川の上流である宇無ノ川を見る方が楽しいのではないだろうか。
答が出ないので、もう暫く林道を進んでみる。



悩みながらも寛げる緑の中、いいなぁ、どうしようかなぁ、を繰り返す。 



いいなぁと思いつつ、引き返して不動小屋谷に行くことに決める。



不動小屋谷の橋の上から上流方向を見れば、いきなり滝がある。
橋の下流にも滝があって、池小屋滝という名前のついた結構大きな滝なのだが、降りるのは大変そうだし、あまり惹かれる姿でもないのでそのまま上流に向かう。
この滝は左岸を巻いて越えたものの、初っ端からちょっと恐怖を感じてしまった。
年をとるほどに高所恐怖症になっていっている気がする・・・。



ただ、この谷は癒し渓と言われているくらいで、最初の滝を越えれば上流にある不動滝まで難所は無く、こんな感じの穏やかな流れになる。



何故か色付いている落ち葉が多くて、まるで秋の風情。



当たり前だけれど、目を上げれば秋の風情ではなく緑いっぱいで、春の谷川を彩っている。









時に足を濡らしたりしなければならないが、いちばん深くて膝上くらい。
もちろん、足を滑らせれば身長より深いところはあるものの、思ったほど滑りやすくはなかった。
基本的にはのんびり緑を見ながら、適当にルートを選んで進んで行ける。






逆に、滝と言えるほどの険しい場所がなくて、沢歩きに慣れた人なら退屈だろうなと思う。
私としては綺麗な水と緑があればそれでいいけれど、それでもちょっと撮影ポイントが少ないかな、とは思う。






でもまあ、誰も居ない山の真っ只中で水と戯れるのは楽しい。



この辺りまで、慣れた人なら一時間以内で来られるだろうけど、既に二時間以上経過。
でも、時間はまだまだある。
今日はここだけで費やすつもりなので、もっとのんびりしてもいい。



虫が苦手な人には恐縮だが、途中で見かけた虫の死骸があまりに鮮やかな金属光沢を放っていたのでパチリ。
往復で三匹の死骸を見たから珍しいものではないのだろうけど、家に帰ってからネットで調べてみても名前は判らなかった。
ご存知の方がいらっしゃったら教えてください。



やがて谷間にも日が差し込んできて、水面が光と色で賑わう。



きらきら、さらさら、ゆらゆら、自然の音や情景を表現するオノマトペは沢山あって、それらが競演する。






私自身は、じゃぶじゃぶ、わくわく、のろのろと、自然の奏でる言葉に混じって進む。
目的地である不動滝まではもうすぐだ。


撮影日時 140514 4時50分~9時
地図