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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

『裏切りのサーカス』を観る

2017年02月21日 | 映画
裏切りのサーカス スペシャル・プライス [DVD]
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 『裏切りのサーカス』を観たので、それについて。

 この映画、実は観たのは、少し前で、この場で批評(というか感想)を書くのが遅くなっていた。が、ある事件があって、このエントリーを各期になったのだった。

 ちなみに、このサーカスcircusというのは、イギリス英語で、イギリスの秘密諜報機関のこと。隠語や暗号なのかと思ったら、手元の英和辞典を調べたら、普通に「イギリスの秘密諜報機関」という説明が載っていた。

 で、時代は米ソ冷戦下のイギリス。サーカス(諜報機関)内に、二重スパイがいるのではないか? ということで、一度は引退した諜報部員が、二重スパイ探しに乗り出す。で、果たして「犯人」は? というサスペンス仕立ての映画である。

 おそらく60年代か70年代の時代背景だと思うのだが、それをかなり忠実に再現していて、非常におもしろく見ることができた。東西冷戦の緊張感は、今となっては想像も難しいのではないだろうか。と言っても、私も大学に入る前にベルリンの壁が崩れたので、本当の意味でこの「緊張感」は知らないが。

 ただ、壁崩壊で訪れると思われた「平和」が、実際には幻想に過ぎなかったという『グッバイ・レーニン』で描かれたような落胆を想像することはできるが。

 っと、これは私の話。

 現在の視点からすると、東西冷戦というのは遠い出来事のように思う人も多いかもしれないが、ただしホブズボームの本の訳者解説などによると、彼の時代のオックスブリッジでは、左派に親近感を抱く学生には、ソ連がわからすパイにならないかという勧誘があったらしい。ただし、ホブズボーム自身は、あまりにあからさまに共産主義者を標榜していて、スパイとしては役に立たないと判断されていたらしいが(笑)。

 サスペンス映画でありつつ(だからこそ?)、当時の時代状況、その緊張感をうまく伝えている映画で、それが「誰が二重スパイか?」という疑念をさらに深くする効果として役立っている。

 ただ、この映画を観ていて思ったのは、スパイ映画にあるような銃撃戦とは、国際的なスパイ合戦などで本当にあったのだろうか? と疑問に思ったのだった。が、そう考えていたら、金正男の事件のニュースを見て、「へ~現実にそんなこともあるのか」と感心したのだった。

 あと、実際に、今回の事件と似たような事件も、イギリスでは起きている。そうした現実を、あらためて考え直したのだった。


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