ひぐらし農園のその日暮らし

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稲刈り開始

2011-09-30 06:28:00 | 今日の農園
周囲はとっくに稲刈り佳境の中、ひぐらし農園も稲刈り開始です。今年は圃場によってややばらつきがあるものの全体的にはよく育ってくれました。まずはコガネモチから。
絶好の稲刈り日和。このモチ米はチャルジョウ農場の6次化(農家の加工販売)事業の柱であるモチに進化する予定です。

ほぼ順調に刈っていたのですが、終盤コンバインのVベルトが切れ、購入⇒交換のタイムロスであとちょっと残して予定通りに終わらず。今朝終わらせちゃおうと思ったら雨です・・・。モチ米はこういう時に困りますね。

内山節さん講演会

2011-09-21 05:14:00 | 独り言
哲学者内山節(うちやまたかし)さんの講演会に行ってきました。

会津流域林業活性化センター主催のシンポジウム。
演題は「森を活かした地域づくり」
 
農業を志した15年以上前から内山さんのファンです。彼の言う「労働」「自然と人との関係」はボクの農業に対するスタンスの重要な要素になっています。

以下今回の講演から
・いま世界から日本の森が注目されている。日本の森は世界の人々にとっての森になりつつある。
・日本の林業(=利用するだけでなく育てる)が始まったのは江戸時代中期以降。全国に広がったのは早い地域で明治。遅いところでは戦後。
・かつての森と人との関係は、いずれ人が自然に帰ることを前提とした関係であった。⇒山岳信仰、山の神
・しかし明治政府が欧米列国に対抗するためにこれを壊していく。信仰心の崩壊。

・若い世代の意識が変わってきた。人間的な生き方とは。自然とともに生きていくこととは。一人一人の価値が感じられる生き方とは。
・震災で都市のもろさを誰もが実感する。農山村に魅力を感じる人たち。コミュニティの存在、手作り(自給)の人がいる強さ。

・都市と農山村がどう結びついていくか。どういう風に相互が開いていくべきか知恵が必要な時代。
・これからの森林の価値をどう考えるか。木材生産=金銭価値だけ考えてもダメ。経済などこれからの社会は全て「先がわからない」時代だから。
・全体の関係の中で森の価値を位置づける。
・もし今仮に木材価格が上がったら、林業家の多くはこれを機に木を切って売りっぱなしにして廃業する可能性が大きい。地域の森はボロボロになる。
・そうならないために地域として共有感を持ちながら地域の森を守っていく。具体的には多様な価値をつける。会津・三島町が一つの例。(桐による街づくり。桐源郷)

・日本の社会は社会の構成メンバーに自然が入っている。さらに生きている人間でなく死者(地域の先輩、ご先祖様)も含まれる。絡み合う。それだけに複雑。
・祭。行事。伝統。自然と人間の社会、ご先祖様との社会。いま若者がこのことに興味を示している。
・先祖が作ってくれた基盤の上で生きていることを再確認。傲慢にならない。
・森とともにあった暮らし。これを日本の林業再生に取り入れる。
・都市の人にも開きながら森を活かした地域づくり。

とても共感できるよい話でした。たくさんの方がシンポジウムに参加していました。この話を共有し地域づくりに活かせるといいですね。


福島で食の座談会に出席

2011-09-20 06:40:00 | 放射能の話
日曜日にNHK福島に行って来ました。10月下旬にNHKで「日本新生~わたしたちの食」という番組が放送されるそうですが、その前に放射能汚染に苦しむ福島の農家、消費者の現状を番組制作側が知りたいとのことで座談会が設けられたのです。

行ってみると私も含めて8名の生産者・消費者の方が来ていました。宮城県角田市の畜産農家、郡山市の野菜農家、同キノコ農家、塙町の有機農家、川俣町・飯野町の主婦の方、そして私。線量が比較的低く、規模の小さいひぐらし農園はややお門違いか・・・?

しかし福島県有機農業ネットワークで中通り、浜通りの有機農家とは情報を交換していましたが、いわゆる慣行栽培の農家さん(しかも大規模)と放射能汚染について話を伺うのは初めてのこと。個人的にはよい情報交換の場となりました。

以下印象に残っていること。
・和牛を120頭飼育している。汚染ワラの問題で現在も出荷停止中。
・消費者と生産者との乖離を感じる。生産者の方が放射能汚染の現実を受け止め落ち着いて対応している。消費者の方が右往左往している。(角田市畜産農家)

・主力のかいわれ大根は今回で2回目の風評被害。(以前はO-157の時)現在は震災前の10%まで落ち込んでいる。逆に言えばこの10%が本当に自分を必要にしてくれてた人たち。(郡山野菜農家)

・菌床によるナメコ栽培。室内なのでND。しかし契約破棄が相次ぎ、この夏で1億以上の赤字。販売の手立てがない。
・ちょうど畑を増やし規模拡大を目指した直後の事故で困っている。
・従業員70名の雇用は確保したい。毎月借金でしのいでいる。(郡山ナメコ農家)

・JAを通さず全て個人消費者に販売しているが、今年のお米は前年比3~5割注文取れればよいかという感じ。
・この状態が数年続けば廃業もやむなし。
・農家民宿もやっているが全く客が来ない。
・今度は農家が加害者になるかも。それが怖い。(塙町有機農家)

・川俣で夫が無農薬でお米を作っている。実家も農家。しかし今年は自分の子どもたちに一切家で栽培したもの、地元産を食べさせていない。祖父は孫が食べてくれないならと全ての野菜を破棄した。現在、高校生の子どもは米沢に避難し、毎日川俣の学校に通っている。(川俣町・兼業農家)

・以前より食の安全にこだわっていた。3.11以降一人で悩む時間が長かった。
・子どもをどう守るか。ふくしまを食べて応援しよう、生産者を守れという雰囲気が怖い。(飯野町.消費者)

・暫定基準値が逆に福島産農産物を避ける理由になっていないか。自主検査をして不検出だったと言っても、福島産というだけで相手にされない。安全だからこそ支えて欲しいと言っている。
・流通が風評被害を広げている。西日本産農産物の買い付けに走っているといううわさを聞く。
・作っても作っても買ってくれる人がいない。
・NDのものしか出さない農家がいるなんて知らなかった。福島産というだけで安全を疑ってしまう。消費者としてはすべての農産物にベクレル表示をして欲しい。
・事業が順調だったので跡継ぎが帰ってくると言ったがやめさせてた。(郡山・塙町)
・福島の人はおとなしいと言われる。怒っているがその怒りをぶつける先がない。
・早く暫定基準値はやめるべき。
・ダメなものはダメとはっきり言ってほしい。補償したくないだけなのだ。

・マスコミの報道に問題を感じる。「汚染稲ワラを食べさせた農家」 悪いのは農家ではない。
・農家が加害者になるという言葉の使い方はもっと慎重になるべき。

・60歳を超えたら新たな事業を起こすのは無理。このまま農業で食べていくしかない。
・高濃度汚染地域の除染に膨大な金をかける必要があるのか。むしろ別の場所で営農・生活できるように金を使うべきでは。
・同じ郡山でも場所によって線量の低いところがある。もっときめ細かい情報開示をしてほしい。

・東京の人は福島の農家はもう補償をもらっていると誤解しているのではないか。こちらは全くもらってなんかいないのに。
・直接生産者と繋がる、畑に行ってみると安心が生まれる。そんな農家の野菜なら買いたい。
・生産者の強みは現場にいるということ。消費者は浮き草の様。
・今回福島ってだけで買わなかった人たちへ。これから来るであろう食糧難になったときに覚えておけよ!
・確かに消費者側に選択肢はある。しかしそんな関係のままでよいのだろうか。この事故を契機に消費者と生産者が一緒になって食のあり方を考えるべきではないか。
・「すみません、福島産っていわれると怖くて買えないのです。」「謝ることはない。悪いのはあなたじゃない。」
・「人のうわさも75日。そろそろ福島県産が売れ始めたという矢先の汚染ワラ騒動でまた元に戻ってしまった。」「すみません(畜産農家)」「悪いのはあなたじゃないよ。」



東和での講座に参加その2

2011-09-19 15:27:00 | 放射能の話
続いて新潟大学・野中昌法先生が登壇。土壌学が専門。

・ふくしまは史上最大の公害の被害者である。
・不安を可視化して生産者と消費者が情報を共有する。
・モニタリングと情報公開の大切さ
・今回の事故を通して自信と確信を持って有機農業を進める
⇒哲学としての有機農業
⇒問われているのは「人」としての生き方」「農業のあり方」「食のあり方」
⇒有機農業により養われた「創造あふれる人たち」「生物が多様な土壌、生態系」「様々な人が繋がる地域」「多様な能力を持った作物」は日本農業を救う。

ん~、土壌学の先生の話っぽくないけど、こういう話は共感できて大好きです。

で、肝心の(?)土壌と放射能の話。
・土壌肥沃性が高いほど放射能の作物への移行係数は低くなる。=作物に移行しにくい。
・土壌の粘土含量、有機物含量が低いとセシウムは固定されず、移行係数は高くなる。
・除染だけでなく、農地土壌の肥沃性を高めることも必要。
・土壌中から稲への吸収は潅水状態で高くなる。稲ワラに吸収されたセシウムの70~80%が蓄積。20%ほどが玄米に蓄積。
・玄米から精米にする時の米ぬかに60%程度含まれる。40%は白米に残る。

・新潟県南魚沼市の水田土壌から400ベクレル検出。
・夏に再調査したら上昇していた。7月の洪水で田に流れ込んだか。
・同阿賀市でも200ベクレル検出
・1960年代の核実験により日本でもバックグラウンドとしてセシウム137が30~50ベクレル程度事故前から存在していた。


・今回は、今後の日本農業のあるべき姿と食のあり方を国民が考えるチャンス。
・「医食同源」「食農同源」
・工業化農業とグローバルな食のあり方を反省してローカルから「農」と「食」を発信する時が来た。
・福島から日本の農業のあり方を変えることができると確信している。

もちろんこれが講演の全ての内容ではありませんが、福島で有機農業を続けていくために、とてもよい話が聞けました。

東和での講座に参加その1

2011-09-19 06:02:00 | 放射能の話
土曜日は二本松市東和町、翌日は福島市と農作業そっちのけで行ったりきたり。でも実りある週末でした。

東和で行われた第1回ふくしま有機ネット講座に参加してきました。備忘録を兼ねてここに講座の内容を記しておきます。結構専門的で判らなかったことも多いのですが・・・。

木村園子ドロテアさん(東京農工大 大学院農学府准教授)
「チェルノブイリからみる循環系に及ぼす放射性物質の影響」

・セシウムの挙動⇒下方浸透速度は年間1センチ以下。チェルノブイリ事故から7年後表土0~10センチ以内に78~99%
・作土ではセシウムの半減期は早い。18~25年。
・セシウムは固定されやすいので動きにくい。ストロンチウムは水に抽出可能であるため動きやすい。
・ドイツバイエルン地方における作物のセシウム137濃度は事故後1~2年は高い値が存在するが4年以降は落ち着く。
・同森林土壌では20年ほどで減少に。つまり減少が遅い。
・同キノコは20年たっても高いまま。
.同野生動物も高いまま。

日本の場合
・土壌のカリ含有率が高いほどセシウム吸収率は減少。粘土質土壌の方が砂質土壌より吸収(移行)が少ない。
・日本の土壌のバックグラウンド値は280ベクレル/㎏(主にカリウム40)
・植物のカリウム含有率はセシウム吸収の指標。(レタス、ほうれん草、白菜、キュウリ、トマトなどが高い)


・植物によるセシウム除去(ファイトレメディエーション)の効果は小さい。長期的取り組みが必要。
・吸収効率の高いもの。アブラナ目、ナス目、キク目、ナデシコ目
・土壌の有機物含有量と植物への吸収量には関係はない。しかし腐植が多いほど交換性セシウムの割合が増加する危険。その一方バランスのとれた養分状態(マグネシウム、カリ、カルシウムのバランス・量)により、有機物の施用による吸収の低下報告もある。
・窒素(アンモニア系)施肥は削減すること。
・堆肥の施用はセシウム吸収削減に効果がある。