ひぐらし農園のその日暮らし

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有機農産物購買層の分類から

2016-12-25 15:06:00 | 独り言
日参加した県の有機農業推進室のセミナーはボクにはとても有意義なものでした。

宮城大学谷口先生の講演で、アンケートなどを基に、有機農産物購買層の動向を調査研究した内容。
特に有機農産物の購買層の分類は、今後の活動に活かせそうでよかったと思っています。

その中身とは、
Schwartzの10種類の価値から、有機農産物をよく購入する人たちの重視している価値を抽出し、4つに分類したもの。(以下ボクの想いも混ざっていますので、講演内容とは異なります)


ボクが注目したのは自立・利他の特性を持つ人。すなわち「自主独往」「博愛」を重視する人たちのグループ。
利他的であり、かつ自己の裁量を比較的強く重視する。
環境保全などに興味を持ちつつも、震災後の福島の農業を、避けるのではなく支えようとした人たちは、恐らくここに分類される。
これは有機野菜を日頃買う人たちの中でも3割弱しかいない。


最も多いのは安全・利他。「安全」「博愛」を重視する傾向。
利他的で、かつ安全性を比較的強く重視する。
環境保全などに興味を持ちつつも、安全に対する意識が高く、自己防衛に走る。
もしかしたら震災後福島を避けた人たちはこのグループが多いかも。
全体の4割。

他に快楽・安全。「快楽」「安全」を重視する。
利己的価値を比較的強く重視する。

そして自己高揚のグループ。
一般的な消費者に近い

今まで漠然としていた、しかし多様な価値観を待つ有機農産物購買層がこのように事細かに分析されたことは、ボクにはとても新鮮だったのです。
個人的には最初に挙げた自立・利他の層が増えてほしい。

一方で、実は有機農業者についてはあまりこのような分析はされてきていません。
特に自分自身のこととなると。

有機農業が広がっていかない理由に、消費する側の問題を指摘することが多いのですが、同じくらい生産者側にも原因があるのではないかと思っています。
そしてこうした何の価値を重視するかという分類が、有機農家にも当てはまらないかとふと思ったのでした。

よく見るのは有機農業者同士で意見が合わず、他の慣行農家の間柄以上に不仲になっていること。目指す方向は同じはずなのに。
それをよく「農家の父ちゃんは一国一城の主だから仕方ない」と十把一絡げのように言っていますが、もっと事細かに分析し、そこで自分自身を含めて見つめてみることも大事かな。
震災を機に福島の有機農産物を買う人が減ったように、有機栽培を辞めた農家もいます。その理由も様々。個々の価値観が元です。
有機農業者が常に正しくて、消費者ばかりに「利他」「博愛」「安全」を強要するというのもね。

このセミナーがあったことを地元の若手有機農家に伝えたところ、こんな答えが返ってきました。
「マーケティングセミナーですよね。案内来てたけど商談会じゃなかったし、今は売り先は十分あるから。」

これが何を意味するか。

今、大手流通も専門の売り場や有機農産物専門店を作るなど、有機農産物は供給が追い付かないのが現状です。
大手の参入で、消費者が有機農産物を手にとりやすくなり、その良さや認知度が上がることで全体の0.4%程度といわれる有機農産物のシェアが上がっていくか?
食料自給率が40%にも満たない国で、さらに有機栽培の面積は農地全体の0.2%程度しかありません。
若手の彼の言葉は、事業として現状は生産と販売は何とかなっている(収益が十分かは別として)かもしれませんし、彼の成功が地域に良い影響を及ぼすかもしれませんが、日本全体でわずか0.2%という数字についてどういうスタンスで臨もうとしているかは感じられません。

すでにあるマーケット=小さいパイを奪い合うのではなく、新たな潮流を創ることを意識してほしいのです。


鳥インフルエンザ発生

2016-12-01 07:55:00 | 農の話
鳥インフルエンザ、心配です。今までで一番我が家に近いところで発生しています。

鳥インフルエンザが発生したら、容赦なくその農場の全ての鶏は殺処分されます。
さらに最大で半径30キロ内の同業者には移動の禁止が命じられます。

感染源は野鳥、野生動物が介在していると予想されていますが、過去の発生例も含めて感染源は特定されていません。

農家としては最も怖いのはこの感染源が判らないということ。
農水省や保健所の指導も、外部から飼育舎に野鳥や野ネズミなどが侵入しないよう徹底的に封鎖、周辺を石灰などで消毒するといった指導があるのみです。

つまり絶対的な予防方法はなく、発生した時の対処方法しかない。

鳥インフルエンザの発生と、昔から問題になっている不健康な飼育方法による弊害とは結び付いていません。
むしろ、残念ながら健康的な鶏の飼育方法=四方開放鶏舎や外への放し飼い、畑の残さ利用などの方が外界との接触が多い分リスクが高いともいえます。

例え健康的な環境下で飼育していたとしても、病原菌がある限り必ず感染します。人間のように罹っても抵抗力をつければ大丈夫とか治療するとかはありません。一羽でもかかれば、全量殺処分です。

そしてもっと怖いのは、罹れば近隣に迷惑がられることでしょう。

間違いなく、外の空気を吸い、太陽の陽にあたり、土をついばみのびのびと育ってる飼育の方がよいとしても、鳥インフルエンザの前では分が悪い。

逆にこちらの方が悪者にさせられる危険もあります。
だからこういう時は、食の安全だとかアニマルウェルフェアがどうだとか正論を叫けぶ時じゃない。

これ以上拡大しないよう祈りながらじっと嵐が過ぎるのを待つのみです。